労働者災害補償保険 休業給付支給請求書

 

 

労働者災害補償保険(以下、労災保険)の休業給付を受けるときに作成する書類が、「労働者災害補償保険 休業給付支給請求書(以下、休業給付支給請求書)」です。

労働災害(通勤災害)と認定された場合、その負傷や疾病に係る療養により、労働ができないために賃金を受けない日において、被災労働者の生活は、労災保険によって(金銭的に)支援されます。これが労災保険における「休業給付」です。

井上とまと

労災保険において、業務災害によって給付を受ける場合は休業補償給付、通勤災害によって給付を受ける場合は休業給付と、給付の名称が異なります。

休業給付は、金銭給付によって行われます。また、その額は給付基礎日額の100分の60とされています。

給付基礎日額については、以下の記事で詳しく説明しています。

休業給付は、被災労働者を使用する事業主が、労働災害の発生後速やかに、休業給付支給請求書を事業所がある地域を管轄する労働基準監督署に提出することで受けることができるようになります。

井上とまと

休業給付は療養給付とは異なり、当然に受けられるわけではなく、請求することによって受けられるようになります。

 

休業給付請求書の作成手順

 

それでは、休業給付請求書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「Bug’s Style 株式会社」の労働者である「蝶野蜚敏(ちょうのとびとし)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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労働保険番号および労働者の情報

①労働保険番号は、事業所に振り出されている事業所番号を記入します。

労働保険番号
事業所(会社)が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。

②労働者の性別は、「1:男、3:女」のいずれかの番号を記入します。

③労働者の生年月日は、元号を「1:明治、3:大正、5:昭和、7平成、9:令和」のいずれかの番号を左端の▢に記入し、年月日を続く▢に記入します。年月日が1桁の場合には、0⃣を記入して続けます。昭和50年1月23日生まれの場合は、「5⃣5⃣0⃣0⃣1⃣2⃣3⃣」と記入します。

④負傷又は発病年月日は、③と同様の規則で記入します。

⑤氏名は、カタカナと漢字のそれぞれを記入します。カタカナ表記は、欄外右上の「標準字体」の規則に従って記入します。

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゛濁点も1マスに記入し、苗字と名前の間は1マス開けます。

⑥住所は、郵便番号と住所を記入します。住所にはフリガナも記入します。

 

療養のため労働できなかった期間

①期間は、元号を「1:明治、3:大正、5:昭和、7平成、9:令和」のいずれかの番号を左端の▢に記入し、年月日を続く▢に記入します。年月日が1桁の場合には、0⃣を記入して続けます。令和3年12月30日から令和4年2月28日までの場合は、「9⃣0⃣3⃣1⃣2⃣3⃣0⃣-9⃣0⃣4⃣0⃣2⃣2⃣8⃣」と記入します。

②点線▢には、①の期間の日数を記入します。

③賃金を受けなかった日の日数は、②のうち賃金を受けなかった日の日数を記入します。

 

金融機関の情報

給付の授受
休業補償給付は現金が支給されます。しかし、現金は手渡しされるのではなく、金融機関への振込というかたちで行われます。そのため、振込先の金融機関の情報も記入しておく必要があります。

①区分は、「新規・変更」のいずれかに〇を付けます。初めて療養の費用の支給を受ける場合は、新規に〇が付きます。

②預貯金の種類は、「1:普通、3:当座」のいずれかの番号を記入します。

③口座番号は、そのまま記入します。必ず左詰めで記入します。

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ゆうちょ銀行の場合は少し特殊な書き方になりますので、様式の注意書きをよく読んで記入しましょう。

④振込を希望する金融機関の名称は、金融機関名と本店・支店名を記入します。

⑤口座名義人は、基本的に被災労働者の口座となります。

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労災保険の給付はそのほとんどが、被災労働者に向けられたものとなっているため、休業中の賃金を事業所(会社)が補償していたとしても、振り込みを希望する口座は、被災労働者名義のものであることが望ましいです。というよりも、被災労働者名義の口座以外の口座に振り込んでもらうようにすると、余計な確認や手続きが生じる場合があります。

⑥口座名芸人(カタカナ)は、欄外右上の「標準字体」の規則に従って記入します。

 

事業所の証明

①左上の日にちを記入するところには、前述の情報が正確であることを、事業所が証明した日を記入します。

②事業所の情報は、事業の名称、電話番号、所在地(郵便番号)、事業主の氏名を記入し、印鑑を押します。

 

診療担当者の証明

①傷病の部位及び傷病名は、診療担当者から診断された診断名を記入します。

②療養の期間は、療養の開始日から終了日までの日にち、その期間、診療実日数(実際に診療を受けた日の日数)を記入します。

③傷病の経過は、療養の現況(療養の現在の状況)と、療養のため労働することができなかったと認められる期間を記入します。療養の現況(療養の現在の状況)は、「現在」の日付と、その状況を「治癒(症状固定)、死亡、転医、中止、継続中」から選んで〇を付けます。療養のため労働することができなかったと認められる期間は、前述の「療養のため労働できなかった期間」に倣って記入します。

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診療担当者が記入する傷病の経過における「療養のため労働することができなかったと認められる期間」と、事業主が記入する「療養のため労働できなかった期間」は、基本的に同じ事柄(日にち・日数)が記入されます。

④欄内の日にちを記入するところには、欄内の事項を証明する日にちを記入します。

⑤病院又は診療所の情報は、証明をした医療機関の所在地(郵便番号)、名称、電話番号、診療担当者氏名を記入し、医療機関の印鑑を押します。

 

欄外下

①右上の日にちを記入するところには、休業補償給付請求書を提出する日を記入します。

②左端の「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。「Bug’s Style 株式会社」は、愛知県名古屋市天白区にありますから、ここでは「名古屋東」と記入します。

③請求人の情報は、郵便番号、電話番号、住所、氏名を漏れなく記入し、印鑑を押します。

 

災害に関する情報A(裏面)

①労働者の職種②負傷又は発病の時刻は、いずれもそのまま記入します。

③平均賃金は、「平均賃金算定内訳」などを用いて、被災労働者の平均賃金を記入します。

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平均賃金は、休業補償給付の額の基準となる給付基礎日額の計算に用いられます。

④災害時の通勤種別は、「イ:住居から終業の場所への移動、ロ:就業場所から居住への移動、ハ:就業の場所から他の就業の場所への移動、ニ:イに先行する住居間の移動、ホ:ロに後続する住居間の移動」のいずれかに〇を付けます。

通勤の定義
労災保険において、通勤は次のように定義されています。 ①住居と終業の場所との間の往復 ②厚生労働省令で定める終業の場所から他の就業の場所への移動 ③①の往復に先行し、または後続する住居間の移動 上記のような往復や移動の経路から逸脱または中断すると、通勤災害と認められなくなる場合があります。

③災害発生の場所④終業の場所は、いずれもそのまま記入します。

⑤就業開始の予定年月日及び時刻⑥住居を離れた年月日及び時刻は、いずれもそのまま記入します。

出勤時の災害
通勤災害が出勤時に発生した場合は、「就業開始の予定年月日及び時刻」および「住居を離れた年月日及び時刻」を記入し、退勤時に発生した場合は、「就業終了の予定年月日及び時刻」および「就業の場所を離れた年月日及び時刻」を記入します。

 

災害に関する情報B(裏面)

①災害時の通勤の種別に関する移動の通常の経路、方法及び所要時間並びに災害発生の日に住居又は就業の場所から災害発生の場所に至った経路、方法、所要時間その他の状況は、住居⇔就業先までの通常の経路を記入します。交通手段、所要時間、災害の発生場所および時刻がわかるように、イラストなどを用いて記入するといいでしょう。②通常の通勤所要時間は、住居⇔就業先の片道の所要時間を記入します。

③災害の原因及び発生状況は、労働災害と認定されるかどうかの1つの判断材料になりますので、できるだけ詳細に記入します。特に、労働災害の発生場所、発生時の作業内容、発生時の環境、不安全な状況および有害な状態、労働災害の内容が明確になるように意識して記入します。

③現任者の情報は、災害発生時に被災労働者と一緒にいた者がいた場合に、その者の住所や氏名を記入します。

④第三者行為災害は、本請求書における通勤災害が第三者の行為によって引き起こされたものである場合は「該当する」に〇を付け、第三者の行為によって引き起こされたものでない場合は「該当しない」に〇を付けます。

 

被災労働者のその他の情報(裏面)

被災労働者が、健康保険の日雇特例被保険者である場合、転任者(出張など)である場合、厚生年金の受給者である場合などに、当該欄の必要事項を記入します。一般の被災労働者については未記入となることがほとんどです。

 

その他就業先の有無および社会保険労務士記載欄(裏面)

その他就業先の有無欄には、まず、その他の就業先の「有無」に〇を付けます。その他の就業先がない場合には、「無」に〇をつけて終わります。「有」に〇が付いた場合は、その他の情報を記入します。

社会保険労務士記載欄は、本請求書などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。

 


 

以上で、休業給付請求書の作成が終わりました。

「休業給付請求書(様式第16号の6)」は、通勤災害における休業給付を受けるときに作成する書類です。一方、業務災害における休業補償給付を受ける場合には、「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」を作成します。

休償給付は、被災労働者の負傷または疾病が「治癒(症状固定)していない」状態でなければ受けられません。そのため、「診療担当者の証明」において、休業給付の請求期間に治癒していないことが示されていなければなりません(もしくは請求期間で治癒したこと)。

 

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