健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届
健康保険および厚生年金保険の(一般の)被保険者となったときに作成する書類が、 「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届(以下、被保険者資格取得届)」です。
被保険者資格取得届は、事業主に届け出義務があり、事業所の労働者が(一般の)被保険者の資格を取得した日から5日以内に、日本年金機構または健康保険組合に提出しなければなりません。
健康保険および厚生年金保険における被保険者には、次の3つの種類があります。
- 一般の被保険者:健康保険および厚生年金保険の適用事業所に使用される者
- 日雇特例被保険者:健康保険および厚生年金保険の適用事業所に使用される日雇労働者
- 任意継続被保険者:健康保険および厚生年金保険の適用事業所に使用されなくなった後も、継続して被保険者であることを認められた者
被保険者資格取得届については、一般の被保険者についてのみ取り扱います。一般の被保険者が被保険者の資格を取得する時期は次の通りです。
- 適用事業所または任意適用事業所に使用されるに至った日
- 使用されている事業所が新たに適用事業所になった日
- 使用されている事業所が任意適用事業所になった日(任意加入の認可があった日)
- 適用事業所に使用されている適用除外者が、適用除外の規定に該当しなくなった日
一般の被保険者は、健康保険および厚生年金保険の適用事業所に使用される者ですから、使用される者とはみなされない個人事業主は除外されます。一方、法人の役員については、法人から労務の対償として報酬を受けるなど、使用されている者であることが明らかな場合は、被保険者となり得ます。
また、健康保険および厚生年金保険の適用事業所に使用される者であっても、次のようなものは被保険者から除外されています。
- 船員保険の被保険者
- 臨時に使用される者(日々雇入れられる者および2月以内の期間を定めて使用される者)
- 事業所の所在地が一定しないものに使用される者
- 季節的業務(4月以内の事業)に使用される者
- 臨時的業務(6月以内の事業)の事業所に使用される者
- 国民健康保険組合の事業所に使用される者
- 後期高齢者医療の被保険者である者
- 一定の要件を満たす短時間労働者
上記の者でも日雇特例被保険者となることはあります。
被保険者資格取得届の作成手順
それでは、被保険者資格取得届を一緒に作成していきましょう。
今回は、「株式会社 海洋メカニカル」の労働者となった「鮭下洋(さけしたひろし)」さんをモデルに進めていきます。
事務所やデスク周りに必要なものは楽天市場 でお得にそろえましょう!
提出者記入欄
①欄外上の日にちを記入するところには、被保険者資格取得届を提出する日を記入します。
②事業所整理番号は、【群市区】の文字と、【記号】の文字を記入します。
事業所整理記号 「数字2桁のカタカナまたは英数4桁以内」や「漢字+ひらがな」など、自治体ごとに異なる形式で表されます。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、事業所整理記号は健康保険証に記載された「記号」と変換可能 です。たとえば、「渋2いろは」という厚生年金保険の事業所整理記号は、全国健康保険協会(協会けんぽ)では「64010203」という数字になります。 |
③事業所番号(告知番号)は、事業所に振り出されて行番号を記入します。
事業所番号 年金事務所から事業所ごとに付与される5桁の数字です。年金事務所から送付される「適用通知書」や「保険料納入告知額・領収済額通知書」などに記載されています。 |
④提出者の情報は、(郵便番号および)事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業所または事業主の印鑑を押します。
社会保険労務士記載欄
社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄にその氏名を記入します。
被保険者の情報A
①氏名は、被保険者の氏名を記入します。
②生年月日は、被保険者の生年月日を記入します。
③種別は、「1:男、2:女、3:坑内員、5:男(基金)、6:女(基金)、7:坑内員(基金)」のいずれかの番号に〇を付けます。基本的には1~3の男、女、坑内員(男女)の区分で、それぞれ厚生年金基金に加入している場合は5~7の区分となります。
被保険者の情報B
①取得区分は、「1:健保・厚年、3:共済出向、4:船保任継」のいずれかの番号に〇を付けます。基本的には1に〇が付きますが、共済組合からの出向や、船員保険の任意継続の場合は3または4に〇が付きます。
②個人番号は、マイナンバーカードに記載されている12桁の番号を記入します。記入する際は必ず本人確認を行ってください。マイナンバーカードに記載されている個人番号がわからないもしくは、記入することを希望しない場合は、年金手帳などに記載されている10桁の基礎年金番号を記入することもできます。
基礎年金番号を記入する場合は、左詰めで記入し、下欄の住所などの情報も記入する必要があります。
③取得年月日は、被保険者の資格を取得した日を記入します。
④被扶養者は、「0:無、1:有」のいずれかの番号に〇を付けます。
⑤報酬月額は、まず「通貨」と「現物」を分けて記入し、その「合計」も記入します。時間外労働に対する割増賃金などの兼ね合いで、報酬月額は変動するでしょうが、ここでは標準的な報酬を記入しておきます。
⑥備考は、該当する項目があれば〇を付けます。主に、70歳以上の被用者に該当する場合などに〇が付きます。
以上で、被保険者資格取得届の作成が終わりました。
被保険者資格取得届を提出し、行政官庁が資格取得の確認を行うと、被保険者に健康保険被保険者証(以下、被保険者証)が交付されます。健康保険における保険給付(療養の給付など)を受ける場合に、被保険者証が必要になります。
被保険者証が交付されるまでの間に求めがあった場合は、被保険者資格証明書(被保険者証の代わり)が、有効期間を定めて交付されます。