厚生年金保険 療育期間標準報酬月額特例申出書・終了届

 

 

厚生年金保険の被保険者が療育期間における標準報酬月額の特例を受けるときに作成する書類が、「厚生年金保険 療育期間標準報酬月額特例申出書・終了届(以下、療育期間標準報酬月額特例申出書)」です。

3歳に満たない子を養育する被保険者は、療育期間標準報酬月額特例申出書を行政官庁に提出することで、子を養育することとなった日の属する月から、①子が3歳に達したとき、②子が死亡したとき、③別の子に係る産前産後休業や育児休業を開始したときなどに至った日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、その標準報酬月額が子を養育することとなった日の属する月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る月については、従前標準報酬月額を老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなします。

上記は法令上の文章で、少し難しく書いてありますが、簡単に言うと次のようになります。

療育期間における標準報酬月額の特例
子の養育などによって被保険者が短時間勤務となり、報酬月額が低下した場合、通常は厚生年金保険の標準報酬月額も低下し、納める保険料が下がるとともに、将来もらえる年金額も下がります。しかし、療育期間標準報酬月額特例申出書を提出することによって、3歳に満たない子を養育する期間については、低下した報酬月額に応じた保険料を納めつつ、低下する前の報酬月額に応じた年金額がもらえるようになります。
井上とまと

育児・介護休業法における短時間勤務の規定などと非常に相性のいい制度です。

 

養育期間標準報酬月額特例申出書の作成手順

 

それでは、療育期間標準報酬月額特例申出書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 海洋メカニカル」の労働者である「蛸中墨子(たこなかすみこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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提出者記入欄および社会保険労務士記載欄

①欄外上の日にちを記入するところには、療育期間標準報酬月額特例申出書を提出する日を記入します。

②事業所整理番号は、【群市区】の数字と、【記号】の文字を記入します。

事業所整理記号
「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。

③提出者の情報は、事業所所在地(郵便番号)、事業所名称、事業主氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。

④社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。

 

申出者欄

①欄内右の日にちを記入するところには、申し出る日を記入します。

②申出者の情報は、住所、氏名、電話番号を記入します。申出者の印鑑も押します。

 

共通記載欄

①被保険者整理番号は、そのまま記入します。

被保険者整理番号
社会保険に加入したときに、会社内で1番から順に従業員に割り当てる番号です。新入社員など、新しく健康保険証を発行する場合は、直前に社会保険に加入した従業員の次の番号を採番します。従業員に被扶養者がいる場合は、従業員と同じ番号を割り当てます。

②個人番号は、マイナンバーカードに記載されている12桁の番号を記入します。記入する際は必ず本人確認を行ってください。マイナンバーカードに記載されている個人番号がわからないもしくは、記入することを希望しない場合は、年金手帳などに記載されている10桁の基礎年金番号を記入することもできます。

③被保険者氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。

④被保険者の生年月日は、元号を「5:昭和、7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。

⑤被保険者生年月日は、「1:男、2:女」のいずれかの番号に〇を付けます。

⑥養育する子の氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。

⑦養育する子の年月日は、元号を「7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。蛸中墨雄くんは令和3年5月25日に生まれたため、ここでは「0⃣3⃣0⃣5⃣2⃣5⃣」と記入します。

 

申出および終了

①過去の申出の確認は、養育する子について、初めて養育特例の申出をするかどうかを「1:はい、2:いいえ」のいずれかに〇をつけて答えます。

②事業所の確認は、現在勤務している事業所と、養育する子を養育し始めた月の前月に勤務していた事業所が同じかどうかを「1:はい、2:いいえ」のいずれかに〇をつけて答えます。

③該当月に勤務していた事業所は、②で「2:いいえ」に〇が付いた場合(養育する子を養育し始めた月の前月に勤務していた事業所が違う場合)に、その事業所の所在地と名称を記入します。

④養育開始年月日は、養育する子の生年月日と同じになりますが、養育する子が養子の場合は、養子縁組が成立した日などになります。元号を「7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。

⑤養育特例開始年月日は、元号を「7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。育児休業が終了した日の翌日となる場合が多いです。

*終了欄には、療養特例を終了する場合に記入します。療養特例を終了する場合は、本申出書を作成、速やかに行政官庁に提出しなければなりません。

 


 

以上で、療育期間標準報酬月額特例申出書の作成が終わりました。

療育期間標準報酬月額特例申出書は被保険者が提出するものです。事業所に提出義務はありませんが、普通の事業所では他の手続きに併せて、本申出書も作成・提出してくれることがほとんどです。

ただし、規定上は被保険者の申出が必要であるため、育児休業などの終了に合わせて、被保険者自身がその旨を事業主などに伝えた方がいいでしょう。

 

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