事業場外労働に関する協定届

 

 

事業場外労働のみなし労働時間制を採用するときに作成する書類が、「事業場外労働に関する協定届」です。

事業場外労働のみなし労働時間制を採用するときは、必ず労使協定を締結しなければなりませんが、労使協定で定める時間が法定労働時間以下であるときには、行政官庁に届け出る必要はありません。

事業場外労働を遂行するために、所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、労使協定で定められた(通常必要とされる)時間労働したものとみなされます。この場合は、事業場外労働に関する協定届を行政官庁に届け出なければなりません。

事業場外労働のみなし労働時間制には、次の4つのパターンがあります。

事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、かつ使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な場合」です。

井上とまと

いわゆる「在宅勤務」や「テレワーク」についても、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されますが、前文の要件を満たす必要があります。

  

事業場外労働に関する協定届の作成手順

 

それでは、事業場外労働に関する協定届を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 ヤマノ金属」の代表取締役である「山野金男(やまのかねお)」さんと、労働者の代表である「河野鉄男(かわのてつお)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

事務所やデスク周りに必要なものは楽天市場 でお得にそろえましょう!



 

事業の情報

①事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。株式会社 ヤマノ金属は、自動車用の金属部品を製造しています。そのため、事業の種類は「金属材料品製造業」と記入します。

②事業の名称は、その事業所の名前を記入します。ここでは「株式会社 ヤマノ金属」と記入します。

③事業の所在地は、事業所がある場所の住所を記入します。

店舗、社屋、事務所などを持つ場合は、事業の所在地はその店舗などがある住所を記入します。一方、店舗などを持たずに事業を経営している場合(フリーランスなど)は、自宅などの主たる活動拠点を記入します。

 

協定の内容

①業務の種類は、事業場外労働の対象となる業務を記入します。ヤマノ金属では、「製品の営業」に当たる人を対象としています

②該当労働者数は、上記の「業務の種類」を担当する労働者数を記入します。また、満18歳未満の者は(括弧)内に記入します。ヤマノ金属では、「10人」の労働者が事業場外労働の対象となります。

③1日の所定労働時間は、就業規則などで定められている労働時間を記入します。ヤマノ金属の所定労働時間は「8時間」です。

法定労働時間と所定労働時間
労働基準法で定められている労働時間の上限のことです。原則として、休憩時間を除き1日8時間、1週間に40時間と定められています。一方、所定労働時間とは、事業所ごとに定められた労働時間のことで、法定労働時間を超えない限り、独自の労働時間を設定できます。

④協定で定める時間は、事業場外労働に関する労使協定で定められた労働時間を記入します。事業場外労働をした日については、実際の労働時間が何時間であろうとも、この「協定で定める時間」労働したとみなされます。ヤマノ金属の協定で定める時間は「9時間」です。

法定労働時間以上の労働時間
事業場外労働に係る労使協定において、事業場外労働の労働時間を法定労働時間以上の時間を設定することもできます。しかし、その場合は「36協定」という法定労働時間を超えて労働させることができるようにする別の協定も結ぶ必要があります。

⑤協定の有効期間は、「その起算日からの期間」というかたちで記入します。労使協定の有効期間に、法律上の制限はありませんが、1年間に設定するところが多いようです。

 

欄外下A

①協定の成立年月日は、 事業場外労働に係る労使協定が成立した日を記入します。

②代表する者の職名・氏名は、労使協定を締結するときの労働者側の代表者の所属している事業所名、職名、氏名を記入し、その横に代表する者の印鑑を押します。

③選出方法は、労働者側の代表者の選出方法を記入します。

 

欄外下B

①欄外下の日付を記入するところには、事業場外労働に関する協定届を提出する日を記入します。

②左端の「___労働基準監督署長 殿」には、その事業所の住所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。ヤマノ金属は、埼玉県草加市栄町にありますから、ここでは「春日部」と記入します。

③使用者の情報は、事業所の名称、事業主の職名、事業主の氏名を記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。

 


 

以上で、事業場外労働に関する協定届の作成が終わりました。

事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、かつ使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な場合」です。したがって、次のような業務には適用されません。

  • 何人かのグループで事業場外労働に従事するとき、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいる場合
  • 事業場外で業務に従事するが、無線や携帯電話などによって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
  • 事業場において、訪問先、帰社時刻などの当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示した通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合

また、労使協定により「労働したとみなす」時間は、事業場外で従事した業務についての時間だけです。事業場内で業務に従事した時間と、 事業場外で従事した業務についての時間を合わせて、 「労働したとみなす」 ことはできません。

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA