年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付) Part1

 

 

国民年金や厚生年金保険の遺族給付を請求するときに作成する書類が、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」です。

年金を受ける権利は所定の要件(保険料の納付期間、年齢など)を満たすことによって発生しますが、実際に年金を受けるためには請求することが必要で、年金を受ける権利を有する者(受給権者)が実施機関の裁定を受けなければ年金は支給されません。

遺族基礎年金および遺族厚生年金は、被保険者または被保険者であった者が、次のいずれかに該当する場合に遺族に支給されます。

  • 被保険者が死亡したとき
  • 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき
  • 障害等級の1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者または保険料納付済機関と保険料免除期間とを合算した期間が35年以上である者が死亡したとき

遺族基礎年金および遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者または被保険者であった者の配偶者、子、父母、孫、祖父母であって、被保険者または被保険者であった者の死亡当時、そのものによって生計を維持したものとなっています。ただし、妻以外の者については、次のような条件が設けられています。

  • 夫、父母、祖父母については55歳以上であること
  • 子、孫については18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級もしくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻をしていないこと

遺族基礎年金および遺族厚生年金は、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を提出して裁定請求をするとともに、初診日や死亡日、遺族などを証明するものでもあります。結果、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の記入事項も非常に多くなります。そのため、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の説明は2回に分けて行っていきます。

 

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)の作成手順

 

それでは、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を一緒に作成していきましょう。

今回は、厚生年金保険の被保険者だった「餡蜜寒幸(あんみつかんゆき)」さんの遺族(妻)である「餡蜜寒子(あんみつかんこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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死亡した者の情報

①基礎年金番号は、そのまま記入します。

基礎年金番号
1997年(平成9年)1月から導入された、公的年金の加入者全員に与えられるすべての公的年金に共通の管理番号です。4桁-6桁の合計10桁の数字で構成されており、番号は原則的に生涯変わりません。基礎年金番号は年金手帳などで確認することができます。

②生年月日③氏名は、死亡した者の情報を記入します。

④性別は、「1:男、2:女」のいずれかの番号に〇を付けます。

 

請求者の情報

①個人番号(または基礎年金番号)は、そのまま記入します。

個人番号(マイナンバー)
個人の識別番号として、日本において行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づき、各市区町村から住民に指定される12桁の番号です。

②生年月日③氏名は、請求者の情報を記入します。

④続柄は、請求者と死亡した者の間柄を記入します。

⑤性別は、「1:男、2:女」のいずれかの番号に〇を付けます。

⑥郵便番号⑦住所⑧電話番号は、いずれもそのまま記入します。住所は市区町村から記入します。フリガナも記入します。

⑨社会保険労務士の提出代行者欄は、社会保険労務士が本請求書の提出を代行している場合に、(社会保険労務士の)氏名を記入し、印鑑を押します。

 

金融機関の情報

①年金受取機関は、「1:金融機関(ゆうちょ銀行を除く)、2:ゆうちょ銀行(郵便局)」のいずれかの番号に〇を付けます。下欄の「年金送付先」の記入欄が変わります。今回は、「1:金融機関(ゆうちょ銀行を除く)」に〇を付けました。

②口座名義人氏名は、氏と名を分けて記入します。フリガナも記入します。

③金融機関名称は、そのまま記入します。フリガナのも記入します。金融機関の種類や本店・支店の別などに〇を付けます。

④預金種別は、「1:普通、2:当座」のいずれかの番号に〇を付けます。

⑤口座番号は、そのまま記入します(左詰め)。

⑥金融機関またはゆうちょ銀行の証明欄は、銀行印を押してもらいます。ただし、通帳などの写しを添付する場合は不要です。

 

加算額・加給金の対象者の情報

①氏名②生年月日は、加算額の対象となる子の情報を記入します。

遺族給付の加算額
遺族基礎年金の額は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時遺族基礎年金の遺族の範囲に該当し、かつその者と生計を同じくした子につき、それぞれ74,900円に改定率を乗じて得た額(2人目までについては224,900円に改定率を乗じて得た額)が加算されます。

③障害の状態にある・ないは、「ある、ない」のいずれかに〇を付けます。

井上とまと

遺族給付を受けることができる妻以外の遺族には、前述のように年齢や障害の有無の条件が設けられています。子に係る条件は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級の1級もしくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻をしていないこと」となっています。そのため、当該欄ではこれらの条件に当てはまっているかを示す項目となります。

④個人番号は、そのまま記入します。

 

配偶者の年金の受給状況

あなたの配偶者は、公的年金制度等から年金を受けていますか。は、請求者の年金受給状況(以下のア~スの受給状況)を、「1:受けている、2:受けていない、3:申請中」のいずれかの番号に〇を付けます。「3:申請中」に〇が付いた場合は、申請中の【制度名】と【年金の種類】も記入します。

公的年金制度等
ア 国民年金
イ 厚生年金保険
ウ 船員保険(昭和61年4月以後を除く)
エ 国家公務員共済組合(JT、JR、NTTの三共済組合を含む)(昭和61年4月前の長期給付に関する施行法を含む)
オ 地方公務員等共済組合(昭和61年4月前の長期給付に関する施行法を含む)
カ 私立学校教職員共済
キ 廃止前の農林漁業団体職員共済組合
ク 恩給
ケ 地方公務員の退職年金に関する条例
コ 日本製鉄八幡共済組合
サ 改正前の執行官法附則第13条
シ 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法
ス 戦傷病者戦没者遺族等援護法

②受けていると答えた方は下欄に必要事項をご記入ください。は、①で「1:受けている」に〇が付いた場合に、【制度名】、【年金の種類】、【年月日】、【年金コードまたは記号番号】を記入します。

 

履歴(公的年金制度加入経過)

①事業所(船舶所有者)の名称および船員であったときはその船舶名は、年金制度の被保険者または組合員だったときの所属組織の名称を記入します。ただし、事業所などの組織に所属していなかった場合は空欄にしておきます。

井上とまと

厚生年金保険や共済組合などは、基本的に適用事業所などに雇用された時から被保険者や組合員となります。一方、国民年金は原則20歳に達した時から被保険者になります。大学や専門学校などに通っていた人は、20歳に達してからも就職していなかった人がほとんどでしょうから、「最初」の欄は空白となることが多いです。

学生納付特例
20歳に達してからも学生などである(学業により就職していなかった)被保険者から申請があったときは、その指定する期間(学生などである期間)に係る保険料につき、納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間に算入することができます。ただし、当該期間も被保険者の資格は有し続けます。
井上とまと

また、明確な事業所を有しない状態で収益を得ていた(フリーランスなど)場合も、当該欄は空白になります。ただし、いずれの年金制度の被保険者または組合員でなかった期間は、当該欄を空白にするわけではなく、①~⑤までのすべての情報を記入せず、履歴からは除外します。

②事業所(船舶所有者)の所在地または国民年金加入時の住所は、①の事業所などの所在地を記入します。国民年金の被保険者だった期間は、被保険者の住所を記入しますが、自営により国民年金の被保険者になっていた場合は、自営を行っていた所在地を記入します。

③勤務期間または国民年金の加入期間は、①の事業所などにおいて被保険者の資格を取得した日から被保険者の資格喪失した日までの年月日を記入します。

井上とまと

請求時に年金制度の被保険者または組合員である場合は、③の最後は「現在」と記入します。

④加入していた年金制度の種類は、「1:国民年金、2:厚生年金保険、3:厚生年金(船員)保険、4:共済組合等」のいずれかの番号に〇を付けます。

⑤備考は、特記すべきことがあれば記入します。

 


 

以上で、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付) Part1の作成が終わりました。

続きは、以下のリンクから進んでください。

厚生年金保険の遺族給付(遺族厚生年金)を請求する場合(同時に遺族基礎年金も請求する場合)は、年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)を提出しますが、国民年金の遺族給付(遺族基礎年金)を請求する場合(遺族厚生年金は請求しない場合)は、年金請求書(国民年金遺族基礎年金)を提出します。

 

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