【徹底解剖】JPX日経インデックス400

 

 

この記事でわかること

JPX日経インデックス400は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点などのグローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした400銘柄で構成されている。

JPX日経インデックス400を構成する銘柄のウエイトは、上位10銘柄を合わせても20%に届かず、400の構成銘柄の分散性は高い。

JPX日経インデックス400は、日経平均株価よりもTOPIXに近いチャートになる。

 

たま男

日本の株式の代表的な株価指数は、日経平均株価とTOPIXだったよね?

井上とまと

そのとおり。国内だけでなく、世界的にも注目度の高い指数だね。

たま男

それなら、その2つの指数だけ見ていれば、日本の株式市場の動向はつかんだも同然ってことか。

井上とまと

あながち間違ってはいないけど、余裕があるなら他の指数も見ておいた方がいいよ。最近だと、JPX日経インデックス400とか、MSCI ジャパン・インデックスとか、日経平均株価やTOPIX以外の日本の株式を反映した指数を採用する投資信託も増えているからね。

たま男

JPX日経インデックス400とMSCI ジャパン・インデックスか……。MSCI ジャパン・インデックスっていうのは、MSCIが付いてるから、MSCI社が算出する指数群の1つなのかな?

井上とまと

察しがいいね。たま男くんの言うとおり、MSCI社が算出するMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの派生指数なんだ。

たま男

へー。そうなんだ。それなら、指数のイメージはつかみやすいかもしれないね。もう一つのJPX日経インデックス400って指数は初めて聞いたな。

井上とまと

じゃー、JPX日経インデックス400について詳しく話していこうか。

 

JPX日経インデックス400
資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される株価指数です。日本経済新聞社、日本取引所グループ、東京証券取引所が共同で算出しています。東京証券取引所(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)を主たる市場とする銘柄から選定された400銘柄で構成されています。銘柄の入れ替えは、指標性を維持するために毎年1回、「定期見直し」として8月末に行われます。過去3年間の売買代金と毎年6月末の選定基準日の時価総額を基に、市場流動性の高い1,000銘柄を選んだうえで、3年平均の自己資本利益率(ROE)、3年累積営業利益、時価総額の3つの指標を、それぞれ40%、40%、20%の割合で点数化したものに、ガバナンスやディスクロージャーの観点から定性的な評価を加えた最終的なランキングで400銘柄を選定します。浮動株を調整した時価総額型指数で、構成銘柄の浮動株調整済み時価総額合計額を、「基準時価総額」で割って算出します。算出開始は2014年1月6日(2006年8月31日まで遡及算出)。2013年8月30日の値10,000ポイントを基準としています。
日経平均プロフィルより抜粋

 

たま男

算出開始が比較的最近なんだね。

井上とまと

日経平均株価やTOPIXに比べると、ずいぶん若い指数と言えるね。そのせいもあって、まだまだマイナーな指数でもあるんだけどね。

たま男

日経平均株価やTOPIXと違って、資本の効率的活用や経営観点、そして企業統治の取り組みなんかも銘柄選定の基準になっているのは面白いね。

井上とまと

日経平均株価やTOPIXが機械的な指数であるのに対して、JPX日経インデックス400は企業自体にフォーカスを当てている点が大きな特徴なんだ。だから、指数自体は若いけど、結構注目を集めている指数でもあるんだよ。

たま男

なるほどね。

井上とまと

では、JPX日経インデックス400をより詳しく見ていこう。

 

 

JPX日経インデックス400を構成する代表的な銘柄

 

井上とまと

JPX日経インデックス400は構成銘柄が400だから、225の日経平均株価よりも1銘柄の影響は大きくない。

たま男

うん。

井上とまと

ただし、日経平均株価は構成銘柄の株価の合計で算出されているから、時価総額加重平均で算出するJPX日経インデックス400とは単純には比較できない。

たま男

TOPIXは時価総額加重平均で算出していたよね?

井上とまと

そのとおり。TOPIXの構成銘柄は1,000以上だったから、JPX日経インデックス400はTOPIXに比べると1銘柄の影響が大きくなるかもしれないね。

たま男

それなら、構成銘柄のウエイトの上位10銘柄くらいは知っておかないとね。

 

JPX日経インデックス400の上位構成銘柄(2021年8月)

銘柄業種ウエイト(%)
日本電信電話情報・通信2.15
KDDI情報・通信1.76
三菱UFJフィナンシャルグループ銀行1.73
ソニーグループ電気機器1.71
日立製作所電気機器1.69
トヨタ自動車輸送用機器1.62
東京エレクトロン電気機器1.62
武田製薬工業医薬品1.62
三菱商事卸売1.50
任天堂その他製品1.48

 

たま男

ウエイトの上位10銘柄を合わせても、全体の17%もないんだね。

井上とまと

上位10銘柄だけで比べると、TOPIXとあまり変わらない結果になったね。むしろ、上位5銘柄に絞れば、TOPIXの方が1銘柄の影響が大きいとも言える。

たま男

構成銘柄数には差があるけど、JPX日経インデックス400の方が構成銘柄内の分散性は高いということかな。

井上とまと

そのとおり! だから、変動幅も抑えられた安定指数でもあるんだよ。次は、その変動(チャート)を見ていこう。

 

チャート分析

 

 

2020年:新型コロナウイルスが世界を支配した年

  • 2月:新型コロナウイルス(COVID-19・武漢肺炎)の流行により急落
  • 3月:緊急事態宣言発令の影響により底をつく(11,118.66ポイント)
  • 6月:緊急事態宣言解除による株式の買戻し
  • 8月:新型コロナウイルスの第2波による警戒
  • 11月:米国の大統領選の終結とワクチンの実用化への期待により大幅上昇
  • 12月:第3波の懸念から乱高下を繰り返しながら終値が最高値に(16,341.8ポイント)

 

たま男

チャートは基本的にTOPIXと同じような形になるね。

井上とまと

2月に急激に下落。3月に底をついて、6月まで上昇。その後はやや停滞しつつ、12月末に何とか年初を超えて、結果的に前年比プラスになったんだ。

たま男

コロナに左右された1年の最後は、ワクチンの実用化の見通しによってプラスに転じたっていうのは、何か運命的なものを感じるね。

井上とまと

ははは。投資に失敗する人の典型的な発言だけど、たしかに因果を感じずにはいられない。この後の劇的な上昇も含めてね。

 

2021年:コロナ・ショック後の歴史的な株高を経験した年

  • 1月:算出開始から初の17,000ポイント台に
  • 6月:緊急事態宣言の延長とワクチン接種の遅れによる下落
  • 8月:新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の影響で停滞
  • 9月:新政権樹立の影響で年内最高値を記録(19,010.84ポイント)。
  • 10月:中国の大手不動産会社のデフォルト危機や原油価格の高騰に伴う下落
  • 11月:新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の影響で下落

 

たま男

底値が1月5日の16,214.28ポイントで、終値が17,990.97ポイントか。

井上とまと

歴史的な高値の1年だったんだ。16,000ポイントから17,000、18,000、19,000と1,000ポイントレベルの最高値の更新を年に3回もやってのけたんだ。

たま男

緊急事態宣言も出たし、コロナ禍の中の五輪開催だったから、そんなに経済が良くなったようには感じなかったんだけど、JPX日経インデックス400は好調だったみたいだね。

井上とまと

日経平均株価やTOPIXと同じように、JPX日経インデックス400も日本の経済と連動するというよりは、米国や世界の株式市場と連動しやすいからね。2021年は世界的な株価バブルの状態だったんだ。

たま男

記録更新のバーゲンセール状態だったわけだから、投資している人たちは大騒ぎだったんじゃない?

井上とまと

意外と冷静だったよ。応急処置的な金融緩和がいつまでも続くとは思えなかったし。

 

2022年:世界的な原油高とロシアのウクライナ侵攻

  • 原油高の影響で年初から徐々に下落
  • ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、再び16,000ポイント台に

 

井上とまと

2022年はまだ始まったばかりだから、今後の動向を注視していくしかないね。

たま男

原油高とウクライナ侵攻の帰結次第ということかな?

井上とまと

世界情勢の変化に伴う円安と物価の上昇が現在進行形で進んでいるね。どちらも株式市場にはプラスにもマイナスにも起因するからバランスが大切だね。他にはどのタイミングで日銀が金利を上げるかということも大切かな。

井上とまと

加えて、ウクライナ侵攻(というよりはロシアの出方)次第で、世界の在り方や価値観が変わってくる可能性もあるよね。そうなったら、だれも予測できないようなチャートになっていくだろうね。

 

他の指数との比較

 

井上とまと

次はJPX日経インデックス400と他の指数を比較してみよう! 改めて、2020年1月から2022年5月の日経平均株価のチャートを見てみよう。

 

JPX日経インデックス400の2020年1月~2022年5月のチャート

たま男

2020年3月に底(11,118.66ポイント)をついてから、2020年末に16,000ポイント台に回復。2021年2月に17,000ポイント台、2020年9月に18,0001ポイント台に到達。以後は少しずつ下落し、2022年5月末時点で16,000ポイント付近になっている感じだね。

井上とまと

そのとおり。比較のポイントは大まかに言うと、①新型コロナウイルス第1波からの回復過程(2020年1月~2021年3月)と、②回復後から現在まで(2021年3月~2022年5月)の変化の2つを見ていくことになるよ。

 

日経平均株価(日経225)の2020年1月~2022年5月のチャート

井上とまと

日経平均株価はプライム市場のうちの225銘柄の変動だから、JPX日経インデックス400に比べると変動幅が大きいのが特徴だね。ただし、どちらの指数も日本の株式で構成されているわけだから、そこまで大きな差は生まれないよ。

たま男

所々のブレには違いがあるけれど、全体的な形はほとんど同じだね。

井上とまと

日経平均株価は東京証券取引所プライム市場の代表的な225銘柄で算出していて、JPX日経インデックス400は東京証券取引所に上場している全銘柄を対象に算出しているんだ。算出方法は微妙に異なるけど、どちらも国内の株式市場の動向を表すものだから、同じようなチャートになるのは当然といえば当然なんだ。

たま男

日経平均株価とJPX日経インデックス400のチャートを並べても、比較のポイントになっている①と②の区間の上下のタイミングほとんど同じだね。

 

TOPIXの2020年1月~2022年5月のチャート

たま男

2つのチャートはほとんど同じに見えるけど……。

井上とまと

みんな同じに見えるだろうね。どちらの指数も東京証券取引所に上場しているすべての銘柄を対象としていて、時価総額加重平均で算出しているわけだから、同じチャートになるのは当然といえば当然だね。

たま男

……どうみても同じだ。

井上とまと

専門家が見れば微妙な違いを指摘できるんだろうけど、一般の投資家なら、同じようなチャートになっていることがわかっていれば、それでいいんじゃないかな。

 

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの2020年1月~2022年5月のチャート

井上とまと

JPX日経インデックス400に比べて、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは①の期間の上昇の滑らかさ、②の期間の2021年末までの順調な上昇という点で、大きく異なるチャートを描いているね。

たま男

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは、対象地域・国の投資比率が米国に偏っているから、米国の株式市場の動きに強く影響されたチャートになるんだったよね?

井上とまと

しっかり復讐できているね。米国は2020年に大統領が変わったんだ。一方、日本は2020年と2021年に内閣総理大臣が変わった。それだけが影響しているわけじゃないけど、政策が変わるというのは確実に株式市場にも影響を与えるからね。

たま男

そういった変動も2つのチャートの違いになっているんだね。

 

JPX日経インデックス400をベンチマークとする代表的な投資信託(つみたてNISA対応限定)

 

商品名信託報酬トータルリターン(平均年率)
iFree JPX日経400インデックス0.2145%10.01%
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・JPX日経400インデックスファンド0.2145%7.44%
野村・インデックスファンド・JPX日経400(愛称:Funds-i JPX日経400)0.4400%9.77%
SMT・JPX日経インデックス400・オープン0.4070%9.07%
eMAXIS JPX日経400インデックス0.4400%10.76%

商品名をクリック・タップすると、当サイトの各商品の評価記事を開くことができます。

 

たま男

トータルリターンが平均年率10%前後の商品ばかりだね。

井上とまと

このあたりも日経平均株価よりもTOPIXに近い値になっているね。

たま男

信託報酬は0.1%台のものはないね。

井上とまと

いずれにしてもサンプル数が少ないから、日経平均株価やTOPIXをベンチマークに採用する投資信託群と比較しきれない部分もあるね。ただし、指数のテーマ性が日経平均株価やTOPIXよりもあるから、投資家の投資目標にはコミットしやすいかもしれないね。

 

まとめ

 

JPX日経インデックス400についてお話してきました。最後に、もう一度まとめると、JPX日経インデックス400は、

 

JPX日経インデックス400は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点などのグローバルな投資基準に求められる諸条件を満たした400銘柄で構成されている。

JPX日経インデックス400を構成する銘柄のウエイトは、上位10銘柄を合わせても20%に届かず、400の構成銘柄の分散性は高い。

JPX日経インデックス400は、日経平均株価よりもTOPIXに近いチャートになる。

 

という特徴があります。

 

また、JPX日経インデックス400は、多くの投資信託や金融商品の指数に使われています。

 

投資の初心者もベテランも、JPX日経インデックス400の理解は必須条件となるでしょう。

 

 

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