健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書・変更(終了)届

 

 

健康保険および厚生年金保険の被保険者が産前産後休業を取得するときに作成する書類が、「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書・変更(終了)届(以下、産前産後休業取得者申出書)」です。

産前産後休業取得者申出書は、被保険者が産前産後休業をしている間に、日本年金機構または健康保険組合に提出しなければなりません。

産前産後休業取得者申出書を提出することで、健康保険・厚生年金保険の保険料について、次のような効果が得られます。

  • 産前産後休業期間(産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間)中の健康保険・厚生年金保険の保険料が(被保険者負担および事業主負担ともに)免除される。
  • 保険料の負担が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了予定日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)まで。
  • 免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われる。

 

産前産後休業取得者申出書の作成手順

 

それでは、産前産後休業取得者申出書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 海洋メカニカル」の労働者である「蛸中墨子(たこなかすみこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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提出者記入欄および社会保険労務士記載欄

①欄外上の日にちを記入するところには、産前産後休業取得者申出書を提出する日を記入します。被保険者が産前産後休業している間の日となります。

②事業所整理番号は、【群市区】の数字と、【記号】の文字を記入します。

事業所整理記号
「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。

③提出者の情報は、事業所所在地(郵便番号)、事業所名称、事業主氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。

④社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。

 

共通記載欄A

①被保険者整理番号は、そのまま記入します。

被保険者整理番号
社会保険に加入したときに、会社内で1番から順に従業員に割り当てる番号です。新入社員など、新しく健康保険証を発行する場合は、直前に社会保険に加入した従業員の次の番号を採番します。従業員に被扶養者がいる場合は、従業員と同じ番号を割り当てます。

②個人番号は、マイナンバーカードに記載されている12桁の番号を記入します。記入する際は必ず本人確認を行ってください。マイナンバーカードに記載されている個人番号がわからないもしくは、記入することを希望しない場合は、年金手帳などに記載されている10桁の基礎年金番号を記入することもできます。

③被保険者氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。

④被保険者の生年月日は、元号を「5:昭和、7平成、9:令和」のいずれかの番号に〇を付け、年月日を続けて記入します。

⑤出産予定年月日は、そのまま記入します。蛸中墨子さんは令和3年5月30日に出産を予定しているため、ここでは「0⃣3⃣0⃣5⃣3⃣0⃣」と記入します。

⑥出産種別は、「0:単胎、1:多胎」のいずれかの番号に〇を付けます。「1:多胎」に〇が付いた場合は、産前休業の取得可能期間が42日(6週)から98日(14週)に延長されます。

 

共通記載欄B

①産前産後休業開始年月日は、そのまま記入します。ただし、単胎出産の場合は、出産予定年月日の42日前が最大となります。また、出産予定年月日の当日は「産前」とみなされるため、出産予定年月日の42日に含まれます。蛸中墨子さんは「令和3年5月30日に出産を予定」しており、産前休業を「最大の期間(42日間)」取得しようとしています。令和3年5月30日からさかのぼって、42日前は令和3年4月19日となるため、ここでは「0⃣3⃣0⃣4⃣1⃣9⃣」と記入します。

②産前産後休業終了予定年月日は、そのまま記入します。産前の休業期間は被保険者が申し出ることで取得できますが、産後の休業期間は法的に取得が義務付けられています。医師による特別な許可がない限り、必ず産後56日間(8週間)は休業しなければなりません(単胎、多胎にかかわらず)。出産(予定)年月日は産前に含まれるため、出産(予定)年月日の翌日から数えて56日後が産前産後休業終了予定年月日となります。

③出生児の氏名は、氏と名を分け、フリガナも記入します。

④出産年月日は、そのまま記入します。

井上とまと

③と④は産前に本申出書を提出する場合は、その時点では不明なことが多いため、未記入でも構いません。一方、産後に本申出書を提出する場合は、必ず記入して提出します。

 

変更および終了

*変更欄は、産前に本申出書を提出し、かつ「出産予定年月日」と「実際の出産日」が異なる場合に記入します。

①変更後の出産(予定)年月日は、「実際の出産日」を記入します。

出産日の計算
「出産予定年月日」より前に出産した場合は、産前の休業期間(最大42日間)が出産日を含む日までに短縮されます。一方、「出産予定年月日」より後に出産した場合は、産前の休業期間(最大42日間)が出産日を含む日まで延長されます。産後の休業期間は、産前の休業期間が短縮しようとも延長しようとも、変更はありません(原則56日間)。

②変更後の出産種別は、「0:単胎、1:多胎」のいずれかの番号に〇を付けます。

③産前産後休業開始年月日④産前産後休業終了予定年月日は、いずれも①に年月日に応じた年月日に変更して記入します。

*終了欄は、産後の休業終了予定年月日前に産後休業を修了する場合に記入します。

⑤産前産後休業終了年月日は、そのまま記入します。産後休業は、出産後6週が経過し、かつ医師の許可を得た場合に、産後56日(8週)を待たずに終了することができます。

 


 

以上で、産前産後休業取得者申出書の作成が終わりました。

産前産後休業取得者申出書は産前産後休業期間中に提出しますが、産前に提出するか、産後に提出するかで、記入すべき項目が異なります。また、多くの場合、「出産予定年月日」と「実際の出産日」は異なりますので、産前に本申出書を提出した場合は、出産後に「変更届」として、本申請書を再度提出しなければならないこともあります。

そのため、多くの事業所が、本申請書を「産後」に提出するようにしています。

 

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