【徹底比較】つみたてNISA対応のアクティブ運用の投資信託【2022年上半期】

 

 

つみたてNISA対応の投資信託は、2022年4月時点で200本以上ありますが、その大半がインデックス型の投資信託に分類されています。一方、アクティブ型の投資信託は全体の2割程度(23本)となっています。

つみたてNISA対応のアクティブ型の投資信託は、純粋なアクティブ型の投資信託(ベンチマークを上回る運用を目指す投資信託)というよりは、つみたてNISA対応のインデックス型の投資信託よりも高い収益性を目指しや商品群であると言った方がいいかもしれません。

今回は、つみたてNISA対応のアクティブ型の商品23本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

 

ランキング候補一覧

 

つみたてNISA対応のアクティブ型の投資信託

商品名対象資産設定日
HSBC・ワールド・セレクション(成長コース)(愛称:ゆめラップ):HSBC資産複合(世界)2015年9月25日
LOSA 長期保有型国際分散インデックスファンド(愛称:LOSA・投資の王道):LOSA資産複合(世界)2015年12月28日
EXE-i・グローバル中小型株式ファンド:EXE-i株式(世界)2013年5月13日
ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング20):ハッピー20資産複合(世界)2000年7月31日
ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング30):ハッピー30資産複合(世界)2000年7月31日
ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング40):ハッピー40資産複合(世界)2000年7月31日
結い 2101:結い株式(世界)2010年3月29日
キャピタル・世界株式ファンド(DC年金つみたて専用):キャピタル株式(世界)2016年4月21日
コモンズ30ファンド:コモンズ株式(世界)2009年1月9日
セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド:バンガード資産複合(世界)2007年3月15日
セゾン・資産形成の達人ファンド:達人資産複合(世界)2007年3月15日
iFree NYダウ・インデックス:iFree株式(米国)2016年9月8日
年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース):つみたてJ株式(国内)2001年10月31日
ニッセイ・日本株ファンド:ニッセイ株式(国内)2001年12月26日
のむラップ・ファンド(積極型):のむラップ資産複合(世界)2010年3月15日
フィデリティ・欧州株ファンド:F欧州株式(欧州)1998年4月1日
フィデリティ・米国優良株ファンド:F米国株式(米国)1998年4月1日
ブラックロック・インデックス投資戦略ファンド(愛称:iパズル):ブラックロック資産複合(世界)2014年5月28日
大和住銀・DC国内株式ファンド:大和住銀株式(国内)2006年10月23日
世界経済インデックスファンド:世界経済資産複合(世界)2009年1月16日
eMAXIS NYダウ・インデックス:eMAXIS株式(米国)2013年8月7日
ひふみ投信株式(世界)2008年10月1日
ひふみプラス株式(世界)2012年5月28日

設定日が最も古いものは、1998年4月1日のフィデリティ・欧州株ファンドとフィデリティ・米国優良株ファンドで、最も新しいものは2016年9月8日のiFree NYダウ・インデックスです。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

基準価額は、ひふみ投信とひふみプラスのレオス・キャピタルワークス株式会社発行の2本が5万円超で1・2を独占しました。次いで、フィデリティ・欧州株ファンドとフィデリティ・米国優良株ファンドのフィデリティ投信株式会社の2本が続きます。5位~7位までが3万円台、8位~15位までが2万円台と、全体的に基準価額は大きいといえます。

騰落率は、驚異の60%超が1本(EXE-i・グローバル中小型株式ファンド)ありますが、2位以下は40%を超えていません。また、基準価額と騰落率の順位は大きく異なります。ひふみ投信やひふみプラスは、基準価額こそ大きいものの、騰落率は下位順となっています。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

純資産総額は、ふひみプラスが、2位にダブルスコア近くの差をつけて1位になりました。2位にセゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド、3位にセゾン・資産形成の達人ファンドと、セゾン投信株式会社発行の2本があとを追います。純資産総額が1,000億円を超えているのは、4位のひふみ投信を含めて4本で、100億円を超えていないものは1本しかありませんでした。全体としてファンドの規模は大きい傾向にあります。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

資産の流入出の評価は、純資産総額の大きさにほぼ比例しますが、ひふみプラスだけは1,000億円レベルの流出がみられています。一方、同委託会社発行のひふみ投信は微流入傾向にあります。全体でみると、直近3年間で明確に資産が流出しているのは、ふひみプラスとブラックロック・インデックス投資戦略ファンド(愛称:iパズル)だけです。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

比較対象である23本の投資信託は、設定日に最大で20年以上の開きがあるため、トータルリターンは過去3年間の平均的な年率で比較した方が良いでしょう。23本の投資信託のいずれにおいても、設定日から現時点(2022年9月末)から3年が経過していないものもないですし。

3年間の平均年率が10%を超えているファンドは12本あります。トップは平均年率18.82%のフィデリティ・米国優良株ファンドとなりました。次いで、キャピタル・世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)、iFree NYダウ・インデックス、EXE-i・グローバル中小型株式ファンドが続き、以上の4位までが平均年率15%超となっています。一方で、アクティブ型の投資信託であるにもかかわらず、債券を含めたバランス型の投資信託と同じようなリターンの商品も少なくありません。アクティブ型の運用ゆえにリスクをとってリターンを得ようとしているわけですから、本カテゴリーのランキングは総合順位を決めるうえで重要になります。

 

信託報酬ランキング

 

アクティブ型の運用であるため、インデックス型の投資信託に比べると、全体的に信託報酬(コスト)は大きい傾向にあります。ボーダーラインは年率1.0%を超えるか超えないかといったところでしょう。

1位のiFree NYダウ・インデックス、2位のEXE-i・グローバル中小型株式ファンド、3位のセゾン・バンガード・グローバル・バランスファンドまでが0.5%を切っています。4位~10位までの6本が1.0%未満、11位以下はすべて1.0%を超えています。

購入時手数料がかかる商品は、23本中12本で、信託報酬が0.5%以下だった3本はいずれも購入時手数料がかかりません。解約時手数料がかかるのは、世界経済インデックスファンド、セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド、セゾン・資産形成の達人ファンド、のむラップ・ファンド(積極型)の4本でした。

 

おまけ

 

つみたてNISA対応のアクティブ型の投資信託(23ファンド)には、インデックス型の投資信託と異なり、明確なベンチマークがないものも少なくありません。また、ベンチマークが設定されていた場合でも、参考指数としての意味合いであることも多いです。そのため、アクティブ型の投資信託においては、「ベンチマークとの乖離度」はそれほど重要ではありません。

ただし、ベンチマークが設定されているもの(参考指数としての設定だとしても)は、運用上の安心・判断材料になりますので、設定されていないものよりは多少ポジティブにとらえることができます。つみたてNISA対応のアクティブ型の投資信託23本中、ベンチマークもしくは参考指数の設定があったものは、以下の13ファンドです。――セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド、EXE-i・グローバル中小型株式ファンド、ニッセイ・日本株ファンド、ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング40)、ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング30)、ハッピーエイジング・ファンド(ハッピーエイジング20)、フィデリティ・米国優良株ファンド、eMAXIS NYダウ・インデックス、コモンズ30ファンド、iFree NYダウ・インデックス、年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)、大和住銀・DC国内株式ファンド、ひふみ投信――

 

取引のしやすさランキング

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

37ファンド中17ファンドが大手4社以上の証券会社で取り扱っています。4社と5社すべての違いはありますが、評価としては差を付けなくていいでしょう。キャピタル・世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)は、取り扱いが3社であるため、やや評価が下がります。セゾン・資産形成の達人ファンド、セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド、HSBC・ワールド・セレクション(成長コース)(愛称:ゆめラップ)、LOSA・長期保有型国際分散インデックスファンド(愛称:LOSA・投資の王道)は取引のできるところがかなり限られるため、より評価を下げなければなりません。結い 2101はインターネット証券の取り扱いがありません。

 

当サイトの評価ランキング

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。ただし、対象となる23ファンドは、すべてアクティブ型の投資信託であるため、ベンチマークの乖離度が明確になってないものも少なくありません。そのため、今回は合計値からベンチマークとの乖離度の評点を除いています。また、リスク値も非常に重要であるため、リスク値も加味して順位を出しています。

1位には世界経済インデックスファンドと、セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンドが同率で入りました。合計値30、リスク値9といずれの評点も同じでした。3位はこちらも同率で、ひふみ投信と、iFree NYダウ・インデックスが入りました。次いで、セゾン・資産形成の達人ファンドが続きます。

リスク値は合計値同様に、世界経済インデックスファンドと、セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンドが同率で1位となりました。リスク値は最高が9、最低が5と23ファンドの中で4ポイントしか差が出ませんでした。以外にも一定のリスクの範囲に収まったというところでしょうか。

 

総合ランキング

 

アクティブ型の投資信託を対象としたランキングであるため、トータルリターンが最も重要になります。また、潜在的なリスクはインデックスファンドよりも大きいため、信託報酬などのコスト面との兼ね合いも把握しておかなければなりません。ただし、シャープレシオや標準偏差などのリスク値は23ファンドでそこまで大きな差がなかったため、総合ランキングへの影響はそれほど大きくありません。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。

信託報酬は0.2%と0.3%台の2ファンドは良、0.5%~1.0%の8ファンドは可、1.0%以上の13ファンドは不可の評価になります。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要ですが、23ファンド中17ファンドが取引しやすい(取り扱っている金融機関・証券会社が多い)評価となっているため、差は付けられません。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

フィデリティ・米国優良株ファンド:フィデリティ投信株式会社

トータルリターン(平均年率:3年間)は23ファンド中1位でしたが、コスト面の問題が足を引っ張るかたちになりました。その他、リスク面も競合よりは評点が下がったため、この順位となりました。つみたてNISA対応の投資信託の中では、これぞアクティブファンドと言える商品の一つです。

 

4位

セゾン・バンガード・グローバル・バランスファンド:セゾン投信株式会社

バランス型の投資信託であるため、アクティブファンドとしての醍醐味はやや薄いです。また、リターンも他の競合に比べると小さく、取引のしやすさもやや劣ります。ただし、資産としての安定性は良好で、総合的な評価は非常に高くなっています。5位とは相対して、コスト面やリスク面の評点が高いです。

 

3位

キャピタル・世界株式ファンド(DC年金つみたて専用):キャピタル・インターナショナル株式会社

トータルリターンの高さと、1.0%程度の信託報酬という絶妙さがポイントです。総合的な評価も高く、非の付け所がありません。ただし、取引のできる場所が限られているため、取り扱いには注意が必要です。アクティブファンドとしてのバランスは取れているものの、5位と4位に比べるとややどっちつかずな印象もあります。

 

2位

EXE-i グローバル中小型株式ファンド:SBIアセットマネジメント株式会社

ファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託です。トータルリターンが大きいうえに、信託報酬も抑えられています。直近の成長性は非常に高く、騰落率はつみたてNISA対応の投資信託の中でもトップクラスの数字です。多くのランキングで上位に食い込むなど、3位以下とは一線を画す評価となっています。

 

1位

iFree NYダウ・インデックス:大和アセットマネジメント株式会社

コスト面(信託報酬)、トータルリターン、総合値のすべてにおいてトップクラスの数字となっています。特に、コスト面は他の追随を許しません。2位よりもあらゆる面で評価が高く、取引のしやすさや知名度も魅力です。つみたてNISA対応の投資信託としては珍しいNYダウをベンチマークにしている点もポイントです。

 

以上、NISA対応のアクティブ運用の投資信託の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA