年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付) Part2
国民年金や厚生年金保険の遺族給付を請求するときに作成する書類が、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」です。
年金を受ける権利は所定の要件(保険料の納付期間、年齢など)を満たすことによって発生しますが、実際に年金を受けるためには請求することが必要で、年金を受ける権利を有する者(受給権者)が実施機関の裁定を受けなければ年金は支給されません。
遺族基礎年金および遺族厚生年金は、被保険者または被保険者であった者が、次のいずれかに該当する場合に遺族に支給されます。
- 被保険者が死亡したとき
- 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき
- 障害等級の1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者または保険料納付済機関と保険料免除期間とを合算した期間が35年以上である者が死亡したとき
遺族基礎年金および遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者または被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫、祖父母であって、被保険者または被保険者であった者の死亡当時、そのものによって生計を維持したものとなっています。ただし、妻以外の者については、次のような条件が設けられています。
- 夫、父母、祖父母については55歳以上であること
- 子、孫については18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級もしくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻をしていないこと
遺族基礎年金および遺族厚生年金は、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を提出して裁定請求をするとともに、初診日や死亡日、遺族などを証明するものでもあります。結果、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の記入事項も非常に多くなります。そのため、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の説明は2回に分けて行っていきます。
年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の作成手順
それでは、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を一緒に作成していきましょう。
今回は、厚生年金保険の被保険者だった「餡蜜寒幸(あんみつかんゆき)」さんの遺族(妻)である「餡蜜寒子(あんみつかんこ)」さんをモデルに進めていきます。
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死亡に係る情報
①死亡した者の生年月日、②住所は、いずれもそのまま記入します。
③死亡年月日、④死亡の原因である傷病または負傷の名称、⑤傷病または負傷の発生した日、⑥傷病または負傷の初診日は、いずれもそのまま記入します。
即死の場合は③⑤⑥の日にちが同じになります。一方、傷病の進行により死亡した場合は③⑤⑥の日にちが異なります。
⑦死亡の原因である傷病または負傷の発生原因は、④が発生した原因を記入します。原因が不明の場合は「不明・不詳」などと記入しても構いません。
⑧死亡の原因は第三者の行為によりますか。は、「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号に〇を付けます。
⑨死亡の原因が第三者の行為により発生したものであるときは、その者の氏名および住所は、⑧で「1:はい」に〇が付いた場合に、第三者の氏名と住所を記入します。
請求者の年金の受給状況
①請求する方は、死亡した方の相続人になれますか。は、「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号に〇を付けます。
②死亡した方は次の年金制度の被保険者、組合員または加入者となったことがありますか。は、次の1~10のいずれか該当するものに〇を付けます。
公的年金制度等 1:国民年金法 2:厚生年金保険法 3:船員保険法(昭和61年4月以後を除く) 4:廃止前の農林漁業団体職員共済組合法 5:国家公務員共済組合法 6:地方公務員等共済組合法 7:私立学校教職員共済法 8:旧市町村職員共済組合法 9:地方公務員の退職年金に関する条例 10:恩給法 |
③死亡した方は、②欄に示す年金制度から年金を受けていましたか。は、「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号に〇を付けます。
④受けていたときは、その制度名と年金証書の基礎年金番号および年金コード等をご記入ください。は、③で「1:はい」に〇を付けた場合に記入します。
特殊な年金の受給状況
①死亡の原因は業務上ですか。、②労災保険から給付が受けられますか。、③労働基準法による遺族補償が受けられますか。は、いずれも「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号に〇を付けます。
④遺族厚生年金を請求する方は、下の欄の質問にお答えください。は、ア~オの質問に対して、「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号に〇を付けます。
⑤⑥は、④の答えに応じて記入します。
生計維持申立A
①日付を記入するところには、生計維持の申し立てをする日を記入します。
②請求者の情報は、住所と氏名を記入し、請求者の印鑑を押します。
③請求者は、遺族給付の対象となる遺族の氏名と続柄を記入します。
生計維持申立B
①この年金を請求する方は次にお答えください。は、「請求者(名: )」に請求者の名前を記入し、年収が850万円未満ですかという質問に対して「はい、いいえ」のいずれかに〇を付けます。
②①で「いいえ」と答えた方のうち、その方の収入がこの年金の受給権発生当時以降おおむね5年以内に850万円未満となる見込みがありますか。は、「はい、いいえ」のいずれかに〇を付けます。
③欄外下の日にちを記入するところには、生計維持申立を提出する日を記入します。
機構独自項目A
①死亡した方の欄は、死亡した者が過去に加入していた年金制度において、基礎年金番号と異なる記号番号があるときに、その記号番号を記入します。
②請求者の欄は、請求者が過去に加入していた年金制度において、基礎年金番号と異なる記号番号が「ある」か「ない」かを答え、「ある」ときはその記号番号を記入します。
機構独自項目B
1:地方公務員の恩給 2:恩給法(改正前の執行官法附則第13条において、その例による場合を含む。)による普通恩給 3:日本製鉄八幡共済組合の老齢年金または養老年金 4:旧外地関係または旧陸海軍関係共済組合の退職年金給付 |
①の(上記の)いずれかの番号に〇が付いた場合に、②~⑥の質問に答えていきます。
機構独自項目C
①死亡した方が退職後、個人で保険料を納める第四種被保険者、船員保険の年金任意継続被保険者となったことがありますか。は、「1:はい、2:いいえ」のいずれかに〇を付けます。「1:はい」に〇が付いた場合は、②~④の質問に答えていきます。
委任状
代理人に年金請求の手続きを委任する場合に記入します。
代理人の氏名、受給権者との関係、住所などを記入します。また、委任することの証明として、受給権者の基礎年金番号、氏名、生年月日、住所、委任する内容を記入します。
受給権者が高齢だったり、疾病または負傷をしていたりした場合、円滑に年金を請求できなくなる可能性が出てきます。年金は高齢者の重要なライフラインであるため、請求できないことにより年金を受け取れない状況をなくすため、代理人に手続きを委任することができる仕組みを設けています。
以上で、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付) Part2の作成が終わりました。
見直しは、以下のリンクから進んでください。
厚生年金保険の遺族給付(遺族厚生年金)を請求する場合(同時に遺族基礎年金も請求する場合)は、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を提出しますが、国民年金の遺族給付(遺族基礎年金)を請求する場合(遺族厚生年金は請求しない場合)は、年金請求書(国民年金遺族基礎年金)を提出します。