雇用保険 被保険者資格喪失届
労働者が雇用保険の被保険者でなくなったときに作成する書類が、「雇用保険 被保険者資格喪失届(以下、 被保険者資格喪失届 )」です。
被保険者資格喪失届は、雇用保険の適用事業所の事業主が、雇用する労働者が雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出しなればなりません。
被保険者は、次のような場合に被保険者資格を喪失します。
- 死亡した日の翌日
- 離職した日の翌日
- 被保険者としての適用要件に該当しなくなった日
- 被保険者が雇用される事業所が廃止された日の翌日
- 雇用契約期間の終了日の翌日
被保険者の資格を取得する日は、適用事業所に雇用された「その日」となりますが、資格を喪失する日は、離職した日の「翌日」となることが多いです。
被保険者資格喪失届の作成手順
それでは、被保険者喪失届を一緒に作成していきましょう。
今回は、「株式会社 アニマル商事 旭川支店」の「猫島犬彦(ねこじまいぬひこ)」さんをモデルに進めていきます。
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基本情報
最初に、本届出が雇用保険被保険者「資格喪失届」なのか「氏名変更届」なのかを明確にするため、該当しない方に取り消し線を引きます。今回は資格喪失届として提出するため、「氏名変更届」に取り消し線を引きます。
①被保険者番号は、その労働者に振り出されている被保険者番号を記入します。
(雇用保険)被保険者番号 雇用保険に加入した労働者1人に対して一つ振り出される11桁の番号のことです。 最初に就職した会社で雇用保険の加入条件を満たしている場合に振り出され、雇用保険被保険者証に記載されることになります。 |
②事業所番号は、その事業所に振り出されている事業所番号を記入します。
(雇用保険適用)事業所番号 雇用保険に加入している会社に対して振り出される11桁の番号のことです。公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者取得届を提出した後に、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)が交付され、これに当該番号が記載されています。 |
③資格取得年月日は、被保険者の資格を取得した年月日を記入します。元号を左端の▢に記入し、-ハイフンの後に年月日を記入します。元号は「3:昭和、4:平成、5:令和」のいずれかの番号を記入します。年月日が1桁の場合は、左側の▢に0を記入します。令和3年5月5日のときは、「5⃣-0⃣3⃣0⃣5⃣0⃣5⃣」と記入します。
資格取得日 被保険者の資格を取得した日は、適用事業所に雇用された日、もしくは被保険者適用場外の要件に該当しなくなった日となります。 |
たとえば、4月1日雇用関係が成立した場合は、初出社が4月10日だったとしても、4月1日が資格取得年月日となります。
資格喪失の情報
①離職等年月日は、前述の資格取得年月日と同じようなルールで記入します。
②喪失原因は、「1:離職以外の理由、2:3以外の離職、3:事業主の都合による離職」のいずれかの番号を記入します。
解雇の場合は1、自己都合退職の場合は2を記入します。
③離職票交付希望は、希望する場合は「1:有」を、希望しない場合は「2:無」を記入します。離職者が59歳以上の場合は「2:無」を選択することはできません。
*新氏名は、氏名変更届の場合に記入します。
④補充採用予定の有無は、補充要員を採用する場合は「1:有」を記入し、補充しない場合は「空白」のままにします。
被保険者の情報
①被保険者氏名、②性別、③生年月日、④被保険者の住所又は居所、⑤事業所名称は、いずれもそのまま記入します。
*氏名変更年月日は、氏名変更届の場合に記入します。
⑥被保険者でなくなったことの原因は、資格喪失届の場合に記入します。喪失した理由を簡潔に記入します。猫島犬彦さんは「自己都合」により退職し、被保険者資格を喪失します。
⑦1週間の所定労働時間は、そのまま記入します。
欄外下
①欄外下の日にちを記入するところには、被保険者資格喪失届を提出する日を記入します。
③右端の「___公共職業安定所長 殿」には、事業場がある地域を管轄する公共職業安定所(長)の名称を記入します。「株式会社 アニマル商事」は、北海道旭川市東旭川町にありますから、ここでは旭川と記入します。
④事業主の情報は、住所、氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業主または事業所の印鑑を押します。
氏名には所属や役職も記入します。
備考および社会保険労務士記載欄
被保険者が外国人の場合は、備考欄に国籍や在留資格などの情報を記入します。
社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄に必要事項を記入します。
以上で、被保険者資格喪失届の作成が終わりました。
事業主が被保険者資格取得届を提出する際、当該被保険者の被保険者でなくなったことの原因が離職であるときは、被保険者離職証明書を添えなければなりません。
一方、被保険者が被保険者離職票の交付を希望しないときは、例外的に被保険者離職証明書を添えないことができます(離職の日において59歳以上である被保険者を除く)。ただし、離職時に被保険者離職票の交付を希望しなかった場合でも、後に希望した場合は、改めて被保険者離職証明書を交付しなければなりません。
被保険者離職証明書は、基本的に交付する(される)ものだと考えておいてください。被保険者離職証明書を基に被保険者離職票が交付され、被保険者離職票は失業後の雇用保険に係る給付や支援を受ける際に必要になります。