第52回社会保険労務士試験~試験問題の振り返り~(再掲)

 

こんにちは。井上とまとです。

今日も引き続き、第52回社会保険労務士試験についてお話します。

 

成績通知表が届いた!

成績通知表が届きましたので、まずはそれを載せたいと思います。

選択式33点(足切りなし) 正解率:82.5%

択一式52点(足切りなし) 正解率:74.3%

井上とまと

……さすがに圧勝と言っていいのではないでしょうか。

前日にアップした記事の通り、3年計画で進めていた社会保険労務士の学習でしたが、開始から1年半で合格および高得点に至ったことに、喜びと不安が半々といった状態です。

詳細は他の記事をご覧ください。

時間もそうですが、独学で進めていたこともあり、社会保険労務士の学習にかけたお金(受験料含め)も50,000円未満とコスパ良く終えることができました。 

ただ、試験を振り返ってみると、有頂天にばかりなっていられない部分が見えてきたので、もう一度試験問題を見直して僕の社会保険労務士試験を締めたいと思います。

 

選択式

選択式の問題で強く印象に残ったのは、問1の労働基準法・労働安全衛生法と、問4の労務管理その他の労働に関する一般常識と、問5の社会保険に関する一般常識の3問です。

 

問1 労働基準法及び労働安全衛生法

個人的には、この問題が第52回社会保険労務士試験の一番のパンチラインだったのだと思っています。空欄の構成が本当に素晴らしかった。 

空欄AとDは必ず正解しなければならない基本の問題。空欄Bは法令及び制度の基礎知識と文脈から正解を導く問題。空欄Cは文脈から導くことはもちろんのこと、判例や法令の深いところまで知らないと正解できない問題。そして、空欄Eは労働安全衛生法の正確かつ詳細な知識が必要な問題。 

選択式は基本的に2点以下で足切りとなるので、何とかして3点以上得点しなければなりません。

この問1では、空欄A・B・Dで確実に3点をもぎ取り、広く深く理解している者だけが、空欄C・Eに正解できるようになっています。 

僕はこの問1を見て、「ここで3点取れないような者は、社会保険労務士試験に合格する資格がない」と、出題者から言われたような気がしました。

そして、実際にこの問1に救済はなく、2点以下の人は合格できなかったのです。

井上とまと

僕の得点はと言うと……、見事?に3点でした。空欄A・B・Dが正解でした。

要するに、社会保険労務士試験に合格する能力はあるものの、社会保険労務士として知っておくべき広大な範囲の知識はないということです。そのため、自己採点で合格は確信していましたが、試験後も法令などのより深い理解に励まなければならないことになりました。

 

問4 労務管理その他の労働に関する一般常識

試験終了後に受験生の間で最も話題になった問題です。

井上とまと

空欄A~Eすべてで統計名を答えさせる問題でした。しかも20択……。

文字で書くとなんということはない問題に思えますが、社会保険労務士試験ではこれまでに統計の細目を答えさせる問題が多く出題されていたため、多くの人が統計名や趣旨よりも細かな数値や用語を覚えるのです。

その中で、5つの空欄すべてで統計の趣旨から統計名を答えさせる問題が出題されたのですから、正に灯台下暗しというやつです。

試験終了後にはTwitterなどで受験生の阿鼻叫喚の声が続出しました。救済は確実と言われ、一時は「1点救済になるのでは?」との声も聞かれましたが、結果は2点救済となりました。

井上とまと

僕はというと、なんと満点でした!

これは前回の「合格までの道のり」でも話しましたが、①そもそも一般常識の問題に強かったこと、②時間の都合上、統計関連はグラフしか見ていなかったこと、③FPの知識補充の意味も込めて日本経済新聞を購読しており、日ごろから統計を多く目にしていたことなど、様々な偶然と努力が重なった結果だと思います。

そのため、問題を見たときは瞬時にラッキーと思い、すべての問1~8の中では最速(おそらく5分程度。文章自体も短かったので)で回答することができました。

 

問5 社会保険に関する一般常識

広く浅くといった知識が必要な問題のように感じました。

空欄A・Bは社会保険労務士試験では比較的メジャーな統計問題。空欄C~Eは関連する法令からの問題。 

空欄A・BのうちAは時事の問題でしたが、120兆円を超えたことは結構話題になりましたのでまま正解できる問題だと思います。空欄Bは外してはいけない問題です。空欄C~Eはこちらも比較的メジャーな法令からの出題でしたが、受験生の心理を突いた間違いやすい問題になっていました。

いずれも、参考書では大々的に取り上げないような部分だったり、他の法令と混同するような表現だったり、ミスを誘うような仕掛けがあったりといやらしい問題の体でした。

おそらくではありますが、直感的に回答したものを見直しの段階で変更し、結果的に外してしまった受験生が最も多かった問題だったのではないでしょうか。問題自体は難しいとは言えないものでしたが、引っかかった受験生も相当数いたためか、こちらも救済が入っています。僕にも空欄Dで考え込みすぎて正解だった回答を修正した結果、1点マイナスの4点という結果に終わりました。

 

その他の問題

問2の労働者災害補償保険法、問3の雇用保険法、問7の厚生年金保険法、問8の国民年金法は、比較的素直な問題が多く、基礎的な問題と応用的な問題が組み合わさった構成となっていて、3点以上を取りやすいものとなっていたと思います。 

問6の健康保険法は、問題自体は基本的なものだったものの、計算問題が含まれていて、これが凡ミスを誘うようなものであったため、結果的に救済措置が施されたのだと思います。

選択式の問題については、一部でトリッキーな問題があったものの、総じて良問だったように感じます。特に、問1は僕にとって非常に印象深く、そして気を引き締めさせてくれた問題でした。

 

択一式

表紙も合わせて64ページ。過去問に比べても長文化していたと思います。試験時間も3時間半ととにかく気力と集中力の持続必要です。

いろいろなサイトでトイレ休憩などを挟むことを推奨していますが、僕は意地でも居座り続けました。

井上とまと

最後の1時間はやや尿意を催していたが……。

 

労働基準法及び労働安全衛生法

問1・2でいきなり事例問題が出題。ここで時間と頭を使い、それが後からボディーブローのように効いてきました。

女性の就労制限や就業規則、面接指導の要件など学習はしているものの、正解を導きにくい問題が続きました。午前中の「労一ショック」を受けた人たちは、午後の試験の早い段階でさらなる追撃を受けたのではないでしょうか。 

僕も普段なら10問を20分くらいで解けるところ、この10問は40分くらいかかり、後の年金20問でツケを払うことになりました。

 

労働者災害補償保険法

問6がまさかの全員正解となり、これに左右されたボーダー上の受験生は生きた心地がしなかったことでしょう。僕はこの問6の記憶がほとんどないと言っていいくらい印象が薄く、一応各予備校から出された模範解答上は正解していたので、さほど気にしていませんでした。 

最もキツかったのは問4の罰金についての問題で、しかも個数問題というおまけつき。頑張りましたがややあてずっぽうに答え、結果は当然間違いでした。しょうがないですね。 

それ以外は給付基礎日数などの簡単な問題も出題されたため、全体としては優しかったのではないでしょうか。

 

雇用保険法

問1~5は法令の基礎問題。問5~7は少し踏み込んだ問題。問8~10は徴収法の問題。

問1~5および8~10の8問で6点くらいとっておくとかなり楽になります。問5~7は法令の基礎理解のみならず、深い理解が必要な問題になります。 

僕は問5~7の3問は、すべて不正解でした。他の問題で何とか6点をもぎ取りました。自己採点中、最も冷や汗をかいたセクションでした。 

やはり、雇用保険二事業の問題は厳しいですね。出題されることはわかっているのですが、事業が多くどうしてもカバーしきれません。

井上とまと

二事業が強いという人は素直に尊敬します。

 

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識

問1~5が労務管理その他の労働、問6~10が社会保険の一般常識という構成。 

問1~2が統計や調査の内容を問う問題で、午前中とは打って変わって「やめてくれー」と心な中で叫びました。問5の社会保険労務士方が出題されるのは、もはや当たり前のことですね。問6~10は確定給付企業年金法、船員保険法、児童手当法、審査官及び審査会法、保険料と統計・調査からの出題がなかったので、落ち着いて解くことができました。 

審査官及び審査会法、保険料はややマニアックな出題となりましたが、各法令をしっかり理解していれば十分答えられる問題だったと思います。

正直、統計・調査の細かな論点を解く実力はなかったため、普通に問1・2を落とし、残念ながら問9・10のちょっとマニアックな問題も落としました。

井上とまと

このあたりが正解していれば、正解率8割以上になっていたのでしょう。

 

健康保険法

新型コロナウイルス感染症の影響か給付系の問題が散見されました。いずれも長文の傾向(10問で8ページ)にあり、ここまでの疲労も伴って非常に辛い時間帯でした。

井上とまと

僕の会場では多くの受験生が次々に手を上げ、順番にトイレ休憩を取っていました。

問題も法令の基本からは逸れていないものの、応用的なものや紛らわしいものが混在していて、2択には絞れるけどどちらか選べないといった状況に陥る人が多かったのではないでしょうか。 

当然僕もその一人で、あまりの辛さにこの健康保険法だけ見直しをかけませんでした(ダメじゃん)。得意科目ということもあり、結果的に何とか8点を取れました。

 

厚生年金保険法と国民年金法

長文に拍車がかかります。年金はどちらも10ページ近い文字量になります。ここまでくると問題の内容や難易度よりも、気力と集中力の勝負になります。 

1問にじっくり集中することができなくなっていたのと、時間的に余裕がなくなっていたので、とりあえず1回目はざっくりと回答し、自信がないものを見直しで解き直すという作戦に変更しました。 

結果、この20問を20分で解く(1問1分)という荒業を達成しましたが、多くの問題が見直しで修正をすることになりました。計3回見直しをしたのですが、3回とも大幅に趨勢するという事態に。

井上とまと

まあ、正解したので良しとしましょう。

 

総評とこれから

第52回社会保険労務士の試験は、おそらく例年よりも難しかったのだと思います。結果、選択肢式では3科目に救済措置が取られ、総点数も6割程度という合格ラインになったのでしょう。

ただ、その難しさはひねくれた問題が出たからというよりは、問題自体の質が非常に高かったのだと思います。そして、これだけの量の問題を合計5時間くらいかけて挑まなければならないこの試験を、比較て若いうちに受けといてよかったなぁと心から感じています。

井上とまと

受験生の平均年齢は40歳以上ということなので、ホント皆さんすげーと思います。

僕は2回目の試験で合格となりました。しかし、試験の中で多くの課題も見つけました。 試験に向けた学習もそこまで根詰めてやったという記憶もなく、予想よりも早く目標を達成してしまったので何だかふわふわしています。

これからどう動いていくかは、じっくり考えていきたいと思いますが、まずはこのサイトの運営に力を入れていきたいと思います。

 

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