雇用保険 被保険者資格取得届
労働者が雇用保険の被保険者となったときに作成する書類が、「雇用保険 被保険者資格取得届(以下、 被保険者資格取得届 )」です。
被保険者資格取得届は、雇用保険の適用事業所の事業主が、雇用する労働者が雇用保険の被保険者となった日の属する月の翌月10日までに、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に提出しなればなりません。
雇用保険の被保険者には、適用事業に雇用されるすべての労働者が含まれますが、次のような労働者は適用除外となることもあります。
- 取締役、監査役、社団または財団の役員
- 事業主との雇用関係のない接客業または娯楽の事業で労働する者
- 家事使用人
- 同居の親族
- 2以上の事業主に雇用される者(2以上の雇用関係のうち一の雇用関係についてのみ被保険者となります)
- 一定の要件を満たす短時間勤務の労働者
一定の要件を満たす短時間労働者 ①1週間の所定労働時間が20時間未満である者 ②同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者 ③季節的に雇用される者 ④学生または生徒 ⑤船員法に規定している船員であって漁船に乗り組む者 ⑥一定の要件を満たす国・都道府県・市町村の事業に雇用される者 |
在宅勤務者、長期欠勤者、国外就業者、在日外国人、船員(一定の要件を満たす短時間勤務の労働者以外の者)など、一見すると被保険者となり得ないような人でも、事業主との雇用関係が認められる場合は被保険者となり得ます。
被保険者資格取得届の作成手順
それでは、被保険者資格取得届を一緒に作成していきましょう。
今回は、「株式会社 アニマル商事 旭川支店」の「猫島犬彦(ねこじまいぬひこ)」さんをモデルに進めていきます。
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被保険者番号
①被保険者番号は、その労働者に振り出されている被保険者番号を記入します。「取得区分」が「1:新規」の場合は記入しません。
(雇用保険)被保険者番号 雇用保険に加入した労働者1人に対して一つ振り出される11桁の番号のことです。 最初に就職した会社で雇用保険の加入条件を満たしている場合に振り出され、雇用保険被保険者証に記載されることになります。 |
新卒などの初めて会社に雇用される労働者は、まだ被保険者番号がありませんから、その場合は未記入となります。
②取得区分は、「1:新規、2:再取得」のいずれかの番号を記入します。「2:再取得」を記入した場合は、①の被保険者番号も記入します。
被保険者の情報
①被保険者の氏名、②フリガナは、いずれもそのまま記入します
記入ルール カタカタ表記において、濁点がつく文字(ガの場合)は、1マスに「カ」を記入し、その次のマスに「゛」を記入します。小文字やー(長音符)も同様に1マス使います。 |
③性別は、「1:男、2:女」のいずれかの番号を記入します。
④生年月日は、まず元号左端に記入し、-ハイフンの後に年月日を記入します。元号は「2:大正、3:昭和、4:平成」のいずれかの番号を記入します。年月日が一桁の場合は、左側の▢に0を記入します。平成3年3月3日の場合は「4⃣-0⃣3⃣0⃣3⃣0⃣3⃣」と記入します。
*変更後の氏名には、婚姻などにより氏名が変わった場合に記入します。
資格取得の情報A
①事業所番号は、その事業所に振り出されている事業所番号を記入します。
(雇用保険適用)事業所番号 雇用保険に加入している会社に対して振り出される11桁の番号のことです。公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者取得届を提出した後に、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)が交付され、これに当該番号が記載されています。 |
②資格取得年月日は、被保険者の資格を取得した年月日を記入します。記入ルールは前述の生年月日と同じです。
資格取得日 被保険者の資格を取得した日は、適用事業所に雇用された日、もしくは被保険者適用場外の要件に該当しなくなった日となります。 |
たとえば、4月1日雇用関係が成立した場合は、初出社が4月10日だったとしても、4月1日が資格取得年月日となります。
③被保険者となったことの原因は、「1:新規雇用(新規学卒)、2:新規雇用(その他)、3:日雇からの切替、4:その他、8:出向元への復帰等(65歳以上)」のいずれかの番号を記入します。猫島犬彦さんは中途採用で被保険者となったため、ここでは「2」と記入します。
それぞれの番号の詳細は、次のようになっています。 新規学校卒業者のうち、卒業年の3月1日から6月30日までの間である場合:1 中途採用者を雇入れた場合、取締役等委任関係であるとして被保険者から除外されていた者が新たに明確な雇用関係に基づいて就労したような場合:2 日雇労働被保険者が2月の各月において18日以上または継続して31日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合(資格継続の認可を受けた場合を除く):3 ①その被保険者の雇用される事業が新たに適用事業となった場合、②適用事業に雇用されていた被保険者が、在籍出向し、出向先で新たに被保険者資格を取得していた場合であって、出向元に復帰し、出向元で再度被保険者資格を取得することとなったとき(在籍専従の場合も同様)、③同一の事業主の下で、船員と陸上勤務を本務とする労働者(船員でない労働者)との間の異動があった場合:4 65歳以上の者が出向元に復帰した場合等:8 |
④賃金は、資格取得年月日時点の賃金を記入します。-ハイフン前の▢には、「1:月給、2:週給、3:日給、4:時間給、5:その他」のいずれかの番号記入します。-ハイフン後の月額報酬は、千円単位で右詰めで記入します。千円未満は四捨五入します。猫島犬彦さんは、月給制で月額報酬が30万円であるため、「1⃣-▢3⃣0⃣0⃣」と記入します。
⑤雇用形態は、「1:日雇、2:派遣、3:パートタイム、4:有期契約労働者、5:季節的雇用、6:船員、7:その他」のいずれかの番号を記入します。1~6までの特殊な雇用形態にない一般の労働者(無期雇用労働者、正社員など)は「7:その他」を記入します。
⑥職種は、該当する番号を記入します。
それぞれの番号の詳細は、次のようになっています。 専門的技術的職業:1 管理的職業:2 事務的職業:3 販売の職業:4 サービスの職業:5 保安の職業:6 農林漁業の職業:7 運輸・通信の職業:8 技能工、採掘・製造・建設の職業及び労務の職業:9 |
資格取得の情報B
①契約期間の定めは、契約期間の定めがある場合は「1」を、ない場合は「2」を記入します。「1」(契約期間がある)の場合は、その期間も記入します。
②1週間所定労働時間、③事業所名は、いずれもそのまま記入します。
備考
被保険者が外国人の場合は、備考欄に国籍や在留資格などの情報を記入します。
欄外下
①欄外下の日にちを記入するところには、被保険者資格取得届を提出する日を記入します。
③右端の「___公共職業安定所長 殿」には、事業場がある地域を管轄する公共職業安定所(長)の名称を記入します。「株式会社 アニマル商事」は、北海道旭川市東旭川町にありますから、ここでは「旭川」と記入します。
④事業主の情報は、住所、氏名、電話番号を漏れなく記入し、事業主または事業所の印鑑を押します。
氏名には所属や役職も記入します。
社会保険労務士記載欄
社会保険労務士記載欄は、本届出などの事務処理を社会保険労務士に委託しているときは、当該欄に必要事項を記入します。
以上で、被保険者資格取得届の作成が終わりました。
被保険者資格取得届を提出する際は、原則として添付書類は不要です。ただし、次のような場合には添付書類が必要になります。
- 初めて資格取得届を提出する場合:労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳など
- 同居の親族に係る資格取得届を提出する場合:労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳など
公共職業安定所長が被保険者資格取得届により、当該労働者が被保険者となったことを確認したときは、その確認に係る者に雇用保険の被保険者証が交付されます。