【徹底比較】S&P500指数をベンチマークとする投資信託【2022年上半期】

 

 

S&P500指数は、米国を代表する株価指数として世界中で広く利用されています。その高い指標性は、相場動向を測る指標としてだけでなく、多くの金融商品でも活用されています。

米国の株式に投資する投資信託のベンチマークとしても有名です。S&P500指数をベンチマークとする投資信託は非常に多く、つみたてNISA対応の投資信託は10本あります(2022年4月現在)。

今回は、S&P500指数をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の商品10本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

理由はこれから説明していきます。

 

ランキング候補一覧

 

S&P500指数をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の投資信託

商品名委託会社設定日
SBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500):SBISBIアセットマネジメント株式会社2019年9月26日
米国株式インデックスファンド:SSGAステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)株式会社2017年9月29日
iFree S&P500インデックス:iFree大和アセットマネジメント株式会社2017年8月31日
農林中金〈パートナーズ〉つみたてNISA米国株式・S&P500:パートナーズ農林中金全共連アセットマネジメント株式会社2017年12月19日
NZAM・ベータ・S&P500:NZAM農林中金全共連アセットマネジメント株式会社2020年2月13日
SMBC・DCインデックスファンド(S&P500):SMBC三井住友DSアセットマネジメント株式会社2020年7月22日
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):eMAXIS S三菱UFJ国際投信株式会社2018年7月3日
つみたて米国株式(S&P500):つみたて三菱UFJ国際投信株式会社2020年3月6日
Smart-i S&P500インデックス:Smart-iりそなアセットマネジメント株式会社2020年7月29日
フィデリティ・米国優良株ファンド:フィデリティフィデリティ投信株式会社1998年4月1日

設定日が最も古いものは、1998年4月1日のフィデリティ・米国優良株ファンド、最も新しいものは2020年7月29日のSmart-i S&P500インデックスです。アクティブ運用に区分されている投資信託は1本あります。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

 

基準価額は、フィデリティ・米国優良株ファンドが35,000円超と突出して高く、残りの9ファンド間をおいて並んでいます。基本的に設定日からの期間が長い順になっています。基準価額も設定からの期間に相対して大きくなっています。

騰落率は、米国株式インデックスファンドが50.0%という驚異的な数字をたたき出していますが、2位以下も40%台の数字が並び、最下位のiFree S&P500インデックスでさえ38.1%という高い数字となっています。他のインデックスをベンチマークとする投資信託と比べると、S&P500指数をベンチマークに採用した投資信託の騰落率は非常に大きいのが特徴です。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

 

純資産総額は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とSBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500)がトップ2で、3位以下を大きく引き離しています。次に、フィデリティ・米国優良株ファンドやiFree S&P500インデックスが続きますが、上位の6~7分の1の数字となっています。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

資産が大きく流入しているのも、純資産総額の順位とほぼ同じで、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とSBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500)が3年間で500億円超、フィデリティ・米国優良株ファンドとiFree S&P500インデックスが3年間で200億円超の資産が流入しています。一方、SMBC・DCインデックスファンド(S&P500):SMBC、つみたて米国株式(S&P500)、NZAM・ベータ・S&P500などは資産が流出傾向にあります。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

 

トータルリターンは、設定から2022年4月または5月までの平均的な年率で表しています。具体的には、設定来のトータルリターンを設定から2022年4月または5月までの月数で除した値に12を乗じて得た数字となっています。

1位から4位までは平均年率が30%を超え、6位から9位までも20%を超えています。全体的にリターンは大きいといえます。ただし、S&P500指数をベンチマークに採用する10の投資信託のランキングをつけるのは非常に難しいです。理由は10の投資信託のほとんどが、設定日から現在までの期間がそこまで長くないからです。10ファンド中、設定から3年が経過しているものは半数の5ファンドだけであり、下のグラフのように単純比較することができません。

ただし、収益性が高いことは間違いないでしょう。継続して年率20%や30%になることは流石にないと思われますが、相場が下がり目の現在でも年率10%以上は固いはずです。あと1年ほどすると、ほとんどのファンドが3年を超えるため、その際に改めてランキングを作りたいと思います。

 

信託報酬ランキング

 

 

0.1%を割るファンドが3つもあります。1位は0.0938%のSBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500)で、(同率)2位は0.0968%のSMBC・DCインデックスファンド(S&P500)とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。以外にも0.1%台のファンドはなく、0.2200%のつみたて米国株式(S&P500)と0.2420%のSmart-i S&P500インデックスが続きます。

購入時手数料がかかるのは、米国株式インデックスファンドとフィデリティ・米国優良株ファンド、信託財産留保額(解約時手数料)がかかりるのは、米国株式インデックスファンドだけです。また、フィデリティ・米国優良株ファンドは、唯一信託報酬が1.0%を超えています(1.6390%)。

 

おまけ

 

S&P500指数をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の投資信託(10ファンド)のうち、9ファンドはインデックスファンドとなっています。インデックスファンドの重要な評価事項の1つに、「ベンチマークとの乖離度」があります。

インデックスファンドは、ベンチマークと乖離がないほど評価が高くなります。具体的には、基準価額の騰落率と、ベンチマーク騰落率を比較し、その差を乖離度として評価します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指していますから、ベンチマークよりも騰落率が大きくなっていなければなりません。

当記事で紹介しているインデックス運用の9ファンドは、ベンチマークから大きく乖離しているファンドはなく、ベンチマークとの連動性は良好です。iFree S&P500インデックスの基準価額の騰落率だけは、ベンチマーク騰落率を1.0%以上上回っていますが、他のファンドとそこまで大きな差異はありません。

 

取引のしやすさランキング

 

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

10ファンド中5ファンド(米国株式インデックスファンド、iFree S&P500インデックス、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、Smart-i S&P500インデックス、フィデリティ・米国優良株ファンド)が大手5社のすべてで取引が可能です。一方、農林中金〈パートナーズ〉つみたてNISA米国株式・S&P500やSMBC・DCインデックスファンド(S&P500)は、インターネット証券大手5社では取り扱っておらず、特定の証券会社や金融機関でしか扱っていません。

 

当サイトの評価ランキング

 

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。ただし、今回の対象となる10ファンドは、設定から3年が経過していないものが多く、3年間の経過で評価をつけているシャープレシオや標準偏差の評価値は合計値から除いています。

トップは合計32のSBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500)になりました。ただし、2位のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とは1ポイントしか差がありません。3位は30ポイントには届かなかったiFree S&P500インデックスが入ります。

評価値を細分化して見ていくと、トータルリターンやベンチマークとの乖離度に大きな差はないことがわかります。一方、純資産総額や資産の流入出の状況には差があり、この2項目が直接的に順位を決めたといっても過言ではありません。

 

総合ランキング

 

S&P500指数をベンチマークに採用しているため、現時点ではどれを選んでもある程度のリターンは保証されています。一方で、設定からの期間が短いファンドが多く、純資産総額などのファンドの安定性はしっかりと評価すべき項目になります。米国の株式指数をベンチマークとしているため、標準偏差は潜在的に大きくなります。反対に、コスト面でのリスクはファンドごとに特徴があるため、順位付けの大きなポイントになるでしょう。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。

信託報酬は0.1%を割っているものは別格の扱いにするべきでしょう。0.1%を割る3ファンド、0.1%以上0.5%未満の6ファンド、アクティブ運用の1ファンドという組み分けになります。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要です。10ファンド中5ファンドは取引しやすい(取り扱っている金融機関・証券会社が多い)傾向にあります。残りの5ファンド中3ファンドは一定範囲の証券会社や金融機関で取り扱いがありますが、2ファンドについては取り扱いがかなり限局されています。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

SMBC・DCインデックスファンド(S&P500):三井住友DSアセットマネジメント株式会社

取扱できる証券会社・金融機関が限られている点が大きく評価を下げました。次点のフィデリティ・米国優良株ファンドを5位にするかどうか非常に悩みました。フィデリティ・米国優良株ファンドの方が汎用性は高いものの、唯一のアクティブ運用ということで、最終的に当ファンドを5位にしました。S&P500指数をインデックスにしているという性質上、アクティブ運用のメリットは小さいです。

 

4位

つみたて米国株式(S&P500):三菱UFJ国際投信株式会社

いずれのランキング(トップ3)にも登場しませんでしたが、トップ5までランキングを広げると、多くの項目でランクインしてきます。目立った特徴はありませんが、逆に言えば欠点のないファンドでもあります。トップ3はどれを選んでもほとんど変わりありませんが、3位と4位の間にはある程度はっきりした境目があるように感じます。

 

3位

iFree S&P500インデックス:大和アセットマネジメント株式会社

トップ2からはやや劣るものの、多くの評価項目で上位に食い込んできます。トータルリターンの3年間平均年率は5ファンド中堂々の1位であり、他のファンドよりも収益性の信頼度が高いです。全体的にはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に劣りますが、リターンだけに着目すればトップ2を凌駕するでしょう。

 

2位

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):三菱UFJ国際投信株式会社

1位との差はほぼありません。評価項目のウエイト次第で1位と2位は入れ替わります。今回は信託報酬、総合値、人気にウエイトをおいたため、当ファンドが2位となりました。取り扱いのしやすさ安定性にウエイトをおけば当ファンドが1位になります。0.1%を割る信託報酬、4,000億円近くの純資産総額、50%目前の騰落率と、魅力溢れる数字の目白押しです。

 

1位

SBI・V・S&P500インデックスファンド(愛称:SBI・V・S&P500):フィデリティ投信株式会社

信託報酬、当サイトの評価で1位、純資産総額は2位と多くの項目で上位にランクインしています。設定から3年が経過していないため、リターンやリスクについては正確に評価できていない部分もありますが、騰落率や資産の流入状況から類推すると明るい未来が見えそうです。取り扱いのある証券会社や金融機関にはやや制限がありますが、それ以外のネガティブポイントは見当たりません。

 

以上、S&P500指数をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の商品の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

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