【徹底比較】東証株価指数(TOPIX)をベンチマークとする投資信託【2022年上半期】

 

 

東証株価指数(TOPIX)は、日本を代表する株価指数として世界中で広く利用されています。その高い指標性は、相場動向を測る指標としてだけでなく、多くの金融商品でも活用されています。

国内の株式に投資する投資信託のベンチマークとしても有名です。東証株価指数(TOPIX)をベンチマークとする投資信託は非常に多く、つみたてNISA対応の投資信託は16本あります(2022年4月現在)。ただし、参考指数に採用している商品を含めると、その数は30本を超えます。

今回は、東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の商品16本を多角的に比較し、当サイト独自のランキングを決めていきたいと思います。

 

 

いきなり結果発表

 

理由はこれから説明していきます。

 

ランキング候補一覧

 

東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の投資信託

商品名委託会社設定日
たわらノーロード・TOPIX:たわらアセットマネジメントOne株式会社2017年3月21日
iFree TOPIXインデックス:iFree大和アセットマネジメント株式会社2016年9月8日
東京海上セレクション・日本株TOPIX:東京海上東京海上アセットマネジメント株式会社2001年9月25日
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・TOPIXインデックスファンド:ニッセイ〈手数料なし〉ニッセイアセットマネジメント株式会社2015年4月27日
ニッセイ・TOPIX・オープン:ニッセイニッセイアセットマネジメント株式会社2001年4月27日
野村・インデックスファンドTOPIX(愛称:Funds-i TOPIX):Funds-i野村アセットマネジメント株式会社2010年11月26日
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド:三井住友三井住友DSアセットマネジメント株式会社2011年12月9日
i-SMT・TOPIXインデックス(ノーロード):i-SMT三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社2018年1月12日
SMT・TOPIXインデックス・オープン:SMT三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社2008年1月9日
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):eMAXIS S三菱UFJ国際投信株式会社2017年2月27日
eMAXIS TOPIXインデックス:eMAXIS三菱UFJ国際投信株式会社2009年10月28日
つみたて日本株式(TOPIX):つみたて三菱UFJ国際投信株式会社2017年8月16日
Smart-i TOPIXインデックス:Smart-iりそなアセットマネジメント株式会社2017年8月29日
年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース):Jグロース日興アセットマネジメント株式会社2001年10月31日
ニッセイ・日本株ファンド:日本株ニッセイアセットマネジメント株式会社2001年12月26日
大和住銀・DC国内株式ファンド:大和住銀三井住友DSアセットマネジメント株式会社2006年10月23日

設定日が最も古いものは、2001年4月27日のニッセイ・TOPIX・オープン、最も新しいものは2018年1月12日のi-SMT・TOPIXインデックス(ノーロード)です。

アクティブ運用に区分されているファンドは3本(年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)、ニッセイ・日本株ファンド、大和住銀・DC国内株式ファンド)あります。

 

基準価額&騰落率ランキング

 

基準価額は、上位2ファンド(年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)、三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド)が3万円超、3位~6位までの4ファンドが2万円超となっています。1万円(当初設定額)を割っているファンドはありません。

騰落率は、16ファンド中唯一35%を超えているeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)に、30.9%の年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)が続きます。基準価額が2万円以上だった上位6ファンド中4ファンドが20%超となっています。

 

純資産総額&資産の流入出ランキング

 

純資産総額は、ニッセイ・日本株ファンドが2位以下にダブルスコア近くの差をつけて圧倒しています(96,852百万円)。資産の流入は緩やかですが、いずれは1,000億円に届くでしょう。次いで、三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド、年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)が続きます。2位以下は約5,000百万円ずつ下がっていくような感じです。

資産の流入出は、1~7の7段階で評価しています。いずれも、直近3年間(2019年~2021年)の資産の流入出の合計額を基準に評価をつけています。詳細は以下のとおりです。

  • 50億円超のマイナス
  • 10億円以上50億円未満のマイナス
  • 10億円未満のマイナス~10億円未満プラス
  • 10億円以上50億円未満のプラス
  • 50億円以上200億円未満のプラス
  • 200億円以上500億円未満のプラス
  • 500億円以上のプラス

資産が大きく流入しているのは、三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドとeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)の2ファンドだけで、同率3位~同率4位までの9ファンドはわずかな増減に留まっています。eMAXIS TOPIXインデックスは後発のeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)と打って変わって、資産を大きく減らしています。

 

トータルリターン(平均年率)ランキング

 

トータルリターンは、設定から2022年4月または5月までの平均的な年率で表しています。具体的には、設定来のトータルリターンを設定から2022年4月または5月までの月数で除した値に12を乗じて得た数字となっています。

1位には16ファンドの中で唯一平均年率20%超の三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドが入りました。次いで、15%超の野村・インデックスファンドTOPIX(愛称:Funds-i TOPIX)と、13%超のeMAXIS TOPIXインデックスが続きます。上位5ファンド以下は平均年率10%に届きませんでした。

ただし、期間を3年間に限定すると、順位が大きく変わります。インデックス運用に区分される13ファンドはおおむね9~8%の範囲で収まっていますが、アクティブ運用の3ファンドは明暗が分かれています。年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)と、大和住銀・DC国内株式ファンドは、いずれも13%を超え、インデックス運用の投資信託とは一線を画します。一方、ニッセイ・日本株ファンドは3年間の平均年率が6.17%となっており、別の意味で一線を画しています。

 

信託報酬ランキング

 

トップ5はすべて0.1540%となっています。次いで、0.1760%の三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド、同率7位のi-SMT・TOPIXインデックス(ノーロード)とたわらノーロード・TOPIXが続きます。下位(9位から13位)はインデックス運用であるものの、0.4%~0.5%です。最下位の3ファンドはいずれもアクティブ運用に区分される投資信託です。大和住銀・DC国内株式ファンドは16ファンドの中で唯一1.0%を超えています。

また、SMT・TOPIXインデックス・オープン、野村・インデックスファンドTOPIX(愛称:Funds-i TOPIX)、年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)は購入時手数料がかかり、SMT・TOPIXインデックス・オープン、ニッセイ・TOPIX・オープンは信託財産留保額(解約時手数料)がかかります。

 

おまけ

 

東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の投資信託(16ファンド)のうち、13ファンはインデックスファンドとなっています。インデックスファンドの重要な評価事項の1つに、「ベンチマークとの乖離度」があります。

インデックスファンドは、ベンチマークと乖離がないほど評価が高くなります。具体的には、基準価額の騰落率と、ベンチマーク騰落率を比較し、その差を乖離度として評価します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用を目指していますから、ベンチマークよりも騰落率が大きくなっていなければなりません。

今回紹介しているインデックス運用の13ファンドは、ベンチマークを大きく下回っているファンドはなく、ベンチマークとの連動性は良好です。むしろ、インデックスファンドにもかかわらず、ベンチマークを1.0%以上上回っているファンドも珍しくありません。一方、アクティブ運用の3ファンドは明暗が分かれています。年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)と、大和住銀・DC国内株式ファンドは、騰落率がベンチマーク騰落率を5.0%以上上回っており、最高評価の7が付いています。一方、ニッセイ・日本株ファンドは、騰落率がベンチマーク騰落率を1.0%以上下回っており、インデックス運用の13ファンドよりも評価は下です。

 

取引のしやすさランキング

 

インターネット証券大手5社で取り扱っているかのランキングとなります。インターネット証券大手5社は、SBI証券、楽天証券、松井証券、SMBC日興証券、マネックス証券としています。

16ファンド中15ファンドが大手5社のすべてで取引が可能です。残りの1ファンド(東京海上セレクション・日本株TOPIX)は、マネックス証券でこそ取引できませんが、残りの4社では取引が可能です。そのため、16ファンドに優劣をつけることはできません。

 

当サイトの評価ランキング

 

当サイトでは、すべての投資信託において、純資産総額、資産の流入出、トータルリターン、信託報酬、ベンチマークとの乖離度、シャープレシオ、標準偏差の7項目を1~7段階(1が最も悪く7が最も良い)で評価値をつけています。7項目の合計値の順位も確認していきます。

トップは合計34の三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンドになりました。個別の項目でもちょくちょくランキングに入ってきたファンドです。以下、年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース)や、eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)の常連組が続きます。1位から7位のつみたて日本株式(TOPIX)あたりまでは、そこまで大きな差はありません。

東証株価指数(TOPIX)は日経平均株価(日経225)に比べると、収益性(リターン)よりも分散性(リスク回避)に強い指数であるといえます。そのため、リスクに関する指標だけを抽出した比較も見ておきたいところです。

16ファンドにそれほど大きな差はなく、平均してシャープレシオは評価値3、標準偏差は評価値4となっています。いずれも相対評価であるため、評価値だけで良い悪いの判断はできませんが、大和住銀・DC国内株式ファンドは唯一合計値が8となっています(他のシャープレシオが評価値3であるの対し、当ファンドは評価値4)。

 

総合ランキング

 

東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用しているため、トータルリターンのみならず、純資産総額や千須区に関する指標も重要になります。前述のとおり、日経平均株価に比べると分散性の意義が強い株価指数でもあるため、変動が小さく抑えることも投資目標の1つになります。ただし、シャープレシオや標準偏差の評価値に大きな差はありません。

純資産総額は100億円を超えていれば問題ないでしょう。資産の流入状況や騰落率は将来性を表す指標でもあるため、重要な指標となります。数字の良いものは加点され、悪いものは減点されます。

信託報酬は3段階の開きがあります。インデックス型の運用で低コストのもの、インデックス型の運用でややコストが重いもの、アクティブ型の運用のもの。インデックス型の運用でややコストが重いものは手放しに高評価とし、アクティブ型の運用のものは収益性との兼ね合いになるでしょう。一方、インデックス型の運用でややコストが重いものについてはやや減点されます。

取引のしやすさは個人投資家を対象としたランキングにおいて重要です。ただし、今回比較した16ファンドは、いずれも取引しやすい(取り扱っている金融機関・証券会社が多い)傾向にありため、大きな差は生まれません。当サイトの評価は参考程度の指標となります。

 

 

5位

〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ・TOPIXインデックスファンド:ニッセイアセットマネジメント株式会社

複数のランキングで上位に入りました。純資産総額の大きさと、信託報酬の小ささを評価しました。とはいえ、信託報酬については、トップ5に入った5ファンドのうち、4ファンドが同率1位(0.1540%)であるため、そこまで大きなイニシアティブにはなっていません。総じて好成績を収めているため、もっと高い順位でもおかしくありませんが、他がさらに良かったということでしょう。

 

4位

eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):三菱UFJ国際投信株式会社

純資産総額や信託報酬については、第5位と同等またはやや劣ります。さらに、トータルリターンについては明らかに劣後しています。しかし、それらを補って余りある将来性が光るファンドです。eMAXIS Slimシリーズ全体に言えることですが、2021年においては騰落率や資産の流入額が他の競合を寄せ付けない数字になっています。

 

3位

野村・インデックスファンドTOPIX(愛称:Funds-i TOPIX):野村アセットマネジメント株式会社

トップ5の中で唯一信託報酬が0.4%となっています。一方で、当サイトの評価やトータルリターンでは上位に食い込んでいます。将来性では第4位に劣るため、第3位と第4位の順位は相当に悩みました。eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)が新進気鋭の投資信託であるの対し、Funds-i TOPIXは古株ファンドであるため、これまでの活躍も考慮してこの順位にしました。

 

2位

三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックス:三井住友DSアセットマネジメント株式会社

東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用するインデックス運用の投資信託の中においては、当ファンドを選んでおけば間違いないでしょう。トップ3の常連組で、どの指標においても高評価となっていますが、そのほとんどで第1位には負けています。各指標のランキング常連で、すべての指標で高評価を得ています。1位よりも信託報酬は小さくなっている(低コスト)ものの、その他の指標が少しずつ劣っていたため、トップを取ることはできませんでした。それでも、非常に優秀なファンドであることは間違いありません。設定から10年以上経過しており、全期間を対象としたトータルリターン(平均年率)は驚異の20%超となっています。

 

1位

年金積立・Jグロース(愛称:つみたてJグロース):日興アセットマネジメント株式会社

信託報酬、当サイトの評価以外のランキングはすべて1位となっています。アクティブ運用の投資信託であるため、信託報酬は1.0%をわずかに切る数字となっていますが、リターンも大きいため、割高といった印象はありません。騰落率や資産の流入額も大きく、将来性も感じられます。

 

以上、東証株価指数(TOPIX)をベンチマークに採用するつみたてNISA対応の商品の独自のランキングでした。投資信託は日々変動していくものです。経過に応じて評価も変動していきます。今回のランキングも定期的に更新していきたいと思います。

 

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