健康保険・厚生年金保険 新規適用届

 

 

健康保険および厚生年金保険の適用事業所となったときに作成する書類が、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届(以下、新規適用届)」です。

新規適用届は、健康保険および厚生年金保険の適用事業所となった事実があった日から5日以内に、厚生労働大臣(日本年金機構)に提出しなければなりません。

井上とまと

厚生労働大臣の権限に係る事務の一部は、日本年金機構に行わせる(委任する)ものとされています。

国、地方公共団体、法人の事業所であって、常時従業員を使用するものは、健康保険法および厚生年金保険法における適用事業所となります。一方、個人事業の場合は、常時5人以上の従業員を使用するものであれば、健康保険法および厚生年金保険法における適用事業所となります。常時5人未満の従業員を使用するものは、業種に応じて任意適用事業所となります。

井上とまと

任意適用事業所の場合、事業主が厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることで、健康保険法および厚生年金保険法における適用事業所となります。

 

新規適用届の作成手順

 

それでは、新規適用届を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 海洋メカニカル」の「鯨木水雄(くじらきみずお)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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事業の種類

①事業の種類は、事業所業態分類票に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。株式会社 海洋メカニカルでは電子機器の製造を生業としています。そのため、事業の種類は「機械器具製造業」と記入します。

 

事業所の情報A

①郵便番号②事業所所在地は、いずれもそのまま記入します。

③事業所名称は、そのまま記入します。ただし、法人格については、それぞれ次のように略して記入します。

  • 「カ」:株式会社
  • 「ユ」:有限会社
  • 「メ」:合名会社
  • 「シ」:合資会社

④事業所の電話番号は、そのまま記入します。

⑤内線・事務担当者名は、事務担当者につながる内線番号と、その氏名を記入します。内線がない場合は記入しなくても構いません。

 

事業所の情報B

①事業主氏名②事業主の住所は、いずれもそのまま記入します。

井上とまと

事業所所在地と事業主の住所を間違わないようにしましょう。

③現物給与の種類は、「1:食事、2:住宅、3:被服、4:定期券、5:その他(  )」のうち、現物で支給するもののすべてに〇を付けます。株式会社 海洋メカニカルでは、「定期券」を現物で支給しています。

現物給与の判断
食事、住宅、被服、定期券のいずれにおいても、現物で支給されていなければなりません。食費代が金銭で給与に含まれている、住宅手当が支給されている、作業服の代金が別途支給されている、通勤手当として定期券と同額の金銭が支給されている、などの金銭に置き換えられている場合は、現物給与ではありません。

④昇給月は、定期昇給の月を記入します。定期昇給がない場合(ベースアップしかない場合など)は、記入しなくて構いません。

定期昇給とベースアップ
定期昇給:毎年一定の時期に年齢や勤続年数に応じて賃金が昇給する制度のことです。昭和初期から多くの日本企業で導入されてきた年功賃金の中心的制度でした。
ベースアップ:従業員全体の賃金水準・基本給を引き上げるものです。労働組合と使用者との間の交渉によって決められることが一般的です。

⑤賞与支払予定月は、賞与の支払い月を記入します。

⑥事業主代理人は、「0:無、1:有」のいずれかに〇を付けます。

井上とまと

「1:有」に〇が付いた場合は、裏面の代理人の情報も記入することになります。

 

関係各所の情報

①健康保険組合名は、健康保険組合がある場合に健康保険組合名を記入します。

健康保険における保険者
全国健康保険協会と健康保険組合の2つです。健康保険組合を設立している事業所の労働者(組合員)の保険者は、全国健康保険協会が保険者となり、健康保険組合を設立していない事業所の労働者の保険者は、全国健康保険協会が保険者となります。

②厚生年金基金番号③厚生年金基金名は、いずれも厚生年金基金を保険者としている場合に記入します。

井上とまと

厚生年金基金は、平成26年以降、新設が認められておらず、令和2年以降は存続している厚生年金も順次解散方向となっています。

④社会保険労務士名は、社会保険労務士に社会保険の事務処理を委託している場合に、その氏名を記入します。

 

事業の区分

①個人・法人等区分は、「1:法人、2:個人、3:国・地方公共団体」のいずれかの番号に〇を付けます。「株式会社 メカニカル」は法人です。

②番号等区分は、「1:法人番号、2:会社法人番号等」のいずれかの番号に〇を付けます。

③法人番号は、事業所に振り出されている法人番号を記入します。

法人番号
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づき、国税庁長官が法人に対して指定・通知する13桁の番号です。商号または名称、本店または主たる事務所の所在地とともに「国税庁法人番号公表サイト」で公表されています。

④本・支店区分は、「1:本店、2:支店」のいずれかの番号に〇を付けます。

⑤内・外国区分は、「1:国内法人、2:外国法人」のいずれかの番号に〇を付けます。

 

代理人の情報(裏面)

①事業主代理人氏名②事業主代理人住所は、いずれもそのまま記入します。

 

労働者の情報(裏面)

①給与形態は、「月給、日給、日給月給、歩合給、時間給、年俸制、その他(  )」のうち、当該事業所で採用している給与形態のすべてに〇を付けます。

②諸手当の種類は、「家族手当、住宅手当、役付手当、通勤手当、精勤手当、残業手当、その他(  )」のうち、当該事業所で採用している手当のすべてに〇を付けます。

③給与計算の締切日④給与支払日は、いずれもそのまま記入します。

井上とまと

給与支払日は日付が特定されていなければならず、「第3水曜日」のように日付絵が特定しにくい表記にしてはなりません。

⑤従業員数と社会保険に加入する従業員数は、いずれもそのまま記入します。株式会社 海洋メカニカルには、「120人」の従業員がいて、うち「100人」が社会保険に加入しています。

⑥社会保険に加入しない従業員については、役員、嘱託・非常勤、パート、アルバイトそれぞれに該当する人数と勤務形態を記入します。

井上とまと

⑤の従業員数-⑤の社会保険に加入する従業員数は、⑥の人数と基本的に同じ数になります。

⑦事業所の所定労働時間は、1月の労働日数、1週間の労働時間数、1日の労働時間数をそれぞれ記入します。

 

地図および提出日

①地図は、事業所の所在地の略図を記入します。駅やバス停などの最寄りの交通機関からのルートを記入してください。

②欄外下の日にちを記入するところには、新規適用届を提出する日を記入します。

 


 

以上で、新規適用届の作成が終わりました。

新規適用届は、厚生労働大臣(日本年金機構)に提出しますが、適用事業所の事業主が本届出に併せて、労働保険徴収法に規定する保険関係成立届または雇用保険法施行規則に規定する適用事業所設置届を提出するときは、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署長または公共職業安定所長を経由して支出することができます。

 

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