平均賃金算定内訳

 

 

労働保険における平均賃金を算定するときに作成する書類が、「平均賃金算定内訳」です。

平均賃金は、算定すべき事由が発生した日以前3か月間に、その労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額になります。ただし、賃金が労働した日もしくは時間によって算定されたり、出来高払制や請負制によって定められたりしているときは、賃金総額をその期間中に労働した日数で除した金額に100分の60をかけた額となります。

平均賃金は、次のような事由が発生した場合に算定します。

  • 解雇予告手当
  • 休業手当
  • 年次有給休暇中の賃金
  • 災害補償
  • 減給の制裁

平均賃金が正しく算定されていることを証明するために平均賃金算定内訳を作成し、休業補償給付支給請求書などと一緒に提出します。

 

平均賃金算定内訳の作成手順

 

それでは、平均賃金算定内訳を一緒に作成していきましょう。

今回は、「Bug’s Style 株式会社」の労働者である「蝶野蜚敏(ちょうのとびとし)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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労働者の基本情報

①労働保険番号は、事業所に振り出されている事業所番号を記入します。

労働保険番号
事業所(会社)が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。

②(労働者の)氏名③災害発生年月日は、いずれもそのまま記入します。

 

平均賃金の基本情報

①雇入年月日は、そのまま記入します。

②常用・日雇の別は、「常用、日雇」のいずれかに〇を付けます。「日雇」に〇が付いた場合は、本書類の下欄の「日日雇い入れられる者の平均賃金」などにも情報を記入しなければなりません。蝶野蜚敏さんは、「常用」の労働者です。

③賃金支給方法は、「月給、週休、日給、時間給、出来高払制、その他の請負制」のいずれかに〇を付けます。

④賃金締切日は、そのまま記入します。

 

月・週その他一定の期間によって支払ったもの

①賃金計算期間は、平均賃金を算定すべき事由が発生した日以前3か月間を1か月ごとに区切った期間を記入します。災害補償における平均賃金は、災害発生年月日の前日から3か月間をさかのぼって算定されます。今回は令和3年12月30日に災害が発生したため、12月29日からさかのぼった3か月間を1か月ごとに区切りました。

②総日数は、①の期間の総日数を記入します。

③基本賃金④住宅手当⑤通勤手当は、それぞれその額を記入します。また、④⑤以外の手当てがある場合には、その下に続いて記入します。

⑥計は、③~⑤の合計額を記入します。

*②~⑥までの事項については、1か月ごとに区切った額とその合計を記入します。

 

日若しくは時間又は出来高払制その他の請負制によって支払ったもの

①賃金計算期間は、平均賃金を算定すべき事由が発生した日以前3か月間を1か月ごとに区切った期間を記入します。災害補償における平均賃金は、災害発生年月日の前日から3か月間をさかのぼって算定されます。今回は令和3年12月30日に災害が発生したため、12月29日からさかのぼった3か月間を1か月ごとに区切りました。

②総日数は、①の期間の総日数を記入します。

③労働日数は、①の期間のうち、実際に労働した日を記入します。

④賃金は、③労働日数を基に計算された賃金を記入します。蝶野蜚彦さんの「残業手当」は労働日数によって計算されました。

⑤計は、④項目の合計額を記入します。

 

平均賃金の計算

①総額は、AとBの「計」の額を記入します。

②平均賃金は、①の合計額(算定すべき事由が発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額)を総日数(算定すべき事由が発生した日以前3か月間の総日数)で除した額を記入します。

③最低保証平均賃金の計算方法は、欄内の計算式に必要な数字を記入します。

*②の額よりも③の額の方が大きい場合は、③がその労働氏の平均賃金として採用されます。

 

特例的な平均賃金の算定

平均賃金を算定する労働者が、日々雇い入れられる者、漁業および林業の労働者、賃金計算期間に業務外の傷病の療養などにより休業した者であるときは、それぞれ通常の平均賃金の算定方法とは異なる計算方法となるため、当該欄に必要な情報を記入し、それぞれの平均賃金を算定します。

 


 

以上で、平均賃金算定内訳の作成が終わりました。

平均賃金算定内訳は、平均賃金を算定する労働者が日々雇い入れられる者、漁業および林業の労働者、賃金計算期間に業務外の傷病の療養などにより休業した者などでないときは、それほど難しい計算ではないため、本書類も容易に作成することができます。一方、平均賃金を算定する労働者が日々雇い入れられる者、漁業および林業の労働者、賃金計算期間に業務外の傷病の療養などにより休業した者などであるときは、特殊な算定方法となるため、本書類の当該欄に必要な数字や事項を記入し、算定ミスがないようにしましょう。

また、業務災害における平均賃金算定内訳は、様式第8号を使用しますが、通勤災害における平均賃金算定内訳は、様式第16号の6を使用します。

 

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