労働者災害補償保険 葬祭料請求書

 

 

労働者災害補償保険(以下、労災保険)の葬祭料または葬祭給付を受けるときに作成する書類が、「労働者災害補償保険 葬祭料請求書(以下、葬祭料請求書)」です。

労働災害に係る負傷や疾病により死亡の後に、葬祭を行うものに対して、その葬祭にかかる費用が、労災保険によって(金銭的に)補償されます。これが労災保険における「葬祭料」または「葬祭給付」です。

葬祭料または葬祭給付の額は、葬祭にかかった費用の実費ではなく、315,000円+給付基礎日額30日分です。

井上とまと

315,000円+給付基礎日額30日分の金額が、給付基礎日額60日分の金額よりも小さいときは、給付基礎日額60日分が葬祭料または葬祭給付の額となります。

葬祭料または葬祭給付の請求は、一般的に遺族とされています。ただし、遺族(補償)年金などとは異なり、遺族と認定されるための要件などはありません。あくまでも、葬祭を行った者に支給されます。そのため、会社が葬祭を行った場合には、その会社に葬祭料または葬祭給付が支給されることもあります。

 

葬祭料請求書の作成手順

 

それでは、葬祭料請求書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「Bug’s Style 株式会社」の死亡した被災労働者「蝶野蜚敏(ちょうのとびとし)」さんの妻である「蝶野吸子(ちょうのすいこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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請求人の情報

①労働保険番号は、事業所に振り出されている事業所番号を記入します。

労働保険番号
事業所(会社)が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。
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ちなみに、その下欄の「年金証書の番号」は、労災保険から年金を受けている場合に、その番号記入します。

②請求人の氏名③住所④死亡労働者との関係は、いずれもそのまま記入します。氏名にはフリガナも記入します。

 

死亡労働者の情報

①死亡労働者の氏名は、漢字とフリガナを記入し、「男・女」のいずれかの性別に〇を付けます。

②死亡労働者の生年月日③職種④所属事業場名称所在地は、いずれもそのまま記入します。

⑤負傷又は発病年月日は、労働災害が発生した年月日および時刻を記入します。時刻は12時間表記です。

 

災害の原因及び発生状況など

①災害の原因及び発生状況は、労働災害と認定されるかどうかの1つの判断材料になりますので、できるだけ詳細に記入します。特に、労働災害の発生場所、発生時の作業内容、発生時の環境、不安全な状況および有害な状態、労働災害の内容が明確になるように意識して記入します。

②死亡年月日は、死亡労働者が死亡した日を記入します。

③平均賃金は、「平均賃金算定内訳」などを用いて、被災労働者の平均賃金を記入します。

井上とまと

平均賃金は、葬祭料または葬祭給付の額の基準となる給付基礎日額の計算に用いられます。

 

事業所の証明

①左上の日にちを記入するところには、前述の情報が正確であることを、事業所が証明した日を記入します。

②事業所の情報は、事業の名称、電話番号、事業場の所在地(郵便番号)、事業主の氏名を記入し、印鑑を押します。

③添付する書類その他の資料名は、葬祭料または葬祭給付の請求に必要な書類(死亡診断書、死体検案書、検視調書、市町村長の証明書など)がある場合に、その書類の名称を記入します。

葬祭料または葬祭給付の請求の際には、死亡診断書などの死亡労働者が死亡したことを証明する書類を添付する必要があります。ただし、葬祭料または葬祭給付の請求の前に、遺族(補償)給付を受けていた場合には、添付しなくても構いません。

 

欄外下

①左上の日にちを記入するところには、葬祭料請求書を提出する日を記入します。

②「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。「Bug’s Style 株式会社」は、愛知県名古屋市天白区にありますから、ここでは「名古屋東」と記入します。

③請求人の情報は、郵便番号、電話番号、住所、氏名を漏れなく記入し、印鑑を押します。

④振り込みを希望する銀行等の名称は、葬祭料または葬祭給付の振り込みを希望する金融機関の名称と、本店・支店名を記入します。

⑤預金の種類及び口座番号は、「普通、当座」のいずれかの番号に〇を付け、口座番号と名義人を記入します。

 


 

以上で、葬祭料請求書の作成が終わりました。

「葬祭料請求書(様式第16号)」は、業務災害における葬祭料を受けるときに作成する書類です。一方、通勤災害における葬祭給付を受ける場合には、「葬祭給付請求書(様式第16号の10)」を作成します。

 

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