健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)・終了届
健康保険および厚生年金保険の被保険者が育児休業を取得するときに作成する書類が、「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)・終了届(以下、育児休業等取得者申出書)」です。
育児休業等取得者申出書は、被保険者が産前産後休業や育児休業をしている間に、日本年金機構または健康保険組合に提出しなければなりません。
育児休業等取得者申出書を提出することで、健康保険・厚生年金保険の保険料について、次のような効果が得られます。
- 育児休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料が(被保険者負担および事業主負担ともに)免除される。
- 保険料の負担が免除される期間は、育児休業の開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(育児休業終了予定日が月の末日の場合は育児休業終了月)まで。
- 免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われる。
本申出書は、被保険者が次の育児休業を取得する度に提出しなればなりません。
- 1歳に満たない子を養育するための育児休業
- 保育所待機等特別な事情がある場合の1歳6か月に達する日までの育児休業
- 保育所待機等特別な事情がある場合の2歳に達する日までの育児休業
- 1歳(②の場合は1歳6か月、③の場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業
1歳から1歳6か月まで(保育所待機等特別な事情があって)休業を延長する場合、それが連続していたとしても、1歳到達時点で、改めて本申出書を提出しなければなりません。
育児休業等取得者申出書の作成手順
それでは、育児休業等取得者申出書を一緒に作成していきましょう。
今回は、「株式会社 海洋メカニカル」の労働者である「蛸中墨子(たこなかすみこ)」さんをモデルに進めていきます。
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提出者記入欄および社会保険労務士記載欄
①欄外上の日にちを記入するところには、育児休業等取得者申出書を提出する日を記入します。被保険者が産前産後休業または育児休業している間の日となります。
②事業所整理番号は、【群市区】の数字と、【記号】の文字を記入します。
事業所整理記号 「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。 |
③提出者の情報は、事業所所在地(郵便番号)、事業所名称、事業主氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。
④社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。
共通記載欄A
①被保険者整理番号は、そのまま記入します。
被保険者整理番号 社会保険に加入したときに、会社内で1番から順に従業員に割り当てる番号です。新入社員など、新しく健康保険証を発行する場合は、直前に社会保険に加入した従業員の次の番号を採番します。従業員に被扶養者がいる場合は、従業員と同じ番号を割り当てます。 |
②個人番号は、マイナンバーカードに記載されている12桁の番号を記入します。記入する際は必ず本人確認を行ってください。マイナンバーカードに記載されている個人番号がわからないもしくは、記入することを希望しない場合は、年金手帳などに記載されている10桁の基礎年金番号を記入することもできます。
③被保険者氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。
④被保険者の生年月日は、元号を「5:昭和、7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。
⑤被保険者生年月日は、「1:男、2:女」のいずれかの番号に〇を付けます。
⑥養育する子の氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。
⑦養育する子の年月日は、元号を「7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。蛸中墨雄くんは令和3年5月25日に生まれたため、ここでは「0⃣3⃣0⃣5⃣2⃣5⃣」と記入します。
共通記載欄B
①区分は、「1:実子、2:その他」のいずれかの番号に〇を付けます。基本的には「1:実子」に〇が付きますが、養子などの場合には「2:その他」に〇を付けます。
②養育開始年月日は、①で「2:その他」に〇が付いた(養子など)の場合に、その養育の開始となった日を記入します。
③育児休業等開始年月日は、元号を「7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。蛸中墨子さんは令和3年7月20日まで産前産後休業を取得しているため、その翌日の7月21日から育児休業を開始するため、ここでは「0⃣3⃣0⃣7⃣2⃣1⃣」と記入します。
④育児休業等終了予定年月日は、そのまま記入します。最長で養育する子が1歳になる日となります。
令和3年5月25日生まれの子に係る育児休業の場合は、最長(延長を除くと)で令和4年5月24日まで育児休業を取得できます。
⑤備考は、「1:パパママ育休該当、2:その他」のいずれかの番号に〇を付けます。
パパママ育休プラス 父母ともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間を子が1歳から1歳2か月に達するまでに延長する制度です。なお、父母1人ずつが取得できる休業期間(母親の産後休業期間を含む)の上限は、1年間となります。 |
延長および終了
延長欄には、育児休業の終了予定日を変更するときに記入します。
終了欄には、育児休業の終了予定日前に育児休業を終了するときに記入します。育児休業の終了予定日前に育児休業を終了するのは次のような場合です。
- 子の死亡などにより養育しなくなった場合:死亡した日
- 子が1歳(1歳6か月)に達した場合:子の誕生日の前日
- 子を養育している被保険者が産前産後休業に入った場合:産前産後休業の開始日の前日または子(第2子)の誕生日
- 就労を請求した場合:就労開始日の前日
以上で、育児休業等取得者申出書の作成が終わりました。
育児休業は産前産後休業と異なり、最大取得期間が(制度上)数か月から1年単位で変動することができ、かつ被保険者自身の問題だけではなく、保育所の待機問題などの社会的な問題の影響も受けるため、産前産後休業取得者申出書よりも変更(延長)や中途終了することが多く、再度申出書を提出する機会も多くなります。