【徹底解剖】日経平均株価(日経225)
2021年2月に日経平均株価が30年ぶりに3万円台に回復したんだって!
新聞やニュースでも大々的に取り上げられていたね。現在はだいぶ落ち着いているけど、それでも高水準を維持しつつ推移しているんだ。
日経平均株価が上がるのはいいことだとは思うんだけど、日経平均株価自体をよくわかっていないから、いつも何となくで聞き流しちゃうんだー。
それなら、日経平均株価の概要について説明するね。
日経平均株価(日経225) 日経平均株価(日経225)は、日本を代表する株価指数として世界中で広く利用されています。算出開始から70年以上が経過し、まさに戦後日本経済の歴史を刻んできました。高い指標性は、相場動向を測る指標としてだけでなく、多くの金融商品でも活用されています。日経平均株価(日経225)は、東京証券取引所プライム市場に上場する225銘柄を選定し、その株価を使って算出する株価平均型の指数です。指標性を維持するため、毎年1回、「定期見直し」で10月初めに構成銘柄を入れ替えます。市場流動性とセクター(日経業種分類の36業種を6つに集約したもの)間のバランスにより選定します。経営再編や経営破綻などで欠員が出る場合には「臨時入れ替え」で銘柄補充し、225銘柄を維持します。日経平均株価(日経225)は、株価換算係数で調整した構成銘柄株価の合計金額を「除数」で割って算出します。「除数」は株価平均を算出する際に、市況変動によらない価格変動を調整し、連続性を維持するための値です。 |
2022年3月までは、東京証券取引所第一部に上場している225銘柄で構成されていたんだけど、2022年4月4日に、東京証券取引所の市場区分が再編されて、プライム市場に上場している225銘柄で構成されることになったんだよ。
大企業のステータスの1つだった「一部上場」が、これからは「プライム上場」になるんだね。だけど、市場区分が再編されたってことは、日経平均株価を構成している225銘柄も変わったの?
いいや。市場の再編によって構成銘柄が大きく変わるということはなかったよ。市場区分は変わったけど、指数の連続性も維持しなくちゃいけないからね。第一部上場銘柄のほとんどがそのままプライム市場銘柄になったし、そもそも構成銘柄の入れ替えは、「定期見直し」として毎年10月に行われるんだ。
そうなんだ。歴史のある指数みたいだし、僕でも名前は知っているくらいだから、とても重要なものなんでしょ?
うん。日本にとって重要な指数ってだけでなく、世界的にも重要な株価指数の1つなんだ。ほかにも様々な金融商品の指数として使われているんだよ。
もっともっと日経平均株価について知りたくなったよ!
では、日経平均株価をより詳しく見ていこう。
日経平均株価(日経225)を構成する代表的な銘柄
日経平均株価は、「構成銘柄株価の合計金額を除数で割って算出する」ことになっているから、相対的に株価の高い銘柄の影響が強く出るんだ。
えーと……。
たとえば、1株100円の銘柄が1つと1株5円の銘柄が9つのAグループと、1株500円の銘柄が1つと1株5円の銘柄が9つのBグループとがあった場合、Aグループの平均は14.5円に、Bグループの平均は54.5円になるよね。こんな感じで、株価の平均で指数を算出すると、構成銘柄の数が小さければ小さいほど、1銘柄の影響が大きくなるんだ。
そういうことか!
実際の日経平均株価は銘柄が225あるうえに、算出方法ももっと複雑だから、さっきのモデルのように単純ではないけど、イメージはしてもらえたかな。
さすがに225銘柄すべては把握しきれないけど、構成銘柄のトップ10くらいは知っておきたいな。
日経平均株価(日経225)の上位構成銘柄(2022年4月)
銘柄 | 業種 | ウエイト(%) |
ファーストリテイリング | 小売 | 7.79 |
東京エレクトロン | 電気機器 | 7.18 |
ソフトバンクグループ | 通信 | 3.95 |
KDDI | 通信 | 3.50 |
ダイキン工業 | 機械 | 2.64 |
ファナック | 電気機器 | 2.61 |
信越化学工業 | 化学 | 2.40 |
アドバンテスト | 電気機器 | 2.25 |
テルモ | 精密機器 | 2.00 |
京セラ | 電気機器 | 1.86 |
ウエイトの上位10銘柄だけで、全体の35%以上を占めているんだね。
そうだね。特に、ファーストリテイリングと東京エレクトロンは、1銘柄だけで全体の10%を占めることもあるんだ。
ということは、変動しやすい指数でもあるのかな?
そのとおり! 国内の代表的な株価指数の中では変動幅が大きい方なんだ。次は、その変動(チャート)を見ていこう。
チャート分析
2020年:新型コロナウイルスが世界を支配した年
- 2月:新型コロナウイルス(COVID-19・武漢肺炎)の流行により急落
- 3月:緊急事態宣言発令の影響により最安値を記録(1万6552円)
- 6月:緊急事態宣言解除による株式の買戻し
- 8月:新型コロナウイルスの第2波による警戒
- 11月:米国の大統領選の終結とワクチンの実用化への期待により大幅上昇
- 12月:第3波の懸念から乱高下を繰り返しながら終値は31年ぶりの高値(2万7444円)
やっぱりコロナの年だよね……。
うん。コロナ前のピークだった2月12日から年内最安値になった3月19日の下落幅は、チャイナ・ショックを超え、リーマン・ショックに匹敵する7,000円台を記録したんだ。
でも、その後は回復したんだよね。
9月にはコロナ前の水準に達したし、11月に米国の新大統領がバイデン氏に決まったこと、ワクチンの実用化が進んだことを受けて、一気にコロナ前を上回ったんだ。
年末の最後には27年ぶりの高値になったしね。
でも、目下では新型コロナウイルスの第3波の懸念もあり、素直に喜べない状況でもあったんだ。
2021年:コロナ・ショック後の歴史的な株高を経験した年
- 2月:バブル崩壊後初の3万円台に(1990年来)
- 4月:3回目の緊急事態宣言とワクチン接種の遅れによる下落
- 8月:新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の影響で年内最安値を記録(2万7013円)
- 9月:新政権樹立の影響で年内最高値を記録(3万670円)
- 10月:中国の大手不動産会社のデフォルト危機や原油価格の高騰に伴う下落
- 11月:新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)の影響で2万8000円台まで落ちる
最安値でも2万7000円を割らなかったんだね。
そして、最高値は30年ぶりに3万円台に回復したんだ。長続きはしなかったけど。
緊急事態宣言も出たし、コロナ禍の中の五輪開催だったから、そんなに経済が良くなったようには感じなかったんだけど、日経平均株価は好調だったみたいだね。
前にも言ったとおり、日経平均株価は日本の経済と連動するというよりは、米国や世界の株式市場と連動しやすいからね。2021年は世界的な株価バブルの状態だったんだよ。
2022年:世界的な原油高とロシアのウクライナ侵攻
- 原油高の影響で年初から徐々に下落
- ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、1月~4月の最安値を記録(2万4717円)
2022年はまだ始まったばかりだから、今後の動向を注視していくしかないね。
原油高とウクライナ侵攻の帰結次第ということかな?
世界情勢の変化に伴う円安と物価の上昇が現在進行形で進んでいるね。どちらも株式市場にはプラスにもマイナスにも起因するからバランスが大切だね。他にはどのタイミングで日銀が金利を上げるかということも大切かな。
加えて、ウクライナ侵攻(というよりはロシアの出方)次第で、世界の在り方や価値観が変わってくる可能性もあるよね。そうなったら、だれも予測できないようなチャートになっていくだろうね。
他の指数との比較
次は日経平均株価と他の指数を比較してみよう! 改めて、2020年1月から2022年5月の日経平均株価のチャートを見てみよう。
日経平均株価(日経225)の2020年1月~2022年5月のチャート
2020年3月に底(1万7000円を割った)をついてから、1年後の2021年2月に3万円台に回復。そこから少し下がったけど、2021年9月に再び3万円台に戻し、以後は上下しながら2万7000円台で落ち着いている感じだったね。
そのとおり。比較のポイントは大まかに言うと、①新型コロナウイルス第1波からの回復過程(2020年1月~2021年3月)と、②回復後から現在まで(2021年3月~2022年5月)の変化の2つを見ていくことになるよ。
東証株価指数(TOPIX)の2020年1月~2022年5月のチャート
TOPIXは市場全体の変動だから、日経平均株価に比べると変動幅が小さいのが特徴だね。
所々のブレには違いがあるけれど、全体的な形はほとんど同じだね。
日経平均株価は東京証券取引所プライム市場の代表的な225銘柄で算出していて、TOPIXは東京証券取引所に上場している全銘柄から算出しているんだ。算出方法は微妙に異なるけど、どちらも国内の株式市場の動向を表すものだから、同じようなチャートになるのは当然といえば当然なんだ。
日経平均株価とTOPIXのチャートを並べても、比較のポイントになっている①と②の区間の上下のタイミングほとんど同じだね。
S&P500指数の2020年1月~2022年5月のチャート
S&P500指数と日経平均株価の大きな違いは、S&P500指数が目立った停滞がなく、2020年3月の底から2022年の2月まで上昇しているのに対して、日経平均株価は停滞や下落を経ながら上昇しているという点にあるね。
S&P500指数はきれいな右肩上がりのグラフなんだ。
唯一、S&P500指数は9月から11月の期間が停滞しているように見えるけど、この時期は米国の大統領選が行われていたんだ。日経平均株価もこの時期はしっかり停滞しているね。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの2020年1月~2022年5月のチャート
どちらかというと、S&P500指数に近いかたちになっているね。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスは、対象地域・国の投資比率が米国に偏っているから、米国の株式市場の動きに強く影響されたチャートになるんだ。
でも、S&P500指数よりも「下げ」のタイミングが早くて深いように感じるな。
するどい。2020年1月~2022年5月の株式市場は世界的な株価バブルと言える期間だったんだ。その中でも、米国の株式市場の勢いは他の地域・国の追随を許さないほどすごかった。だから、米国の株式を中心に、他の地域の株式も含むMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスより、米国の株式のみのS&P500指数の方が上昇基調の推移となったんだよ。
日経平均株価(日経225)をベンチマークとする代表的な投資信託(つみたてNISA対応限定)
商品名 | 信託報酬 | トータルリターン(平均年率) |
PayPay投信・日経225インデックス | 0.1430% | -1.81% |
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 0.1540% | 5.31% |
ニッセイ・日経平均インデックスファンド | 0.1540% | 11.67% |
SMBC・DCインデックスファンド(日経225) | 0.1540% | 12.59% |
iFree 日経225インデックス | 0.1540% | 14.85% |
NZAM・ベータ・日経225 | 0.1760% | 10.49% |
i-SMT・日経225インデックス(ノーロード) | 0.1870% | 7.68% |
たわらノーロード・日経225 | 0.1870% | 9.19% |
野村・つみたて日本株投信 | 0.1870% | 10.81% |
Smart-i 日経225インデックス | 0.1870% | 11.01% |
つみたて日本株式(日経平均) | 0.1980% | 11.65% |
東京海上・日経225インデックスファンド | 0.2475% | 13.66% |
ニッセイ・日経225インデックスファンド | 0.7500% | 11.77% |
農林中金〈パートナーズ〉つみたてNISA日本株式・日経225 | 0.3850% | 7.22% |
SMT・日経225インデックス・オープン | 0.4070% | 21.26% |
しんきんノーロード日経225 | 0.4290% | 7.89% |
eMAXIS 日経225インデックス | 0.4400% | 18.21% |
野村・インデックスファンド日経225(愛称:Funds-i 日経225) | 0.4400% | 19.88% |
つみたて日経225インデックスファンド | 0.4950% | 設定直後 |
朝日ライフ・日経平均ファンド(愛称:にぃにぃGo) | 0.5500% | 6.43% |
商品名をクリック・タップすると、当サイトの各商品の評価記事を開くことができます。
トータルリターンが平均年率20%にもなる商品もあるんだね。
国内の株式を投資対象とした投資信託の中では、日経平均株価をベンチマークに採用しているものの方が他の指数をベンチマークに採用しているものよりもリターンが出やすい傾向にあるんだ。
指数の特性による成果だね。