保険者算定申し立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等

 

 

健康保険および厚生年金保険の被保険者の標準報酬月額を保険者算定するときに作成する書類が、「保険者算定申し立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(以下、保険者算定申し立て)」です。

標準報酬月額の保険者算定は、定時決定や随時改定の規定によって算定した報酬月額が著しく不当であると認められたときに行われます。

標準報酬月額の保険者算定は、次のようなケースです。

  • 4月、5月6月とも報酬支払基礎日数が17日未満であるとき
  • 4月、5月、6月の3か月間において、3月以前に支払われるべき給与の遅配分をなどの通常受けるべき報酬以外の報酬を当該期間において受けたとき
  • 4月、5月、6月のいずれかの月において、定額の休職給(私傷病手当金など)を受けたとき
  • 4月、5月、6月のいずれかの月において、ストライキによる賃金カットがあったとき
  • 業務の性質上、季節的に報酬が変動することにより、通常の方法によって報酬月額の算定を行うことが著しく不当であると認められるとき

 

保険者算定申し立ての作成手順

 

それでは、保険者算定申し立てを一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 渦巻メロン」の「塩田ヒラメ(しおたひらめ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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被保険者の基本情報

①事業所整理記号は、【群市区】の数字と、【記号】の文字を記入します。

事業所整理記号
「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。

②事業所名称は、そのまま記入します。

③被保険者整理番号は、そのまま記入します。

被保険者整理番号
社会保険に加入したときに、会社内で1番から順に従業員に割り当てる番号です。新入社員など、新しく健康保険証を発行する場合は、直前に社会保険に加入した従業員の次の番号を採番します。従業員に被扶養者がいる場合は、従業員と同じ番号を割り当てます。

④被保険者の氏名⑤生年月日は、いずれもそのまま記入します。

⑥種別は、「1:坑内員以外の男子、2:女子、3:坑内員、5:厚生年金基金加入員であって坑内員以外の男子、6:厚生年金基金加入員である女子、7:厚生年金基金加入員である坑内員」のいずれかの番号を記入します。

 

報酬額等

①算定基礎月の報酬支払基礎日数は、前年の7月~当年の6月までの報酬支払基礎日数を記入します。

報酬支払基礎日数
月給者は暦日数、日給者は出勤日数を記入します。月給者で欠勤日数分だけ給与が差し引かれる場合は、就業規則などにより会社で定められた日数から欠勤日数を控除後の日数として記入します。

②通貨によるものの額③現物によるものの額④合計は、いずれもそのまま記入します。賃金支払基礎日数が17日未満の月があれば、その月は合計に-ハイフンを記入します。

塩田ヒラメさんが所属している株式会社 渦巻メロンはメロンの生産・販売を生業としていて、毎年6月~9月の4か月間は忙しさに比例して収益が大きくなり、報酬が70万円となります。また、毎年4月~5月および10月~12月の5か月間は通常業務となり、報酬が40万円となります。一方、毎年1月~3月はほぼ休職状態となり、報酬が0になります。そのため、塩田ヒラメさんを含めた株式会社 渦巻メロンの従業員は、通常の方法によって報酬月額の算定を行うことが著しく不当であり、保険者算定申し立てを行うことになります。

 

従前の標準報酬月額

従前の標準報酬月額は、これまでの健康保険および厚生年金保険の標準報酬月額を記入します。

 

報酬額等の比較

①前年7月~本年6月の合計額は、前述の報酬額等の合計額を記入します。ただし、賃金支払基礎日数が17日未満の月の報酬額は除くなどのルールがあります。詳しくは様式の下部を確認してください。

②前年7月~本年6月の平均額は、①を賃金支払基礎日数が17日未満の月などを減じた月数で除します。今回は「480万円を9か月」で除します。

③健康保険の【等級】および【標準報酬月額】④厚生年金保険の【等級】および【標準報酬月額】は、それぞれの等級表に応じた数字を記入します。

⑤本年の4月~6月――の欄は、計算期間が異なるだけで、基本的な記入ルールは①~④に準じます。

 

修正平均額および被保険者の同意

①2等級以上は、〇か✕を記入します。前年7月~本年6月の平均額と、本年の4月~6月の平均額から導かれる特融に2等級以上の差が生じた場合には〇を記入します。〇が記入された場合に、以後の修正平均額などを記入し、そこから導き出された等級が、当該労働者の等級になります。

②修正平均額は、①に〇を記入した場合は、「前年7月~本年6月の平均額」を記入します。

③健康保険および厚生年金保険の【等級】および【標準報酬月額】は、②同様に「前年7月~本年6月」の数字を記入します。

④被保険者の同意欄には、被保険者が様式の内容に同意するようであれば署名をします。押印は署名が直筆であれば不要です。

⑤備考欄は、ストライキや休職期間などの保険者算定となり理由などを記入します。

 


 

以上で、保険者算定申し立ての作成が終わりました。

保険者算定申し立ては、定時決定、資格取得時決定、随時改定などのタイミングに、被保険者報酬月額算定基礎届または変更届に替えて提出します。

 

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