育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
1歳に満たない子を養育する労働者が育児休業給付金を受けるときに作成する書類が、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(以下、育児休業給付金支給申請書)」です。
雇用保険における「育児休業給付金」は、1歳(場合によっては1歳6か月または2歳)に満たない子を養育する被保険者が、育児休業を開始した日前の2年間に「みなし被保険者期間」が通算して12か月以上であったときに支給されます。
みなし被保険者期間とは、休業を開始した日の前日からさかのぼって1か月ごとに区切り、その区分した1か月間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月を見なし被保険者期間1か月として計算するものです。
賃金支払基礎日数は、月給者の場合であれば暦日数となり、日給者や月給者は実際に働いた日数となります。
育児休業給付金は、休業を開始した日(応当日)から翌月の応当日の前日までを1か月(支給単位期間)とし、被保険者が請求する日まで月を単位として支給されます。
育児休業給付金支給申請書は、最初の支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までに、休業開始時賃金証明票などを添え、事業主を経由して所轄の公共職業安定所に提出しなければなりません。
たとえば、育児休業給付金の受給要件を満たした被保険者が4月15日に育児休業を開始した場合は、「支給単位期間の初日」は4月15日になりますから、そこから4か月を経過する日(7月14日)の属する月の末日である7月31日までに育児休業給付金支給申請書を提出しなければなりません。
育児休業給付金支給申請書の作成手順
それでは、育児休業給付金支給申請書を一緒に作成していきましょう。
今回は、「有限会社 星野酒造」の「彗林流子(すいばやしるこ)」さんをモデルに進めていきます。
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被保険者の情報A
①被保険者番号は、その労働者に振り出されている被保険者番号を記入します。
被保険者番号 雇用保険に加入した労働者1人に対して1つ振り出される11桁の番号のことです。 最初に就職した会社で雇用保険の加入条件を満たしている場合に振り出され、雇用保険被保険者証に記載されることになります。 |
②資格取得年月日は、年号を「3:昭和、4:平成、5:令和」のいずれかの番号を左端の▢に記入し、-ハイフン後の▢に年月日を記入します。
資格取得年月日はその事業所の雇用契約が開始された日ではありません。雇用保険の資格を取得した年月日であるため、雇用保険被保険者証などを確認して記入しましょう。
③被保険者氏名、④フリガナは、いずれもそのまま記入します。苗字と名前の間は1マス空けます。また、゛濁点や小文字はそれぞれ1マスに記入します。
被保険者の情報B
①事業所番号は、その事業所に振り出されている事業所番号を記入します。
事業所番号 雇用保険に加入している会社に対して振り出される11桁の番号のことです。公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者取得届を提出した後に、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)が交付され、これに当該番号が記載されています。 |
②育児休業開始年月日は、前述の「資格取得年月日」の記入方法に準じて記入します。育児休業を産後休業から連続して取得する場合は、出産日の翌日から56日後(出産日の翌日から57日目)が育児休業開始年月日となります。
③出産年月日は、前述の「資格取得年月日」の記入方法に準じて記入します。
④個人番号は、被保険者の個人番号(マイナンバー)を記入します。
⑤被保険者の住所(郵便番号)は、そのまま記入します。
被保険者の情報C
①被保険者の住所は、1行目に市、区、郡、町、村名を記入し、2行目に丁目、番地を記入し、3行目にアパート、マンション名を記入します。
②被保険者の電話番号は、そのまま記入します。左詰めで記入します。
支給単位期間
①支給単位期間は、元号「4:平成、5:令和」のいずれかの番号を左端の▢に記入し、1つ目の-ハイフンの後に応当日を記入し、2つ目の-ハイフンに翌月の応当日の前日を記入します。1つの様式で2月分の申請が可能です。
②就業日数は、①の支給単位期間内に就業した日数を記入します。
③就業時間は、①の支給単位期間内に就業した時間を記入します。
④支払われた賃金額は、いずれもそのまま記入します。
⑤最終支給単位期間は、育児休業が終了する日の属する支給単位期間がある場合に記入します。
育児休業の情報
職場復帰年月日、支給対象となる期間の延長事由-期間、配偶者の育休取得、配偶者の被保険者番号は、それぞれ職場復帰の時期が決まっている場合、育児休業を延長する場合、配偶者も育児休業を取得している場合に記入します。該当する事実がない場合は未記入でも構いません。
事業所の証明
①上欄の日にちを記入するところには、当該欄以前の記入内容に誤りがないことを証明する日を記入します。
②事業所の情報は、事業の名称、所在地、電話番号、事業主の氏名を記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。
③下欄の日にちを記入するところには、育児休業給付金支給申請書を提出する日を記入します。
④「___公共職業安定所長 殿」には、事業所がある地域を管轄する公共職業安定所(長)の名称を記入します。「有限会社 星野酒造」は、鹿児島県霧島市国分川内にありますから、ここでは「国分」と記入します。
⑤申請者氏名は、漢字とフリガナでそのまま記入し、印鑑を押します。
金融機関の情報
①払込希望金融機関【名称】は、漢字とフリガナで記入します。
②金融機関コードおよび店舗コード、③口座番号は、いずれもそのまま記入します。ゆうちょ銀行の場合は記号番号を記入します。
④金融機関による確認印は、金融機関などに押してもらいます。
欄外下および社会保険労務士記載欄
①備考【賃金締切日】、【賃金支払日】は、いずれもそのまま記入します。賃金締切日はその日を記入します。賃金支払日は「当月・翌月」のいずれかに〇を付け、その日を記入します。
②備考【通勤手当】は、「有、無」のいずれかに〇を付け、「有」に〇が付いた場合は「毎月、3か月、6か月」のいずれかに〇を付けますが、いずれでもない場合は空白にその期間を記入します。
③社会保険労務士記載欄は、本申請書などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄に必要事項を記入します。
以上で、育児休業給付金支給申請書の作成が終わりました。
育児休業給付金支給申請書の申請者は被保険者ですが、提出は事業主を経由します。しかし、休業するという都合上、事業所によっては快く育児休業給付金支給申請書を提出してもらえない場合もあります。そのため、育児休業給付金支給申請書については、被保険者自身が直接提出することも可能です。本来は、育児休業給付金支給申請書は事業主の証明を受けたうえで作成されますが、被保険者が直接提出する場合には、証明を受けずに提出することも可能です。また、休業開始時賃金証明票の添付も省略することができます。
諸事情により、被保険者が直接提出する場合には、事前に公共職業安定所などに相談しておくといいでしょう。