出向76日目:業務5
現在、私は専門的な業務を任されていないため、明確な固定業務という者はありません。
固定業務がないというのは善し悪しあり、事案に対する責任は薄れますが、広範囲な雑務・支援に回されることも多くなります。
そのため、突発的に業務を振られることもあり、その最たるものが国会対応ということになります。
結果、一般、マスコミ、議員、省内外、団体と幅広い関係者と接することになり、取り扱う業務も法令、予算、事業、制度とこちらも幅広くなります。
知識は広く浅くといったところで、全方向の対応を迫られますが、深く問われると手も足も出ません。
少しずつ応えられることも増えていますが、課長・局長以上クラスからの急な一問には対応しきれません。
官僚組のプロパー職員は、広く浅くではなく、広く非常に深くの知識が必要で、現実に接していると彼らの優秀さが身にしみてわかります。
出向前はわずかながらの対抗意識もありましたが、そんなものはあっという間に霧散しました。
彼らと私の間には、基礎学力や地頭の大きな差もありますが、それ以上に意識の差が大きいです。
私も働きながら独学でケアマネージャーやFP、社会保険労務士の試験に合格しましたので、人よりも少しだけ向上心が高いという自負があります。
しかし、彼らはそんなものを遙かに凌駕する意識の高さ、勤勉さ、忍耐強さを持っています。
朝8時に出勤し、残業が6時間を超える23時にもなれば、普通の人なら居眠りはしないまでも疲労感から能率が下がります。
彼らはそんな時間帯でも、空き時間を見つけて知識を補充したり、自己研鑽に励んでいたりします。
スタートも、そしてスタート後も、一般人とは全く違う彼らに対する気持ちは、尊敬と悲哀しかありません。