【徹底比較】7~8指数をベンチマークとする投資信託【2022年上半期】

 

 

投資信託の醍醐味は、複数の資産に分散して投資できるというところにあります。

株式、債券、不動産投資信託証券(REIT)、上場投資信託証券(ETF)などの資産を組み合わせる場合、それぞれの資産を代表する指数も組み合わせることがあります(いわゆる合成ベンチマーク)。

複数の資産組み入れる、複数の指数をベンチマークに採用する投資信託は数多くあります。今回ピックアップする7~8指数をベンチマークとする投資信託は、つみたてNISA対応の商品においても37本あります(2022年4月現在)。

今回は、つみたてNISA対応の7~8指数をベンチマークとする投資信託37本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

 

ランキング候補一覧

 

7~8指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託

商品名委託会社設定日
ニッセイ・インデックス・パッケージ(内外・株式/REIT/債券)(愛称:ファンドパック7):パック7ニッセイアセットマネジメント株式会社2017年11月17日
野村・インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型(愛称:Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型):Funds-i野村アセットマネジメント株式会社2012年9月12日
楽天・資産づくりファンド(がっちりコース):がっちり楽天投信投資顧問株式会社2021年6月11日
楽天・資産づくりファンド(しっかりコース):しっかり楽天投信投資顧問株式会社2021年6月11日
楽天・資産づくりファンド(じっくりコース):じっくり楽天投信投資顧問株式会社2021年6月11日
楽天・資産づくりファンド(なかなかコース):なかなか楽天投信投資顧問株式会社2021年6月11日
楽天・資産づくりファンド(のんびりコース):のんびり楽天投信投資顧問株式会社2021年6月11日
たわらノーロード・最適化バランス(安定型):最適化安定アセットマネジメントOne株式会社2018年1月24日
たわらノーロード・最適化バランス(安定成長型):最適化安定成長アセットマネジメントOne株式会社2018年1月24日
たわらノーロード・最適化バランス(成長型):最適化成長アセットマネジメントOne株式会社2018年1月24日
たわらノーロード・最適化バランス(積極型):最適化積極アセットマネジメントOne株式会社2018年1月24日
たわらノーロード・最適化バランス(保守型):最適化保守アセットマネジメントOne株式会社2018年1月24日
たわらノーロード・バランス(8資産均等型):たわら8アセットマネジメントOne株式会社2017年7月28日
たわらノーロード・バランス(堅実型):たわら堅実アセットマネジメントOne株式会社2017年11月8日
たわらノーロード・バランス(積極型):たわら積極アセットマネジメントOne株式会社2017年11月8日
たわらノーロード・バランス(標準型):たわら標準アセットマネジメントOne株式会社2017年11月8日
iFree 8資産バランス:iFree大和アセットマネジメント株式会社2016年9月8日
野村・資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)2030(愛称:未来時計DC・つみたてNISA2030):未来2030野村アセットマネジメント株式会社2017年8月31日
野村・資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)2040(愛称:未来時計DC・つみたてNISA2040):未来2040野村アセットマネジメント株式会社2017年8月31日
野村・資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)2050(愛称:未来時計DC・つみたてNISA2050):未来2050野村アセットマネジメント株式会社2017年8月31日
野村・資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)2060(愛称:未来時計DC・つみたてNISA2060):未来2060野村アセットマネジメント株式会社2019年9月30日
三井住友・DCつみたてNISA・世界分散ファンド:世界分散三井住友DSアセットマネジメント株式会社2017年10月3日
SMT・8資産インデックス・バランス・オープン:SMT三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社2017年8月25日
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型):eMAXIS Slim三菱UFJ国際投信株式会社2015年5月9日
eMAXIS 最適化バランス(マイストライカー):eMAXIS MS三菱UFJ国際投信株式会社2016年3月30日
eMAXIS 最適化バランス(マイディフェンダー):eMAXIS MD三菱UFJ国際投信株式会社2016年3月30日
eMAXIS 最適化バランス(マイフォワード):eMAXIS MF三菱UFJ国際投信株式会社2016年3月30日
eMAXIS 最適化バランス(マイミッドフィルダー):eMAXIS MM三菱UFJ国際投信株式会社2016年3月30日
eMAXIS バランス(8資産均等型):eMAXIS8三菱UFJ国際投信株式会社2011年10月31日
eMAXIS マイマネージャー1970s:1970s三菱UFJ国際投信株式会社2017年10月2日
eMAXIS マイマネージャー1980s:1980s三菱UFJ国際投信株式会社2017年10月2日
eMAXIS マイマネージャー1990s:1990s三菱UFJ国際投信株式会社2017年10月2日
つみたて8資産均等バランス:つみたて8三菱UFJ国際投信株式会社2017年8月16日
Smart-i 8資産バランス(安定型):Smart-i安定りそなアセットマネジメント株式会社2018年3月27日
Smart-i 8資産バランス(安定成長型):Smart-i安定成長りそなアセットマネジメント株式会社2018年3月27日
Smart-i 8資産バランス(成長型):Smart-i成長りそなアセットマネジメント株式会社2018年3月27日
つみたてバランスファンド:つみたてBりそなアセットマネジメント株式会社2017年10月26日

設定日が最も古いものは、2011年10月31日のeMAXIS バランス(8資産均等型)で、最も新しいものは2021年6月11日の楽天・資産づくりファンドシリーズの5ファンドです。

アクティブ運用に区分されている投資信託はありません。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

基準価額は、eMAXIS バランス(8資産均等型)が、37ファンド中唯一2万円台を超えました。次いで、野村・インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型(愛称:Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型)と、eMAXIS 最適化バランス(マイストライカー)が、1万5,000円を超えています。楽天・資産づくりファンドシリーズは、基準価額を表記していません。設定日から数か月しか経過してないため、後の評価項目においても除外されます。

騰落率は、40%以上の商品はないものの、Smart-i 8資産バランス(成長型)が30%を超えました。以下は20%を超えたファンドが12本、10%を超えたファンドが9本あります。全体として騰落率はそこまで大きくありません。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

純資産総額は、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が、2位にダブルスコア近くの差をつけて1位になりました。2位のつみたて8資産均等バランスが450億円程度、3位のeMAXIS バランス(8資産均等型)が380万円程度と、上位勢は三菱UFJ国際投信株式会社の商品が独占しました。一方、100億円未満のファンドが25本あり、そのうちの半数以上が10億円にも届いていません。全体としてファンドの規模は小さい傾向にあります。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

資産の流入出の評価は、純資産総額の大きさにほぼ比例します。純資産総額1位~4位のファンドは、直近3年間で100億円規模の資産が流入していますが、5位以下は数億~数十億円規模の流入に留まっています。全体としては明確に流出しているファンドはありませんが、下位の流入額はスズメの涙程度です。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

トータルリターンは、過去3年間の平均的な年率でみても、全期間の平均的な年率でみても、順位付けにそれほど大きな違いは生じません。対象ファンドの設定日にそれほど大きな差がないからです。

3年間の平均年率が10%を超えているファンドは5本あり、すべて株式優位の運用をしているものになっています。eMAXIS 最適化バランス(マイストライカー)、eMAXIS 最適化バランス(マイフォワード)、Smart-i 8資産バランス(成長型)は、継続して株式優位の運用を行うファンドで、eMAXIS マイマネージャー1990s、eMAXIS マイマネージャー1980sは段階的に対象資産の投資比率が変わるファンドです。今回のランキングの対象となる投資信託のほぼすべてがバランス型の投資信託であるため、基本的にトータルリターン(平均年率)が1桁%だったとしても、それほど大きなマイナスにはなりません。安定性を示す指標との兼ね合いになります。

 

信託報酬ランキング

 

たわらノーロード・バランス(8資産均等型)と、eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)が、0.1540%で同率1位となりました。3位のSmart-i 8資産バランス(安定型)と、4位のSmart-i 8資産バランス(安定成長型)までが0.1%台で、0.2%台は8ファンドとなっています。最も信託報酬が大きい商品でも、0.5500%という数字に抑えられています。

購入時手数料および解約時手数料がかかる商品は、SMT・8資産インデックス・バランス・オープンと、野村・インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型(愛称:Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型)の2ファンドで、この2ファンド以外に、解約時手数料のみかかる商品が5ファンドあります。いずれも信託報酬が0.5500%の商品です。

 

おまけ

 

7~8指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託(37ファンド)のうち、すべてのファンドがインデックスファンドとなっています。インデックスファンドの重要な評価事項の1つに、「ベンチマークとの乖離度」があります。

インデックスファンドは、ベンチマークと乖離がないほど評価が高くなります。具体的には、基準価額の騰落率と、ベンチマーク騰落率を比較し、その差を乖離度として評価します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指していますから、ベンチマークよりも騰落率が大きくなっていなければなりません。

7~8指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託については、ベンチマークが明確に設定されていないもの、合成ベンチマークを採用しているもの、参考指数を採用しているものなどまちまちであり、ベンチマークの乖離度で順位を付けることはできません。

 

取引のしやすさランキング

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

37ファンド中28ファンドが大手4社以上の証券会社で取り扱っています。4社と5社すべての違いはありますが、評価としては差を付けなくていいでしょう。楽天・資産づくりファンドシリーズは、取り扱いが楽天証券の1社、野村・資産設計ファンドは、いずれの証券会社でも取り扱っていないため、評価がかなり下がります。

 

当サイトの評価ランキング

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。ただし、対象となる37ファンドは、ベンチマークの乖離度が明確になってないものもあるため、今回は参考程度に合計値、リスク値を算出するとともに、すべてのファンドで評価が付いている「純資産総額」、「資産の流入出」、「トータルリターン」、「信託報酬」の4項目計でランキングを決めました。

1位は4項目計24ポイントのeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)になりました。1位と2位のさは4ポイントあり、圧倒的な1位と言った数字です。2位は同率で、たわらノーロード・バランス(8資産均等型)、iFree 8資産バランス、つみたて8資産均等バランス、の3ファンドがランクインしました。トップ5はすべて「8つの資産の投資比率が均等」である商品になりました。シリーズ商品については、当サイトの評価におけるシリーズ内の格差はそこまで大きくありませんでした。

リスク値は投資対象資産に応じて傾向が変わります。株式優位の運用をしているファンドはシャープレシオおよび標準偏差は伸び悩みます。一方、債券優位の運用をしているファンドはシャープレシオおよび標準偏差の評点が高くなります。合計値や4項目計も重要ですが、全体としてバランス型の投資信託の傾向にありますので、リスク値も重要になります。他の項目では評価が低かったものの、リスク値の評価が高いファンドは、本来の目的である資産の安定運用や分散投資の観点からみると、十分に価値があると言えます。

 

総合ランキング

 

MSCI エマージング・マーケット・インデックスをベンチマークに採用しているため、現在の社会情勢がかなりの向い風となっています。そのため、純資産総額などのファンドの安定性が非常に重要になってきます。新興国の株式指数をベンチマークとしているため、標準偏差は潜在的に大きくなります。反対に、コスト面でのリスクはファンドごとに特徴があるため、順位付けの大きなポイントになるでしょう。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。

信託報酬は0.1%と0.2%台の2ファンドは良、以上0.3%台の5ファンドは可、0.5%以上の3ファンドは不可の評価になります。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要ですが、10ファンド中10ファンドが取引しやすい(取り扱っている金融機関・証券会社が多い)評価となっているため、差は付けられません。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

つみたてバランスファンド:りそなアセットマネジメント株式会社

 

4位

たわらノーロード・バランス(8資産均等型):アセットマネジメントOne株式会社

 

3位

つみたて8資産均等バランス:三菱UFJ国際投信株式会社

 

2位

iFree 8資産バランス: 大和アセットマネジメント株式会社

 

1位

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型):三菱UFJ国際投信株式会社

 

8指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託を検討しているなら、基本的に8資産均等型を選ぶべきです。8つの資産に分散投資しようとしているわけですから、その資産や投資対象地域・国の投資比率を大きく変える必要はありません。

多くの投資家も同様の考えに基づいて、8指数をベンチマークとするつみたてNISA対応の投資信託を選んでいるため、様々な評価項目の上位に、8資産均等型の商品がランクインしてきます。当記事においても総合的なトップ5はすべて8資産均等型の商品となりました。

たわらノーロード・最適化バランスシリーズ、eMAXIS 最適化バランスシリーズ、eMAXIS マイマネージャーシリーズ、Smart-i 8資産バランスシリーズなど、独自の投資比率によるバリエーションのある商品も悪いわけではありませんが、いずれの商品も8資産均等型と比較して、自分のポートフォリオ上のニーズに応じて選んだ方がいいでしょう。

一方、楽天・資産づくりファンドや、野村・資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)シリーズなどは、設定日からの期間が短かったり、商品売買の方法・手段が限定されているため、人を選ぶ商品であるといえます。

 

以上、7~8指数をベンチマークとするNISA対応の投資信託の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

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