【徹底比較】国内の株式を投資対象とする投資信託【2022年上半期】

 

 

株式を投資対象とする投資信託において、最も重要なことの一つは「どの国・地域」の株式を選ぶかという点にあります。その中で、国内(日本)の株式を選ぶというのは、日本人の投資家として至極自然な行動です。また、国内(日本)の株式は、先進国の株式としての側面も持ち、その単純な価値は米国に次ぐものとなっています(米国との差は非常に大きいですが)。

国内の株式だけに投資するつみたてNISA対応の投資信託は38本あります(2022年4月現在)。採用されているベンチマークは、日経平均株価(日経225)、東証株価指数(TOPIX)、JPX日経インデックス400の3つです。

今回は、国内の株式だけに投資するつみたてNISA対応の商品38本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

 

ランキング候補一覧

 

国内の株式だけに投資するつみたてNISA対応の投資信託

商品名ベンチマーク設定日
PayPay投信・日経225インデックス:PayPay日経平均株価(日経225)2021年3月8日
朝日ライフ・日経平均ファンド(愛称:にぃにぃGo):朝日ライフ日経平均株価(日経225)2000年11月30日
たわらノーロード・TOPIX:たわらTOPIX東証株価指数(TOPIX)2017年3月21日
たわらノーロード・日経225:たわら日経日経平均株価(日経225)2015年12月7日
しんきんノーロード日経225:しんきん日経平均株価(日経225)2017年10月31日
iFree JPX日経400インデックス:iFree JPXJPX日経インデックス4002016年9月8日
iFree TOPIXインデックス:iFree TOPIX東証株価指数(TOPIX)2016年9月8日
iFree 日経225インデックス:iFree 日経225日経平均株価(日経225)2016年9月8日
つみたて日経225インデックスファンド:つみたて中銀日経平均株価(日経225)2022年2月14日
東京海上セレクション・日本株TOPIX:東京海上TOPIX東証株価指数(TOPIX)2001年9月25日
東京海上・日経225インデックスファンド:東京海上日経日経平均株価(日経225)2016年10月27日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・JPX日経400インデックスファンド:〈なし〉JPXJPX日経インデックス4002015年1月29日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・TOPIXインデックスファンド:〈なし〉TOPIX東証株価指数(TOPIX)2015年4月27日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・日経平均インデックスファンド:〈なし〉日経日経平均株価(日経225)2016年11月21日
ニッセイ・日経225インデックスファンド:ニッセイ日経日経平均株価(日経225)2004年1月28日
ニッセイ・TOPIX・オープン:ニッセイTOPIX東証株価指数(TOPIX)2001年4月27日
農林中金〈パートナーズ〉つみたてNISA日本株式・日経225:農林中金日経平均株価(日経225)2017年12月19日
NZAM・ベータ・日経225:NZAM日経平均株価(日経225)2020年2月13日
野村・インデックスファンド・JPX日経400(愛称:Funds-i JPX日経400):Funds-i JPXJPX日経インデックス4002014年3月7日
野村・インデックスファンドTOPIX(愛称:Funds-i TOPIX):Funds-i TOPIX東証株価指数(TOPIX)2010年11月26日
野村・インデックスファンド日経225(愛称:Funds-i 日経225):Funds-i 日経日経平均株価(日経225)2010年11月26日
野村・つみたて日本株投信:野村投信日経平均株価(日経225)2017年10月2日
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド:三井住友東証株価指数(TOPIX)2011年12月9日
SMBC・DCインデックスファンド(日経225):SMBC日経平均株価(日経225)2020年7月22日
My SMT・TOPIXインデックス(ノーロード):My SMT TOPIX東証株価指数(TOPIX)2018年1月12日
My SMT・日経225インデックス(ノーロード):My SMT 日経日経平均株価(日経225)2017年11月24日
SMT・JPX日経インデックス400・オープン:SMT JPXJPX日経インデックス4002014年1月21日
SMT・TOPIXインデックス・オープン:SMT TOPIX東証株価指数(TOPIX)2008年1月9日
SMT・日経225インデックス・オープン:SMT 日経日経平均株価(日経225)2010年7月30日
eMAXIS JPX日経400インデックス:eMAXIS JPXJPX日経インデックス4002014年4月1日
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均):eMAXIS Slim 日経日経平均株価(日経225)2018年2月2日
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):eMAXIS Slim TOPIX東証株価指数(TOPIX)2017年2月27日
eMAXIS TOPIXインデックス:eMAXIS TOPIX東証株価指数(TOPIX)2009年10月28日
eMAXIS 日経225インデックス:eMAXIS 日経日経平均株価(日経225)2009年10月28日
つみたて日本株式(TOPIX):つみたて TOPIX東証株価指数(TOPIX)2017年8月16日
つみたて日本株式(日経平均):つみたて 日経日経平均株価(日経225)2017年8月16日
Smart-i TOPIXインデックス:Smart-i TOPIX東証株価指数(TOPIX)2017年8月29日
Smart-i 日経225インデックス:Smart-i 日経日経平均株価(日経225)2017年8月29日

設定日が最も古いものは、2000年11月30日の朝日ライフ・日経平均ファンド(愛称:にぃにぃGo)で、最も新しいものは2022年2月14日のつみたて日経225インデックスファンドです。

アクティブ運用に区分されている投資信託は除いています。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

基準価額は、トップ5が5万円を超えました。36,031円のSMT・日経225インデックス・オープンが1位に輝き、35,032円のニッセイ・日経225インデックスファンドが続きます。9位以下は2万円未満となっており、全体的に基準価額はあまり大きくありません。

騰落率は、50%以上の商品が1本、40%台が2本、30%台が7本と、成長性は悪くありません。騰落率の上位はいずれも基準価額が2万円未満の商品であり、比較的新しい投資信託の伸びが大きいようです。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

純資産総額は、ニッセイ・日経225インデックスファンドが、2位に圧倒的な差をつけて1位に輝きました。2位の三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド、3位のたわらノーロード・日経225、4位の野村・インデックスファンド日経225(愛称:Funds-i 日経225)は、いずれも500億円を超えています。意外にも100億円未満の商品は全体の3分の1と少なく、10億円未満の商品もごくわずかです。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

資産の流入出は、純資産総額で圧倒的な数字を見せたニッセイ・日経225インデックスファンドや、純資産総額で4位になった野村・インデックスファンド日経225(愛称:Funds-i 日経225)などに500億円を超える資産の流出が見られました。純資産総額と資産の流入出にそれほど大きな相関はないようです。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

比較対象である38本の投資信託は、設定日に最大で20年以上の開きがあるため、トータルリターンは過去3年間の平均的な年率で比較した方が良いでしょう。38本の投資信託のほとんどが、設定日から現時点(2022年9月末)までに3年が経過していますし。

3年間の平均年率が10%を超えているファンドは14本ありますが、1位の〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・日経平均インデックスファンドですら平均年率11.72%と、1位から12位までの間にそれほど大きな開きはありません。また、下位層を見ても、(設定から3年が経過しているものの中で)最下位であるSmart-i TOPIXインデックスが平均年率7.78%と、1位から34位までの間に、4%程度の差しかありません。38本の投資信託のすべてが、国内の株式だけに投資しているため、当然の結果といえるかもしれません。

 

信託報酬ランキング

 

1位から20位までが年率0.1%となっています。1位は0.1430%のPayPay投信・日経225インデックスとなりました。2位は0.1540%で同率9ファンドが並びました。0.5%以上の商品は2本しかなく、全体的に信託報酬(コスト)は小さく抑えられています。

たわらノーロード・バランス(8資産均等型)と、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が、0.1540%で同率1位となりました。3位のSmart-i 8資産バランス(安定型)と、4位のSmart-i 8資産バランス(安定成長型)までが0.1%台で、0.2%台は8ファンドとなっています。最も信託報酬が大きい商品でも、0.5500%という数字に抑えられています。

購入時手数料がかかる商品は7本、解約時手数料がかかる商品はわずか2本です。上位過半数だけを見れば、コスト(信託報酬など)、パフォーマンス(リターン)ともに、意味のある差を持った順位付けは難しそうです。

 

おまけ

 

国内の株式に投資する(国内の株式指数をベンチマークとする)つみたてNISA対応の投資信託(38ファンド)は、そのすべてがインデックスファンドとなっています。インデックスファンドの重要な評価事項の1つに、「ベンチマークとの乖離度」があります。

インデックスファンドは、ベンチマークと乖離がないほど評価が高くなります。具体的には、基準価額の騰落率と、ベンチマーク騰落率を比較し、その差を乖離度として評価します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指していますから、ベンチマークよりも騰落率が大きくなっていなければなりません。

国内の株式に投資する(国内の株式指数をベンチマークとする)つみたてNISA対応の投資信託38本については、ベンチマークを大きく下回っているものはありませんでした(ベンチマーク騰落率が算出されていない3ファンドを除く)。中でも、〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・日経平均インデックスファンドと、iFree JPX日経400インデックスについては、ベンチマークを3.0%以上上回っており、アクティブ型の投資信託に匹敵する数字となっています。

 

取引のしやすさランキング

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

37ファンド中33ファンドが大手4社以上の証券会社で取り扱っています。4社と5社すべての違いはありますが、評価としては差を付けなくていいでしょう。PayPay投信・日経225インデックスは、取り扱いが3社であったため、33のファンドよりは少しだけ評価が下がります。SMBC・DCインデックスファンド(日経225)、農林中金〈パートナーズ〉つみたてNISA日本株式・日経225、しんきんノーロード日経225、つみたて日経225インデックスファンドの4ファンドは、インターネット証券での取り扱いがないため、評価が大きく下がります。

 

当サイトの評価ランキング

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。また、投資対象が(国内の)株式に限定されているため、リスクの程度についても把握しておく必要があります。そのため、今回は当サイトの評価を、合計値とリスク値から評定していきます。

1位は合計値34ポイントの三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドになりました。ただし、1位と2位の差はたった1ポイントしかなく、以下も団子状態に続いています。2位は33ポイントで〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・日経平均インデックスファンド、3位は32ポイントで同率4ファンドが並びます。(設定日からの期間が短いため)7項目すべての評点が付いていない5ファンドを除けば、最下位は23ポイントの朝日ライフ・日経平均ファンド(愛称:にぃにぃGo)であり、トップとの差は10ポイント程度となっています。

リスク値は38ファンド(シャープレシオおよび標準偏差の評点がない4ファンドを除く)のほとんどが6か5という評点となりました。そのため、38ファンドの間に「投資リスクの差はほとんどない」ということができるでしょう。ただし、リスク値の評点6または5という数字自体は、そこまで良いものではありません。(リターンに対して)一定以上のリスクのある資産であるという認識を持った方が良いでしょう。

 

総合ランキング

 

国内の株式に投資するつみたてNISA対応の投資信託(38ファンド)は、投資対象が同一かつ国内という相対的に安定した株式に投資するため、そこまで大きな差は生まれません。ただし、インデックスファンドとして採用しているベンチマークは、日経平均株価(日経225)、東証株価指数(TOPIX)、JPX日経インデックス400の3つのバリエーションがあるため、そこにそれぞれの投資信託の色が出るかもしれません。株式としては安定している部類に入るため、リターンよりもコスト面やリスク面の評点が重要になります。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。信託報酬は0.1%台の20ファンドは良、その他の0.2%以上のファンドは可になります。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要ですが、38ファンド中33ファンドが取引しやすい(取り扱っている金融機関・証券会社が多い)評価となっているため、差は付けられません。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

たわらノーロード・日経225:アセットマネジメントOne株式会社

 

4位

iFree 日経225インデックス:大和アセットマネジメント株式会社

 

3位

〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・TOPIXインデックスファンド:ニッセイアセットマネジメント株式会社

 

2位

つみたて日本株式(日経平均):三菱UFJ国際投信株式会社

 

1位

〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・日経平均インデックスファンド:ニッセイアセットマネジメント株式会社

 

ランキングの上位は基本的に日経平均株価(日経225)をベンチマークとする投資信託です。3位にランクインした〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・TOPIXインデックスファンドは、唯一東証株価指数(TOPIX)をベンチマークとする商品です。ニッセイアセットマネジメント株式会社が発行する2本が1-3を取りました。運用方針がつみたてNISA対応の投資信託を投資家にアジャストしているのでしょう。

国内の株式を投資対象とした投資信託のランキングは、ハッキリ言って差を付けるのが難しいです。そのため、上位勢は基本的に数字以上の順位はありません。信託報酬の小ささと、ベンチマークの好みで選べばいいと思います。

 

以上、7~8指数をベンチマークとするNISA対応の投資信託の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

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