健康保険 傷病手当金支給申請書

 

 

健康保険の傷病手当金の支給を受けるときに作成する書類が、「健康保険 傷病手当金支給申請書(以下、傷病手当金支給申請書)」です。

健康保険の被保険者が療養のため、労務に服すことができないときは、その労務に服すことができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服すことができない期間、傷病手当金が支給されます。

井上とまと

傷病手当金は労務に服すことができない被保険者の生活保障として、健康保険の保険者から支給される現金給付の1つです。

「労務に服すことができないとき」とは、次のような場合です。

  • 休業中に家事の副業に従事しても、その傷病の状態が勤務する事業所における労務不能である場合
  • 傷病が休業を要する程度のものでなくても、被保険者の住所が診療所より遠く、通院のため事実上労務に服せない場合
  • 労務に服しても差し支えない者であっても、将来的に症状悪化のおそれがあり、療養上その症状が休業を要する場合
  • 病原体保有者が隔離収容されている場合

「3日を経過した日」とは、3日間連続で休業した日という意味です。この3日間を待期期間と呼びます。また、待期期間に報酬を受けたり、有給休暇で処理したとしても待期期間は完成し、休業4日目から傷病手当金を受けることができます。

井上とまと

たとえば、2月1日~2日までの2日間休み、3日は出勤し、4日以降休んだ場合は、4日で待期期間は完成せず、4日~6日の3日間で完成し、7日から傷病手当金を受けることができるようになります。

傷病手当金の支給額は、傷病手当金の支給を受ける始める日の属する月以前の直近の継続した12か月の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額(1日当たりの支給額)となります。

標準報酬月額については、「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届・70歳以上被用者算定基礎届」の記事などで確認することができます。

また、傷病手当金は、出産手当金、報酬、厚生年金などが同時に支給されている場合は、その額が調整されます。これを併給調整と言い、傷病手当金が他の金額に応じて減額されます。

 

傷病手当金支給申請書の作成手順

 

それでは、傷病手当金支給申請書を一緒に作成していきましょう。

今回は、健康保険の被保険者である「紅玉火夏(こうぎょくひなつ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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被保険者情報

①被保険者証の記号・番号は、被保険者証に記載されている記号(事業所整理記号)と番号(被保険者整理番号)を記入します。数字は左詰めで記入します。

事業所整理記号
「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。
被保険者整理番号
社会保険に加入したときに、会社内で1番から順に従業員に割り当てる番号です。新入社員など、新しく健康保険証を発行する場合は、直前に社会保険に加入した従業員の次の番号を採番します。従業員に被扶養者がいる場合は、従業員と同じ番号を割り当てます。

②生年月日は、左の▢に元号を、その後の6つの▢に年月日を記入します。元号は「1:昭和、2:平成、3:令和」のいずれかの番号を記入します。

③氏名は、漢字とフリガナで記入します。

④住所・電話番号は、郵便番号と電話番号を数字で記入し(左詰め)、住所を都道府県から記入します。

 

振込先指定口座

①金融機関名称は、そのまま記入します。

②預金種別は、「1:普通、2:当座、3:別段、4:通知」のいずれかの番号を記入します。

③口座番号は、そのまま記入します(左詰め)。

④口座名義は、フリガナで記入します。姓と名の間は1マス空け、゛濁点や小文字は1マスに記入します。

⑤口座名義の区分は、「1:被保険者、2:代理人」のいずれかの番号を記入します。「2:代理人」と記入した場合は、後述の「受取代理人の欄」に情報を記入します。

 

受取代理人の欄および欄外下

①受取代理人の欄は、「口座名義の区分」を「2:代理人」とした場合に、その者の氏名や生年月日、住所などを記入します。

井上とまと

被保険者の傷病が重い場合、被保険者ではなく、代理人に療養費が支給された方がいい場合もあります。そのようなときは、「口座名義の区分」を「2:代理人」とし、当該欄にその代理人の身分を証明します。

②個人番号(マイナンバー)記入欄は、被保険者証の記号・番号が不明な場合に記入します。被保険者証の記号・番号が記入されているときは、記入しない方がいいです。

③社会保険労務士記載欄は、本申請書などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。

 

申請内容

①被保険者氏名は、そのまま記入します。

②傷病名は、労務に服すことができなくなった原因の疾病・負傷の診断名を記入します。

③初診日は、②の傷病名が付いた日を記入します。左の▢に元号を、その後の6つの▢に年月日を記入します。元号は「1:平成、2:令和」のいずれかの番号を記入します。

④当該の傷病は病気(疾病)ですか、ケガ(負傷)ですか。は、「1:病気、2:ケガ」のいずれかの番号を記入します。「1:病気」の場合は、発病時の状況も記入します。「2:ケガ」の場合は、負傷原因届を添付します。

⑤療養のため休んだ期間(申請期間)は、休み始めた日(待期期間を含む)と休み終わった日(出勤した日の前日)を記入します。前述の「初診日」の規則に従って記入します。

⑥日数は、⑤の日数を記入します。

⑦あなたの仕事の内容(具体的に)は、仕事の内容や役職などを詳しく記入します。

 

確認事項

確認事項は、併給調整が必要かどうかを確認するための質問が中心です。

①上記の療養のため休んだ期間(申請期間)に報酬を受けましたか。また今後受けられますか。は、「1:はい、2:いいえ」のいずれかの番号を記入します。「1:はい」と記入した場合は、報酬の支払いの対象となった期間や報酬額も記入します(1⃣-①欄)。

②「障害厚生年金」または「障害手当金」を受給していますか。受給している場合、どちらを受給していますか。は、「1:はい、2:請求中、3:いいえ」のいずれかの番号を記入します。「1:はい」と記入した場合は、次の▢に「1:障害厚生年金、2:障害手当金」のいずれかの番号を記入します。また、「1:はい」と記入した場合は、下欄に厚生年金受給の情報も記入します(2⃣-①欄)。

③老齢または退職を事由とする公的年金を受給していますか。は、「1:はい、2:請求中、3:いいえ」のいずれかの番号を記入します。ただし、健康保険の資格を喪失している場合に限り記入します。また、「1:はい」と記入した場合は、下欄に公的年金受給の情報も記入します(3⃣-①欄)。

井上とまと

健康保険の資格を喪失している場合においても、資格の喪失前から受けていた傷病手当金は継続されます。

④労災保険から休業補償給付を受けていますか。は、「1:はい、2:請求中、3:いいえ」のいずれかの番号を記入します。「1:はい」と記入した場合は、下欄に労災給付受給の情報も記入します(4⃣-①欄)。

 

事業主が証明するところA

①被保険者氏名は、そのまま記入します。

②勤務状況【年月日】は、療養のため休んだ期間(申請期間)を記入します。左の▢に元号を、その後の4つの▢に年月を記入します。元号は「1:平成、2:令和」のいずれかの番号を記入します。

③勤務状況【カレンダー】は、②の月内の勤務状況を記入します。カレンダーに「〇:出勤、△:有給休暇、公:公休、/:欠勤」のいずれかの記号を記入します。

④出勤は、③中の「〇:出勤」の日数を記入します。

⑤有給は、③中の「△:有給休暇」の日数を記入します。

⑥上記の期間に対して、賃金を支給しました(します)か?は、「はい、いいえ」のいずれかに✓を入れます。

⑦給与の種類は、「月給、日給、日給月給、時間給、歩合給、その他」のいずれかに✓を入れます。

⑧賃金計算は、締日と支払日を記入します。

 

事業主が証明するところB

以下は、前述の「上記の期間に対して、賃金を支給しました(します)か?」で、「はい」に✓を入れた場合に記入します。

①区分は、給与の区分を記入します。基本給、通勤手当、現物給与遺体の区分がある場合には、その名称を記入します。「株式会社 輝石ゼミナール」は、給与として「基本給、通勤手当、残業手当」を支給しています。

②単価は、①の区分に応じて、その基本となる単価を記入します。

③期間は、前述の「勤務状況」で記入した期間において、賃金を支給した期間を記入します。当該月の賃金締切日の翌日から、次月の賃金締切日の月日を記入します。

④支給額は、③の期間におけるそれぞれの区分ごとの支給額を記入します。

⑤賃金計算方法は、④の支給額を決定した方法を記入します。それぞれの区分ごとに計算式がわかるように記入します。

⑥担当者氏名は、賃金計算の担当者・責任者の氏名を記入します。

 

事業主が証明するところC

①証明欄の日にちを記入するところには、本申請書の記載事項を事業主が証明した日を記入します。

②事業主の情報は、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名を記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。

③電話番号は、事業所の電話番号を記入します。

 

療養担当者が意見を記入するところA

①患者氏名は、そのまま記入します。

②傷病名は、労務に服すことができなくなった原因の疾病・負傷の診断名を記入します。

③初診日は、②の傷病名が付いた日を記入します。左の▢に元号を、その後の6つの▢に年月日を記入します。元号は「1:平成、2:令和」のいずれかの番号を記入します。

④発病または負傷の年月日は、左の▢に元号を、その後の6つの▢に年月日を記入します。元号は「1:平成、2:令和」のいずれかの番号を記入します。また、「発病、負傷」のいずれかに✓を入れます。

⑤労務不能と認めた期間は、労務不能となった日と労務可能となった日を記入します。前述の「初診日」の規則に従って記入します。また、その日数も記入します。

⑥発病または負傷の原因は、療養担当者がわかる範囲でその原因を記入します。

⑦うち入院期間は、⑤の期間のうち、入院していた期間がある場合に記入します。前述の「初診日」の規則に従って記入します。また、その日数も記入します。

⑧療養費用の別は、「健保、公費、自費、その他」のいずれかに✓を入れます。「公費」に✓を入れた場合は、その名称も記入します。

⑨転帰は、最終的にどのような状態になったかを記入します。「治癒、中止、繰越、転医」のいずれかに✓を入れます。

 

療養担当者が意見を記入するところB

①診療実日数は、実際に診療した日数(入院期間を含む)を記入します。

②診療日及び入院していた日【月】は、診療日および入院していた日がある月を記入します。

③診療日及び入院していた日【カレンダー】は、②の月内の診療状況を記入します。診療日または入院期間に該当する日に〇を付けます。

④上記期間中における「主たる症状および経過」「治療内容、検査結果、療養指導など」は、できるだけ詳しく記入します。別紙参照としても構いません。

⑤手術年月日⑥退院年月日は、手術や入院をしていた場合に記入します。

⑦症状経過からみて従来の職種について労務不能と認められた医学的な所見は、できるだけ詳しく記入します。別紙参照としても構いません。

⑧人工透析を実施または人工臓器を装着したときは、当該事実があれば記入します。

 

療養担当者が意見を記入するところC

①証明欄の日にちを記入するところには、本申請書の記載事項を診療担当者が証明した日を記入します。

②療養担当者の情報は、医療機関の所在地、医療機関の名称、医師の氏名を記入し、医療機関または医師の印鑑を押します。

③電話番号は、医療機関の電話番号を記入します。

 


 

以上で、傷病手当金支給申請書の作成が終わりました。

傷病手当金は、傷病手当金支給申請書を提出することで支給されます。仮に、被保険者自身が療養のために傷病手当金支給申請書を提出することができない場合でも、代理人などに依頼して早めに請求することで、被保険者の生活困窮を防ぐことができます。

また、傷病手当金は、支給開始から1年6か月は支給されますが、それを超えて支給されることはありません。

 

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