労働保険 下請負人を事業主とする認可申請書
下請負人を事業主にしようとしたときに作成する書類が、「労働保険 下請負人を事業主とする認可申請書(以下、 下請負人を事業主とする認可申請書 )」です。
建設の事業が数次の請負によって行われる場合には、労働保険徴収法の適用については、法律上当然に元請負人のみを事業主みなします。しかし、下請負人の請負に係る事業が一定規模以上であるときは、下請負人を事業主とする認可申請書を都道府県労働局長に提出し、認可を受けることで、下請負人を元請負人から分離して、下請負人のみを事業主とすることができます。
下請負人を事業主とする認可申請書は、(下請負人の)保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、下請負人の事業所がある地域を管轄する都道府県労働局長に提出しなければなりません。
下請負人を事業主とする認可申請書は、元請負人と下請負人が共同で作成し、提出することになります。
下請負人を事業主とする認可申請書の作成手順
それでは、下請負人を事業主とする認可申請書を一緒に作成していきましょう。
今回は、元請負人である「株式会社 ズーランド建設」と、下請負人である「株式会社 アニマル建設」をモデルに進めていきます。
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届出の基本情報
①「___労働局長 殿」には、下請負人の事業所がある地域の都道府県労働局の名称を記入します。「株式会社 アニマル建設」は宮城県仙台市にありますから、ここでは「宮城」と記入します。
②右上端の日にちを記入するところには、本届出を提出する日にちを記入します。
事業所の情報
①郵便番号は、そのまま記入します。
②事業所の住所(カタカナ)は、そのまま記入します。
記入ルール カタカタ表記において、濁点がつく文字(ダの場合)は、1マスに「タ」を記入し、その次のマスに「゛」を記入します。小文字やー(長音符)も同様に1マス使います。 |
③事業所の住所(漢字)は、そのまま記入します。
上段に都道府県は記入しません。〇〇市もしくは〇〇区から書き出します。ビルやマンションでないときは、下段は未記入で構いません。
④事業所の名称・氏名(カタカナ)、⑤電話番号は、いずれもそのまま記入します。
⑥事業所の名称・氏名(漢字)は、そのまま記入します。上段に市町村名を記入し、中段に丁目や番地、下段にビルやマンションを記入します。
記入ルール 法人格と法人名を2行に分けなければならないという規則はありませんが、一行に記入する場合は、法人格と法人名の間にはスペース(1マス開ける)を入れます。 法人名に続く2号店や〇〇支店などの部分も、法人格と法人名の関係と同じように、一行に記入する場合は、スペース(1マス開ける)を入れます。 |
欄外下
①常時使用労働者数は、正社員、アルバイト、パートタイムなどの名称によらず、その事業で使用しているすべての労働者数を記入します。
②元請労働保険番号は、元請負人の事業所に振り出されている番号を記入します。
労働保険番号 事業所(会社)が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。 |
下請負人の事業所の労働保険番号と間違えないようにしてください。
③保険関係成立年月日は、保険関係が成立した日を記入します。元号には、「7:平成、9:令和」のいずれかの番号を記入します。
保険関係成立届を提出した日=保険関係成立年月日ではありませんので、注意してください。
④事業終了予定年月日は、事業の終了予定年月日を記入します。事業終了予定年月日はあくまでも予定です。
⑤下請負人の事業主氏名は、下請負人の事業所の名称、事業主の役職、事業主の氏名を記入し、押印もしくは署名をします。
下請負人の事業の情報
①事業主の所在地は、郵便番号、住所、電話番号をそのまま記入します。
②事業の名称は、建設の事業の場合、その工事名などを記入します。
③事業の概要は、建設の事業の場合、建設する建物の規模や形態がわかるように記入します。
④請負金額は、下請負人の請負金額をそのまま記入します。今回の事業は「3億3,000万円」で請け負っています。
請負金額 下請負人の事業を元請負人の事業から分離するには、下請負人の事業が一定規模以上でなければなりません。請負金額が1億8,000万円以上または概算保険料が160万円以上であることが、一定規模以上であると認められる要件となります。 |
⑤事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。アニマル建設では建設および舗装工事を生業としています。そのため、事業の種類は「建設事業」と記入します。
⑥概算保険料額は、下請負人の事業が納める概査保険料の金額を記入します。請負金額と並んで、下請負人の事業の分離要件の一つとなっています。
元請負人の事業の情報
①住所、②名称は、元請負人の事業の情報をそのまま記入します。
③氏名は、元請負人の氏名を記入します。職名も記入しておくといいでしょう。
④事業の概要は、建設の事業の場合、建設する建物の規模や形態がわかるように記入します。
⑤保険関係成立年月日、⑥事業終了予定年月日は、いずれもそのまま記入します。
⑦請負金額は、元請負人の請負金額をそのまま記入します。今回の事業は「8億円」で請け負っています。
⑧事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。ズーランド建設では高層マンションの建設を生業としています。そのため、事業の種類は「建設事業」と記入します。
⑨建設の事業の場合、建設する建物の規模や形態がわかるように記入します。
以上で、下請負人を事業主とする認可申請書の作成が終わりました。
下請負人を事業主とする認可申請書は、元請負人と下請負人が共同で作成します。記入事項は、元請負人と下請負人で混同しないように注意してください。
多くの場合、事業の概要や種類などは、元請負人と下請負人で同じような内容になっているため、前後の記入事項にずれが生じないようにしてください。