預金管理状況報告

 

 

社内預金(労働者の預金を使用者が管理する)を実施する場合、労使協定(貯蓄金管理に関する協定)を締結し、行政官庁に貯蓄金管理に関する協定届を提出しなければなりません。

また、貯蓄金の管理状況(3月31日以前1年間における預金の状況)を、4月30日までに「預金管理状況報告」として提出する必要もあります。

 

預金管理状況報告の作成手順

 

それでは、預金管理状況報告を一緒に作成していきましょう。

今回は、「ベーカリー TOMATO」の事業主である「畑太郎(はたけたろう)」さんをモデルに進めていきます。

 

 

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欄外上

①(□□□年度分)には、預金の管理状況を報告する年度を記入します。元号の□(左端の□)には、元号の番号(9:令和)を記入します。今回は令和3年度分の預金管理状況報を作成するため、「9⃣0⃣3⃣」と記入します。

井上とまと

一桁の年度の場合は、真ん中(元号の□の右側)の□に0⃣と記入します。

②受付印左のページ枠には、ページ数を記入します。預金管理状況報告が1枚だけの場合は、両方の枠に1を記入します。本店(本社)と支店(支社)を持ち、各事業所をまとめて管理する場合や、預金の種類が4種類以上ある場合など、複数枚の預金管理状況報告を作成する場合は、それぞれのページ数と延べページ数を記入します。

 

基本情報

①労働保険番号は、事業所に振り出されている番号を記入します。

労働保険番号
事業所が労働保険に加入したときに、労働基準監督署から振り出されるものです。番号は保険関係成立届で確認できますが、インターネット検索などでは確認できません。
井上とまと

労働保険番号は、多くの労働保険関連の手続きで必要になります。

②事業所の名称③事業所の所在地は、いずれもそのまま記入します。

④事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記入します。ベーカリー TOMATOでは、パンの製造および販売を生業としています。そのため、事業の種類は「食料品製造業」と記入します。

⑤該当年度末の労働者数は、報告の対象となる年度の3月31日時点の労働者数を記入します。ベーカリー TOMATOでは、令和3年度末に「15人」の労働者を雇っています。

⑥貯蓄金管理協定届出年月日は、貯蓄金管理に関する協定届を提出した日を記入します。

井上とまと

協定の成立年月日ではないので注意しましょう。

⑦区分は、「1:本社、2:本社一括管理の支社・支店等、3:支社・支店等であって独自に管理」のいずれかの番号を記入します。ベーカリー TOMATOは支店を持たないため、ここでは「1」と記入します。

井上とまと

本社だけでなく、支社にも労働保険番号が振り出されている場合は「3:支社・支店等であって独自に管理」の扱いになります。

 

預金の状況

①預金の種類は、「1:普通預金、3:定期預金、5:住宅積立預金、7:その他の積立預金、9:その他の預金」のいずれかの番号とその名称を記入します。預金管理状況報告では、預金の種類ごとに状況を記入していきます。ベーカリー TOMATOの社内預金は、「普通預金」のみとなっています。

井上とまと

財形貯蓄制度は社内預金ではありませんから、「7:その他の積立預金、9:その他の預金」のいずれにも該当せず、預金管理状況報告に記入することはありません。

貯蓄金管理協定に定められた預金の利率は、年5厘以上の定められた利率を記入します。

預金額は、②~⑤の項目を記入していきます。千円未満の端数は数四捨五入し、右端(千円単位)から詰めて記入します。

②当該年度当初の預金額:当該年度の4月1日時点の預金の合計額

③当該年度中の預金受入額:当該年度中の預金の受入れの合計額

④当該年度中の預金払戻額:当該年度中の預金の払戻しの合計額

⑤当該年度末の預金額:当該年度の3月31日時点の預金の合計額(②+③-④)

預金者数は、⑥当該年度当初の預金者数⑦当該年度末の預金者数をそれぞれ記入します。事業所に管理してもらっている預金が1円でもある労働者は、すべて預金者となります。

井上とまと

合計も忘れずに記入しましょう。

 

保全措置

①預金管理状況報告の一番下の欄は、社内預金の保全措置を記入します。ベーカリー TOMATOでは、預金の保全措置として、「金融機関等による保証契約を締結している」ため、「保証契約の締結」の□に縦線を記入し、保証人(金融機関名)に「みどり銀行」、保証の範囲(保証契約で設定されている保証限度額)に「1,500万円」と記入します。

保全措置は、次のいずれかの方法で講じなければなりません。
①金融機関等による保証契約
②信託会社との信託契約
③質権の設定
④抵当権の設定
⑤預金保全委員会を設置し、かつ預貯金管理勘定その他適当な措置を講じること
いずれか1つの保全措置が講じられていれば問題ありませんが、複数設けられている場合は、そのすべての□に縦線を記入し、それぞれの詳細も記入します。  
井上とまと

欄中の□には1(数字)ではなく、|(縦線)を記入します。

②保全措置不要の特殊法人等は、該当する場合は□に縦線を記入します。

井上とまと

一般的な事業所が保全措置不要の特殊法人に該当することはありません。

 

欄外下

①欄外左上の日付を記入するところには、預金管理状況報告を提出する日を記入します。当報告は4月1日~4月30日の間に作成し、行政官庁に提出します。

②左端の「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記載します。ベーカリー TOMATOは、神奈川県川崎市高津区溝の口にありますから、ここでは「川﨑北」と記入します。

③使用者職氏名は、事業所の名称、事業主の職名、事業主の氏名を記入し、事業所もしくは事業主の印鑑を押します。

 


 

以上で、預金管理状況報告の作成が終わりました。

預金管理状況報告は、前年度の4月1日~3月31日まで(年度の途中で社会預金を始めた場合は、社内預金の開始日~開始日が属する年度の3月31日まで)の社内預金の状況を報告するためのものです。そのため、預金管理状況報告には、社内預金の全体像を記入します。

一方、個々の労働者の貯蓄金は、労働者ごとに管理しておかなければなりません。行政官庁への提出は求められていませんが、預金管理状況報告とは別に、個別の社内預金台帳を作成し、労働者ごとに管理していく必要があります。

 

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