労働者災害補償保険 障害補償年金差額一時金支給請求書

 

 

労働者災害補償保険(以下、労災保険)の障害(補償)年金差額一時金を受けるときに作成する書類が、「労働者災害補償保険 障害補償年金差額一時金支給請求書(以下、障害補償年金差額一時金支給請求書)」です。

労働災害に係る負傷や疾病の治癒後、該当する障害等級に応じた障害が残った場合に、労災保険によって(金銭的に)支援される制度が、労災保険における「障害(補償)給付」であると、以前の記事で説明しました。

障害(補償)給付のうち、障害等級第1級~第7級に該当する場合は、障害(補償)年金として金銭給付を受けることになります。障害(補償)年金では、障害対応給に応じた額が1年ごとに支給されます。これにより、障害が残った被災労働者の生活は保障されます。

しかし、障害等級に応じた障害(補償)年金を受け始めてすぐに、被災労働者の病状が悪化して死亡した場合、死亡した時点で障害(補償)年金の支給が停止するため、被災労働者およびその遺族を十分に保障できたとは言えません。そこで、障害(補償)年金の累計額が、障害等級に応じた給付基礎日額分(等級別最低保証額)に達しない場合は、死亡した被災労働者の遺族の請求に応じて、「等級別最低保証額-障害(補償)年金の累計額」の差額を支給します。これが、「障害(補償)年金差額一時金」です。

井上とまと

障害(補償)年金を受けていた被災労働者(障害等級第1級~第7級)の遺族が、障害(補償)年金差額一時金を請求することができます。障害(補償)一時金を受けた被災労働者(障害等級第8級~第14級)の遺族は、請求することができません。

障害(補償)年金差額一時金を請求することができる遺族は、次のとおりです。

①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹死亡した被災労働者と生計を同じくしていた
⑦配偶者 ⑧子 ⑨父母 ⑩孫 ⑪祖父母 ⑫兄弟姉妹死亡した被災労働者と生計を同じくしていなかった

*遺族(補償)給付の遺族の要件とは異なります。

 

障害補償年金差額一時金支給請求書の作成手順

 

それでは、障害補償年金差額一時金支給請求書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「Bug’s Style 株式会社」の死亡した被災労働者「蝶野蜚敏(ちょうのとびとし)」さんの妻である「蝶野吸子(ちょうのすいこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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死亡労働者の情報

①年金証書の番号は、障害補償年金の年金証書に記載されている「年金証書の番号」を記入します。

年金証書の番号
管轄局(2桁)、種別(1桁)、西暦年(2桁)、番号(4桁)の9桁で構成されています。このうち、左から3番目の種別(1桁)は、傷病補償年金の場合は1、障害補償年金の場合は3、遺族補償年金の場合は5となります。

②死亡労働者の氏名は、漢字とフリガナを記入し、「男、女」のいずれかの性別に〇を付けます。

③生年月日④死亡年月日は、いずれもそのまま記入します。

 

請求人・申請人の情報

①氏名②生年月日③住所④死亡労働者との関係は、いずれもそのまま記入します。請求が可能な遺族全員分の情報を記入する必要はありません。前述の「障害(補償)年金差額一時金を請求することができる遺族」の先順位の1人を記入するだけで問題はありません。

*請求人の代表者を選任しないときはその理由は、前述の「障害(補償)年金差額一時金を請求することができる遺族」の同順位者が複数人いるとき、かつそのうちの代表者を決めないときに、その理由を記入します。

 

欄外下

には、本請求書が何の請求書であるかを示すために、該当する項目に〇を付けます。

井上とまと

①で〇を付けたものと、表題で〇を付けたものとに、ずれがないことを確認してください。

②左上の日にちを記入するところには、障害補償年金差額一時金支給請求書を提出する日を記入します。

③「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。「Bug’s Style 株式会社」は、愛知県名古屋市天白区にありますから、ここでは「名古屋東」と記入します。

④請求人の情報は、郵便番号、電話番号、住所、氏名を漏れなく記入し、印鑑を押します。

 

金融機関の情報

①振り込みを希望する銀行等の名称は、差額一時金の振り込みを希望する金融機関の名称と、本店・支店名を記入します。

②預金の種類及び口座番号は、「普通・当座」のいずれかの番号に〇を付け、口座番号と名義人を記入します。

 


 

以上で、障害補償年金差額一時金支給請求書の作成が終わりました。

障害(補償)年金差額一時金は、死亡した被災労働者の遺族(3親等内の親族)であれば、誰でも請求することができます。ただし、遺族(補償)給付と同じように、先順位の遺族がいる場合には、後順位の遺族は請求することができません。

 

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