労働保険 保険関係成立届

 

 

労働保険の適用事業になったときに作成する書類が、「労働保険 保険関係成立届(以下、 保険関係成立届 )」です。

保険関係成立届は、事業主が労働保険の保険関係が成立した日から起算して10日以内に、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署または公共職業安定所に提出しなればなりません。

保険関係成立届を労働基準監督署に提出するのか、公共職業安定所に提出するのかは、次のようになっています。

事業提出先
労働保険事務組合に労働保険に関する事務を委託していない一元適用事業
労災保険の保険関係だけが成立している二元適用事業
労働基準監督署
労働保険事務組合に労働保険に関する事務を委託している一元適用事業
雇用保険の保険関係だけが成立している二元適用事業
公共職業安定所
井上とまと

一元適用事業とは、労災保険と雇用保険を一元的に取り扱う事業であり、二元適用事業とは、労災保険と雇用保険を別個に取り扱う事業です。労災保険も雇用保険も適用となる事業は、一元適用事業であることが多いですが、その事業がいずれに該当するかのはしっかり確認しておきましょう。

また、労働保険の保険関係は、保険関係成立届を提出することによって成立するものではなく、その事業が労働保険の適用要件に該当するに至った日に、法律上当然に成立します。

 

保険関係成立届の作成手順

 

それでは、保険関係成立届を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 アニマル商事 旭川支店」をモデルに進めていきます。

 

 

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届出の基本情報

①種別は、本届出の種別を表す番号を記入します。「0:保険関係成立届(継続)、1:保険関係成立届(有期)、2:任意加入申請書」のいずれかの番号を、種別の▢の左端に記入します。

井上とまと

(継続)は継続事業、(有期)は有期事業という意味です。継続事業期間の定めがない事業のことで、有期事業は期間があらかじめ定められている事業のことです。有期事業は建設の事業など、工期や納期のある事業に多いです。

②右上端の日にちを記入するところには、本届出を提出する日にちを記入します。

③「___労働局長・労働基準監督署長・公共職業安定所長 殿」には、___部に各行政官庁名を記入し、本届出の提出先に〇を付けます。今回、本届出を提出する「株式会社 アニマル商事 旭川支店」は、一元適用事業であるため、___部に「旭川」と記入し、労働基準監督署長に〇を付けます。

④申出については、「イ:届出ます、ロ:労災保険の加入を申請します、ハ:雇用保険の加入を申請します」のいずれかに〇を付けます。任意加入申請書以外の場合は、基本的に「イ:届出ます」に〇が付きます。

 

事業所の情報

①郵便番号は、そのまま記入します。

①事業所の住所(カタカナ)は、そのまま記入します。

記入ルール
カタカタ表記において、濁点がつく文字(ガの場合)は、1マスに「カ」を記入し、その次のマスに「゛」を記入します。小文字やー(長音符)も同様に1マス使います。

③事業所の住所(漢字)は、そのまま記入します。

井上とまと

上段に都道府県は記入しません。〇〇市もしくは〇〇区から書き出します。ビルやマンションでないときは、下段は未記入で構いません。

④事業所の名称・氏名(カタカナ)⑤電話番号は、いずれもそのまま記入します。

⑥事業所の名称・氏名(漢字)は、そのまま記入します。上段に市町村名を記入し、中段に丁目や番地、下段にビルやマンションを記入します。

記入ルール
法人格と法人名を2行に分けなければならないという規則はありませんが、一行に記入する場合は、法人格と法人名の間にはスペース(1マス開ける)を入れます。 法人名に続く2号店や○○支店などの部分も、法人格と法人名の関係と同じように、一行に記入する場合は、スペース(1マス開ける)を入れます。

 

欄外下A

①保険関係成立年月日は、保険関係が成立した日を記入します。元号には、「7:平成、9:令和」のいずれかの番号を記入します。

井上とまと

保険関係成立届を提出した日=保険関係成立年月日ではありませんので、注意してください。

*事務処理委託年月日または事業終了予定年月日は、労働保険に関する事務処理を委託している場合や、終了時期が決まっている有期事業の場合に記入します。

②常時使用労働者数は、正社員、アルバイト、パートタイムなどの名称によらず、その事業で使用しているすべての労働者数を記入します。

③雇用保険被保険者数は、雇用保険が適用される被保険者(労働者)数を記入します。

*免除対象高年齢労働者数は、令和2年度からは廃止となっています。加入済労働保険番号は、任意加入申請書の場合などに、該当する番号があれば記入します。

 

欄外下B

①法人番号は、事業所に振り出されている法人番号を記入します。

法人番号
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づき、国税庁長官が法人に対して指定・通知する13桁の番号です。商号または名称、本店または主たる事務所の所在地とともに「国税庁法人番号公表サイト」で公表されています。

②事業主氏名は、事業所の名称、事業主の役職、事業主の氏名を記入し、押印もしくは署名をします。

 

事業の情報

①事業主【住所又は所在地】には、法人の場合は主たる事務所がある住所を記入し、個人事業主の場合は事業主個人の住所を記入します。

①事業主【氏名又は名称】は、法人の場合は法人名、個人事業主の場合は事業主の氏名を記入します。

②事業【所在地】は、本届出を提出する事業の郵便番号、住所、電話番号を記入します。

②事業【名称】は、本届出を提出する事業の名称を記入します。

 

事業の内容および規模

①事業の概要は、おおよそ事業の種類や内容がわかるように記入します。アニマル商事は、「日用品や雑貨の卸売りおよび小売り」をしている会社です。

②事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。アニマル商事では日用品や雑貨の卸売りおよび小売りを生業としています。そのため、事業の種類は「卸売業・小売業」と記入します。

③加入済みの労働保険は、労災保険または雇用保険のいずれか加入しているものがあれば〇を付けます。

井上とまと

どちらも加入しているということは、ほとんどありません。どちらにも加入している場合は、保険関係成立届を改めて提出する必要がないからです。

④保険関係成立年月日は、労災保険および雇用保険の保険関係が成立した日を記入します。

⑤雇用保険被保険者数は、「一般・短期」と「日雇」に分けて、それぞれの人数を記入します。「一般・短期」は、一般被保険者と短期雇用特例被保険者、「日雇」は、日雇労働被保険者のことです。

⑥賃金総額の見込額は、当該保険年度間の賃金総額の見込み額を記入します。賃金総額ですから、設備費や借入返済金など、労働者に支払われる賃金以外の金額は含まれません。

保険年度
4月1日~3月31日までの1年間のことです。ただし、保険関係成立年月日が4月1日~3月31日までの間にある場合は、その初年度に限り、保険関係成立年月日~3月31日までの期間が保険年度となります。同様に、保険関係消滅年月日が4月1日~3月31日までの間にある場合は、その年度に限り、4月1日~保険関係消滅年月日までの期間が保険年度となります。

 

労働保険事務組合および発注者

労働保険事務組合に労働保険に関する事務を委託している場合や、建設業などにおいて発注者がいる場合は、当該欄に必要な情報を記入します。

 


 

以上で、保険関係成立届の作成が終わりました。

保険関係成立届は、事業の形態に応じて、労働基準監督署か公共職業安定所に提出しますが、次のいずれにも該当する事業主は、年金事務所を経由して提出することができます。

  • 社会保険適用事業所の事業主であること
  • 継続事業に係るものであること
  • 労働保険事務組合に労働保険に関する事務処理を委託していないこと

 

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