雇用保険 被保険者離職証明書

 

 

労働者が雇用保険の被保険者でなくなったときに作成する書類が、「雇用保険 被保険者離職証明書(以下、 被保険者離職証明書 )」です。

被保険者離職証明書は、雇用保険の適用事業所の事業主が、雇用する労働者が雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、被保険者資格喪失届に添えて、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出しなればなりません。ただし、離職日において59歳未満である被保険者が、被保険者離職票の交付を希望しないときは、被保険者資格喪失届に添えないことができます。

井上とまと

離職日に59歳以上である被保険者には、交付しないことを希望しても被保険者資格喪失届を交付しなければなりません。

被保険者資格喪失届と被保険者離職証明書を基に、被保険者離職票が(公共職業安定所から事業主を通じて)交付され、被保険者離職票を基に、失業等給付(失業保険)の支給の可否が決定されます。

被保険者離職証明書は、失業等給付(失業保険)の中心である「基本手当」の金額や受給期間を決定付ける「被保険者期間」、「賃金日額」、「離職理由」などを証明するものとなっています。日にちや日数、賃金額などの数字は、離職後の労働者の生活保障において重要な意味を持つため、間違わないように作成しましょう。

 

被保険者離職証明書の作成手順

 

それでは、被保険者離職証明書を一緒に作成していきましょう。

今回は、「株式会社 アニマル商事 旭川支店」の「猫島犬彦(ねこじまいぬひこ)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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離職者の情報A

①被保険者番号は、その労働者に振り出されている被保険者番号を記入します。

(雇用保険)被保険者番号
雇用保険に加入した労働者1人に対して一つ振り出される11桁の番号のことです。 最初に就職した会社で雇用保険の加入条件を満たしている場合に振り出され、雇用保険被保険者証に記載されることになります。

②事業所番号は、その事業所に振り出されている事業所番号を記入します。

(雇用保険適用)事業所番号
雇用保険に加入している会社に対して振り出される11桁の番号のことです。公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者取得届を提出した後に、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)が交付され、これに当該番号が記載されています。

③被保険者の氏名(フリガナ)は、そのまま記入します

記入ルール
カタカタ表記において、濁点がつく文字は(ガの場合)、1マスに「カ」を記入し、その次のマスに「゛」を記入します。小文字やー(長音符)も同様に1マス使います。

④離職年月日は、労働者が離職した年月日を記入します。

井上とまと

④は最終出勤日ではなく、雇用関係が終了する日を記入してください。

 

離職者の情報B

①事業所の名称所在地電話番号②離職者の住所又は居所は、いずれもそのまま記入します。

③事業主の住所氏名は、事業主の住所と氏名を記入し、事業主または事業所の印鑑を押します。氏名には職名も記入します。

 

被保険者期間算定対象期間

①離職日の翌日は、前記の離職年月日の翌日を記入します。

井上とまと

「基本手当の受給期間」は、離職日の翌日から起算します。

②一般被保険者等は、一般被保険者、高年齢被保険者、日雇労働被保険者のいずれか(短期雇用督励被保険者以外の被保険者)の場合に記入します。

記入ルール
当欄は基本手当の受給要件の一つである「被保険者期間」を算定するものです。被保険者期間は、離職日からさかのぼって1か月ごとに区切った期間を記入します。
井上とまと

例のように、離職日が10月10日の場合、各月の10日ごとに区切った期間を記入するため、1段目が9月11日~離職日、2段目が8月11日~9月10日、3段目が7月11日~8月10日、4段目が……と続きます。

短期雇用特例被保険者欄
本証明書の対象者が短期雇用特例被保険者の場合に記入します。短期雇用特例被保険者の場合は、1日でも被保険者であった月を記入します。

③賃金支払基礎日数は、賃金支払いの基礎となった日数を記入します。月給者の場合は①の期間の総日数を記入し、日給者や時給者の場合は勤務日数を記入します。

 

離職前の賃金の状況

①賃金支払対象期間は、賃金支払いの対象となった期間を記入します。

記入ルール
当欄は基本手当の受給要件である「被保険者期間」や「賃金日額」を算定するものです。賃金支払対象期間は、賃金締切日ごとの1か月に区切った期間を記入します。
井上とまと

例のように、離職日が10月10日で、賃金締切日が毎月25日の場合、各月の25日ごとに区切った期間を記入するため、1段目が9月26日~離職日、2段目が8月26日~9月25日、3段目が7月26日~8月25日、4段目が……と続きます。

②基礎日数は、①の期間の総日数を記入します。

③賃金額は、月給者はAに、日給者や時給者はBに記入します。AとBどちらもある場合(月給日給者など)は、計にその合計を記入します。また、賃金未払や休業などの賃金額に影響があった特別な事由があった場合は、「備考」にその内容を記入します。

 

特記事項および離職者の同意

賃金に関する特記事項は、特記事項があれば記入します。賃金支払対象期間中に賃金の算定方法や手当などの大幅な加算があった場合などに記入します。

①同意欄には、離職者の氏名を直筆で記入し、印鑑を押します。

また、社会保険労務士に当該証明書の作成を委託している場合は、社会保険労務士記載欄に必要事項に記入します。

 

様式右項

様式の右項のチェックリストでは、離職者(受給資格者)の区分を決定するための情報を記入します。

受給資格者の区分は、次のようになっています。
一般の受給資格者:特定受給資格者および就職困難な受給資格者以外の者
特定受給資格者:倒産・解雇により離職した受給資格者であって、就職困難な受給資格者に該当しない者
就職困難な受給資格者:厚生労働省令で定める理由により就職が困難な受給資格者

離職した理由の該当するチェックボックスに〇を付け、チェックリスト下の具体的事情記載欄に、事業主が離職理由を簡潔に記入します。今回は、(2)労働者の個人的な事情による離職(一身上の場合、転職希望等)のチェックボックスに〇が付き、具体的事情記載欄に「一身上の都合」と記入します。

 


 

以上で、被保険者離職証明書の作成が終わりました。

様式の左項には、離職者が失業等給付(主に基本手当)の受給資格者となり得るか、支給額がいくらになるかなどを判断する情報を記入し、右項には、受給資格者になり得た場合の区分を判断する情報を記入します。

最後に、受給資格者の区分について少し踏み込みます。

失業等給付は、離職者の生活保障や次の就職への支援という名目で支給されます。そのため、会社都合で離職した者や、再就職が難しいとされる者については、自己都合の離職者などよりも手厚い支援を受けられるようになっています。その区別の一つが受給資格者の区分です。

受給資格者には、前述のように、一般の受給資格者、特定受給資格者、就職困難な受給資格者の3種類があり、自己都合の離職者は一般の被保険者に該当します。

特定受給資格者には、会社の倒産や解雇、リストラや早期退職制度を利用したものなど、離職者の都合ではなく、会社都合や不可抗力による離職社が該当します。

就職困難な受給資格者には、障害がある者や高齢者などが該当します。

井上とまと

特定受給資格者や就職困難な受給資格者には、基本手当の受給要件が緩和されたり、受給期間が延長されるなどの特例が設けられています。

 

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