労働者死傷病報告(休業4日以上)
事業場で事故が発生し、労働者が死亡または4日以上の休業を要する負傷または病気をしたときに作成する書類が、「労働者死傷病報告(休業4日以上)」です。
労働者死傷病報告は、「労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその付属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したとき」に作成しますが、労働者が死亡または4日以上の休業をした場合と、4日未満の休業した場合で、作成する書面の様式が異なります。
労働者死傷病報告は、前述のいずれの場合も、所轄の労働基準監督署に提出しますが、労働者が死亡または4日以上の休業をした場合は、遅滞なく提出しなければなりません。一方、労働者が4日未満の休業した場合は、1月~3月、4月~6月、7月~9月、10月~12月の期間における事故について、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までに提出しなければなりません。
たとえば、1月20日に発生した労働災害により、労働者が死亡または4日以上の休業をした場合は、遅滞なく(諸々の事情は認めるが可能な限り早く)提出しなければなりません。一方、労働者が4日未満の休業した場合は、事故が1月20日に発生したため、1月~3月の期間の最後の月(3月)の翌月末日まで(4月1日~4月30日の間)に提出しなければなりません。
労働者死傷病報告(休業4日以上)の作成手順
それでは、労働者死傷病報告(休業4日以上)を一緒に作成していきましょう。
今回は、「ウミネコ建設 株式会社」の現場代表である「雉羽根朗(きじはねろう)」さんの報告をモデルに進めていきます。
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事業の情報A
①労働保険番号は、事業所に振り出されている事業所番号を記入します。
労働保険番号 事業所が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。 |
労働保険番号は、多くの労働保険関連の手続きで必要になります。
②事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。ウミネコ建設 株式会社では道路の工事を生業としています。そのため、事業の種類は「道路新設工事」と記入します。
事業の情報B
①事業場の名称【カナ】は、事業場の名称をカナ表記で記入します。
濁点のあるカナは、濁点を別にしないで濁点ごと1マスに記入します。一方、「ァ、ィ、ゥ、ェ、ォ、ャ、ュ、ョ」などの小文字のカナは、単独で1マスに記入します。
②事業場の名称【漢字】は、事業場の名称を漢字表記で記入します。
③工事名は、建設業の場合などに記入します。ここでは「県道200号線道路新設工事」と記入します。
報告の概要
①事業場の所在地(電話番号)、⑤郵便番号は、いずれもそのまま記入します。
②構内下請事業の場合は親事業場の名称、建設業の場合は元方事業場の名称は、労働者死傷病報告(休業4日以上)の報告書作成者が下請けや請負人の場合に、その親事業場や元方事業場の名称を記入します。
労働者死傷病報告は、親事業場や元方事業場が作成するわけではなく、被災労働者を雇い入れている事業所が作成します。
③派遣労働者が被災した場合は、派遣先の事業場の名称は、そのまま記入します。
派遣労働者に係る労働者死傷病報告 派遣先事業者は、派遣労働者が労働災害に被災した場合は、労働者死傷病報告を作成し、派遣先の事業場を所轄する労働基準監督署に提出しなければなりません。また、その労働者死傷病報告の写しを、遅滞なく派遣元事業者に送付しなければなりません。派遣元事業者は、派遣労働者が労働災害に被災したことを把握した場合、派遣先事業から送付された労働者死傷病報告の写しを踏まえて労働者死傷病報告を作成し、派遣元の事業場を所轄する労働基準監督署に提出しなければなりません。 |
④提出事業者の区分は、被災労働者が派遣労働者の場合に、派遣先か派遣元かのいずれかに〇を付けます。
⑥発生日時は、労働災害の発生日時を記入します。年号は「7:平成、9:令和」のいずれかの数字を記入します。また、時間は24時間表記で記入します。
令和2年9月5日午後2時5分に労働災害が派生した場合は、9⃣0⃣2⃣0⃣9⃣0⃣5⃣ 1⃣4⃣0⃣5⃣と記入します。
被災労働者の情報
①被災労働者の氏名【カナ】、②被災労働者の氏名【漢字】は、いずれもそのまま記入します。カナ表記のルールは事業場の名称【カナ】と同じで、苗字と名前の間は1マス開けます。
③生年月日は、そのまま記入します。年号は「1:明治、3:大正、5:昭和、7:平成、9:令和」のいずれかの数字を記入します。また、年齢は労働災害の発生日時点での年齢を記入します。
④性別は、「男、女」のいずれかに〇を付けます。
⑤職種は、その事業における被災労働者の職種を記入します。
⑥経験期間は、⑤の職種の経験期間が1年以上の場合は年数を、1年未満の場合は月数を記入します。
経験期間は、勤続年数ではありません。④の職種に就いた期間です。
被災状況
①休業見込期間又は死亡日時【休業見込】は、右側の「月、週、日」のいずれかに〇を付け、左側の▢▢に月、週、日のいずれかの数字を記入します。
②休業見込期間又は死亡日時【死亡】は、被災労働者が死亡した場合に〇を付けます。
③休業見込期間又は死亡日時【死亡日時】は、被災労働者が死亡した日時を記入します。労働災害の発生日時ではありません。
④傷病名、⑤傷病部位は、いずれもそのまま記入します。
⑥被災地の場所は、労働災害が発生した場所を記入します。
⑦災害発生状況及び原因は、場所、作業内容、使用していた物品や環境、不安全および有害の状態、災害の大きさなどが余すことなく記入されている必要があります。原因は分析できた範囲で記入してください。ここでは「採掘中のトンネル内《場所》で、岩盤を採掘ドリル《使用してい物品》で掘削していたところ《作業内容》、掘削ドリルの振動により《不安全および有害の状態》、内壁の補強材が崩落し《環境》、右足を瓦礫に挟まれた《災害の大きさ》。」と記入します。
⑧略図は、発生時の状況をイラストで記入してください。
報告者および欄外下
①報告書作成者職氏名は、報告書作成者が所属する事業所の名称、職名、氏名を記入します。
②欄外下の日にちを記入するところには、労働者死傷病報告(休業4日以上)を提出する日を記入します。
③左端の「___労働基準監督署長 殿」には、事業場がある地域を管轄する労働基準監督署長の名称を記入します。「ウミネコ建設 株式会社」は、大阪府堺市中区にありますから、ここでは「堺」と記入します。
④事業者職氏名には、事業者の事業所の名称、事業主の職名、事業主の氏名を記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。
以上で、労働者死傷病報告(休業4日以上)の作成が終わりました。
労働者が4日未満の休業をしたときの労働災害よりも、労働者が死亡または4日以上の休業をしたときの労働災害の方が、たいていの場合その規模が大きいため、様式第23号の方が様式第24条よりも、労働災害について詳細に記入するようになっています。