労働保険 一括有期事業総括表(建設の事業)

 

 

一括有期事業を年度更新するときまたは保険関係が消滅したときに作成する書類が、「労働保険 一括有期事業総括表(以下、一括有期事業総括表)」です。

建設の事業の現場では、複数の事業が混在して1つの事業に当たっていることがあります。また、事業拡大により、本社から分離して新たに支店を出すこともあります。このとき、本来であれば個々の事業、本社と支店はそれぞれ別々に労働保険の保険関係が成立することになります。仮に、書面上では同一の会社であっても、労働保険上では別々の適用事業所として扱われるため、手続や保険料の納付なども各事業、本社と支店ごとに行わなければなりません。この場合、事業や支店の数が増えるほど、労働保険の管理が手間になってしまいます。しかし、一定の要件を満たしている事業については、労働保険の手続をまとめて行うことが可能になります。これを「継続の一括」と言います。

事業の一括が可能な事業は、次の通りです。

  • 有期事業のうち、建設の事業または立木の伐採の事業
  • 建設の事業のうち、数次の請負によって行われる事業
  • 継続事業

このうち、①と②については、事業の一括に係る要件を満たしている限り、法律上当然に(いかなる手続きも必要なく)一括されます。一方、③については、厚生労働大臣の認可を受けることで初めて一括することができます。

ただし、①~③のいずれにもおいても、保険関係が成立した年度の次の保険年度の6月1日から起算して40日以内(7月10日まで)、または保険関係が消滅した日から起算して50日以内に一括有期事業総括表を所轄の都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければなりません。

 

一括有期事業総括表の作成手順

 

それでは、一括有期事業総括表を一緒に作成していきましょう。

今回は、「さつま建設 株式会社」の代表取締役である「焔薪(ほむらまき)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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労働保険番号など

①労働保険番号は、事業所に振り出されている番号を記入します。

労働保険番号
事業所(会社)が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。

②「  枚のうち  枚目」は、一括する事業が多く、一括有期事業報告書を複数枚にわたって提出する際に、その総枚数と当該報告書の数を記入します。

 

総括表

①請負金額、②賃金総額は、それぞれそのまま記入します。

③メリット料率は、メリット制が適用されている場合に、前年度の労災保険率決定通知書および厚生労働省のホームページなどにある一括有期事業メリット制適用事業場に対する労災保険率表を参考にして記入します。

労災保険のメリット制
納付した保険料額と支給された保険給付などの比率に応じて、一定範囲内で労災保険率を上下させる制度であり、事業主の保険料負担の公平を図ること、事業主の自主的な労働災害防止努力を促進することを目的とするものです。もっと簡単に言えば、労働災害の発生頻度が少なかったり、労働災害の発生を予防するための具体的な施策を施していたりする事業の労災保険率引き下げ、労働災害の発生頻度が多かったり、労働災害の発生を予防するための具体的な施策を施していなかったりする事業の労災保険率引き上げる制度です。

④保険料額は、②×(基準料率-③)の額を記入します。

⑤合計は、①、②、④の合計額を記入します。

⑥一般拠出金額に係る数字は、⑤合計【賃金総額】に1000分の0.02をかけた額を一般拠出金額として記入します。

 

欄外下

①欄外下の日にちを記入するところには、一括有期事業総括表を提出する日を記入します。年度更新の場合は6月1日~7月10日までの日となります。

②「___労働局労働保険特別会計歳入徴収官 殿」には、事業所を所轄する都道府県労働局労働保険特別会計歳入徴収官の名称を記入します。さつま建設 株式会社は、高知県高知市にあるため、ここでは「高知」と記入します。

③事業主の情報は、郵便番号、電話番号、住所、氏名を記入します。氏名は事業の名称と事業主の職氏名を記入し、事業主または事業所の印鑑を押します。

④社会保険労務士記載欄は、本申請書などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。

 


 

以上で、一括有期事業報告書の作成が終わりました。

一括有期事業報告書は、一括有期事業報告書および確定保険料申告書と同時に提出することになります。

 

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