労働者災害補償保険 遺族補償年金前払一時金請求書

 

 

労働者災害補償保険(以下、労災保険)の遺族補償年金前払一時金を受けるときに作成する書類が、「労働者災害補償保険 遺族補償年金前払一時金請求書(以下、遺族補償年金前払一時金請求書)」です。

労働災害に係る負傷や疾病により、被災労働者が死亡した場合に、一定の要件を満たした遺族は労災保険によって(金銭的に)支援されます。これが労災保険における「遺族(補償)給付」であり、死亡した被災労働者の収入によって生計を維持していた者がいた場合には、「遺族(補償)年金」を受給することになると、以前の記事で説明しました。

遺族(補償)年金では、死亡の原因となった労働災害に係る負傷や疾病にかかわらず、一律で給付基礎日額1,000日分の金額が1年ごとに支給されます。これにより、残った遺族の生活を補償しています。しかし、遺族の生活状況によっては、年金ではなく、一時金としてまとまった額を受け取りたいと考えることもあります。

遺族(補償)年金を一時金として受け取りたい場合、遺族(補償)年金を受ける権利を持つ遺族(請求者)が遺族補償年金前払一時金請求書を作成し、死亡した被災労働者が所属する事業所がある地域を管轄する労働基準監督署長に提出することになります。

前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分の中から、遺族(補償)年金を受ける権利を持つ遺族(請求者)が選択することができます。また、「前払」という名のとおり、前払一時金で受け取った額は、その後の年金額から差し引かれます。

 

遺族補償年金前払一時金請求書の作成手順

 

それでは、遺族補償年金前払一時金請求書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「Bug’s Style 株式会社」の労働者である「蝶野蜚敏(ちょうのとびとし)」さんの遺族である「蝶野吸子(ちょうのすいこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

事務所やデスク周りに必要なものは楽天市場 でお得にそろえましょう!



 

死亡労働者の情報

①年金証書の番号は、遺族(補償)年金の年金証書に記載されている「年金証書の番号」を記入します。

年金証書の番号
管轄局(2桁)、種別(1桁)、西暦年(2桁)、番号(4桁)の9桁で構成されています。このうち、左から3番目の種別(1桁)は、傷病補償年金の場合は1、障害補償年金の場合は3、遺族補償年金の場合は5となります。

②死亡労働者の氏名③死亡労働者の住所は、そのまま記入します。

 

請求人の情報および給付日数

①請求人の氏名②生年月日③住所は、そのまま記入します。遺族(補償)年金における遺族となる者すべての情報を記入します。

④労災年金受給の有無を選択するは、「受けている、受けていない」のいずれかに〇を付けます。「受けている」に〇が付いた場合は、本請求書を提出する前までに受けていた年金額を⑤から除いた額が、前払い一時金の上限となります。

⑤請求する給付日数は、「200、400、600、800、1,000」のいずれかに〇を付けます。

 

欄外下A

には、本請求書が何の請求書であるかを示すために、該当する項目に〇を付けます。業務災害により前払一時金を請求する場合は「遺族補償年金」に、通勤災害により前払一時金を請求する場合は「遺族年金」に〇を付けます。

井上とまと

①で〇を付けたものと、表題で〇を付けたものとに、ずれがないことを確認してください。

②振り込みを希望する銀行等の名称は、前払一時金の振り込みを希望する金融機関の名称と、本店・支店名を記入します。

③預金の種類及び口座番号は、「普通・当座」のいずれかの番号に〇を付け、口座番号と名義人を記入します。

 

欄外下B

①左上の日にちを記入するところには、遺族補償年金前払一時金請求書を提出する日を記入します。

②請求人の情報は、郵便番号、電話番号、住所、氏名を漏れなく記入し、印鑑を押します。

③「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。「Bug’s Style 株式会社」は、愛知県名古屋市天白区にありますから、ここでは「名古屋東」と記入します。

 


 

以上で、遺族補償年金前払一時金請求書の作成が終わりました。

前払一時金の請求は、遺族(補償)年金の請求の同時または請求後、1回に限り行うことができます。また、遺族(補償)年金の支給後に前払一時金の請求をしたときは、給付基礎日額1,000日分の請求上限額から、前払一時金の請求までに支給された年金の額を差し引いた額が修正上限額となります。

また、遺族(補償)年金における一定の要件を満たした遺族のうち、次の者は「若年支給停止者」と呼ばれ、60歳に達するまでは遺族(補償)年金の支給が停止されます。

順位遺族要件
755歳以上60歳未満の者で、障害の状態にないこと
8父母55歳以上60歳未満の者で、障害の状態にないこと
9祖父母55歳以上60歳未満の者で、障害の状態にないこと
10兄弟姉妹55歳以上60歳未満の者で、障害の状態にないこと

しかし、上記の若年停止者であっても、遺族(補償)年金前払一時金については、請求することができます。

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA