新型コロナウイルスのワクチン接種の副反応
現在、新型コロナウイルスのワクチン(主にファイザー社製)の接種が進んでいます。
ワクチン接種は、体内に異物を投与して免疫反応を誘導し、感染症に対する免疫を獲得するために行われます。その結果として、効果(免疫獲得)とともに副反応も生じます。
「副反応」と似た言葉に、「副作用」という言葉があります。「副反応」は通常みられる反応のことで、「副作用」は通常では見られない異常な反応のことです。似たような言葉ですが、意味はまったく違います。
新型コロナウイルスのワクチンもその例に漏れず、様々な副反応が出ます。
日本では、先行接種の対象となった約2万人の医療従事者が、2回のワクチン接種を終えています。次いで、その他の医療従事者のワクチン接種も進んでいます。また、4月に入ってからは、65歳以上の高齢者のワクチン接種も始まっています。
これまでに計3回、厚生労働省から「新型コロナウイルスのワクチン接種後の副反応に関する中間報告」が発表され、4月23日には4回目の中間報告が発表されました。
今回は、この4回目の中間報告を基に、新型コロナウイルスのワクチン接種の副反応についてお話していこうと思います。
目次
被接種者の人口統計
1回目の被接種者数:19,807例(男性34%:女性66%)
2回目の被接種者数:19,579例(男性34%:女性66%)
女性の割合が多いのは、被接種者の約半数(46~47%)が女性の割合が多い看護師だからです。
年齢分布
20代(20~29歳)、30代(30~39歳)、40代(40~49歳)、50代(50~59歳)がほぼ一様に20~25%となっています。
発熱
1回目接種後に37.5℃以上の発熱が生じた被接種者の割合は、通期で3%程度でしたが、2回目接種後は38%程度と大幅に上昇しています。また、38.0℃以上の発熱は、1回目接種後で1%未満でしたが、2回目接種後で20%以上とこちらも大幅に上昇しています。また、ほとんどの場合が接種日の翌日(Day2)に生じます。
接種部位反応A
発赤、腫脹、硬結は、いずれにおいても、1回目接種後と2回目接種後に大きな違いはありません。いずれの症状も、接種日の翌日(Day2)もしくは翌々日(Day3)に10%程度の被接種者に生じます。
また、症状の程度としては、Grade2(中等度)の割合が高い傾向にあります。
副反応のAEの重症度判断基準
局所
AE | Grade1(軽度) | Grade2(中等度) | Grade3(高度) |
疼痛 | 痛みを感じるが気にならない | 鎮痛剤を1回服用した | 鎮痛剤を2回以上服用した |
発赤 | 直径2.0cm | 直径2.0~5.0cm | 直径5.0cm以上 |
腫脹 | 直径2.0cm | 直径2.0~5.0cm | 直径5.0cm以上 |
硬結 | 直径2.0cm | 直径2.0~5.0cm | 直径5.0cm以上 |
かゆみ | なし | かゆみを感じるが薬剤治療しない | 薬剤治療した |
熱感 | なし | 熱を感じるが薬剤治療しない | 薬剤治療した |
全身
AE | Grade1(軽度) | Grade2(中等度) | Grade3(高度) |
頭痛 | 日常的な頭痛よりも痛みは強いが薬剤治療しない | 薬剤治療した・日常生活の一部に困難が生じた | 日常生活に支障が出た |
倦怠感 | 日常的な疲労よりも疲れは強いが薬剤治療しない | 薬剤治療した・日常生活の一部に困難が生じた | 日常生活に支障が出た |
鼻汁 | 日常より鼻汁は出るが薬剤治療しない | 薬剤治療した・日常生活日舞に困難が生じた | 日常生活に支障が出た |
症状の程度を簡単にまとめると、Grade1(軽度)は症状はあるものの生活にほとんど影響がないもの、Grade2(中等度)は症状があり生活にやや影響が出るもの、Grade3(高度)は症状により生活に支障が生じて治療が必要なもの、と分類することができます。
接種部位反応B
疼痛は、1回目接種後、2回目接種後ともに、翌日(Day2)に90%近くの割合で出現しますが、ほとんどはGrade1(軽度)の症状で済みます。
熱感は、1回目接種後で最大10%程度ですが、2回目接種後は最大16%と、わずかではありますが、2回目接種後の方が症状が出やすくなっています。
かゆみは、1回目接種後、2回目接種後ともに、最大数%に症状が出現します。熱感とかゆみは、そのほとんどがGrade2(中等度)の症状となっています。
全身反応
鼻汁を除く、頭痛と倦怠感は、1回目接種後では最大10~15%程度でしたが、2回目接種後では頭痛で最大50%近く、倦怠感で最大65%以上と、2回目接種後に大幅な上昇がみられます。
副反応まとめ
これまでのデータをまとめると次のようになります。
- 1回目接種後よりも2回目接種後に副反応が出現しやすい。
- 特に、2回目接種後では、発熱(38.0%)、倦怠感(69.4%)、頭痛(53.6%)の3つが高い割合で出現する。
- いずれの副反応も接種日の翌日(Day2)が最も出現しやすく、その後は徐々に低下する。
- 1回目接種後、2回目接種後のいずれにおいても、高い割合(90%前後)で局所の疼痛が出現する。
発熱、倦怠感、頭痛が副反応の3大徴候のようですが、倦怠感や頭痛は、発熱したときの主な症状でもありますので、単に発熱が主な副反応だと言えるかもしれません。
ワクチンを接種した感想
僕もすでに1回目のワクチンを接種しています。2回目は3週間後(GW明け)の予定です。ワクチンはファイザー社製のものです。
ワクチン接種の感想(自分および周りからの声)
- インフルエンザウイルスのワクチン接種と比べて、(同じ筋肉注射であるものの)接種時の痛みは少ない。
- 接種後、3時間くらいで局所(接種部位)に軽い痛みが出現し、6時間後~翌日にかけて、明確に痛みを感じるようになる。
- 痛みはほとんどの場合が治療しないで済む程度。「強めに肩パンされた後のような痛み」との声が聞かれた。
- ひどい人は筋肉痛に近い感覚になったようで、一時的に腕が上がらなくなったとの声も聞かれた。
- 倦怠感や頭痛は、聞かれれば普段とは違うかもしれないといった程度。
- 発熱は50~80人に1人くらいが37.5度以上出るといった印象。
- かゆみは夜間に出る人が多かった。
- 接種後のアレルギー症状やアナフィラキシーショックなどの劇的な症状はなかったようだが、接種時の緊張感からか、一時的に気分を悪くしたり、血圧が下がったりする者はいた。
以上が、新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応に関する中間報告(第4回)のまとめになります。
その他、年齢が若い(20代)ほど副反応が出やすい、基礎疾患やアレルギー持ちの人の方が副反応が出やすい、接種前の健康状態により重篤なアレルギー反応が出現することがある、などの情報もありますが、まだまだ不確定なものですから、必要以上に怖がることはないと思います。
ワクチン接種後の死亡例も報告されていますが、約121万回中10例(令和3年4月18日時点)で、確率としては約12万分の1(≒0.000826%)ですし、そもそもワクチン接種との因果関係も明確になっていません。
日本の1日の死者数は、現在3,500人程度です。今日、あなたが亡くなる確率は、3,500÷120,000,000×100(%)≒0.002917%となり、ワクチン接種後に死亡する確率よりもはるかに高いということです(それでも低いけど……)。
現状、接種するリスクよりも接種しないリスクの方が高い(社会的な部分も含め)と言えますが、引き続き副反応については調べていきたいと思います。
また、2回目接種後の感想もどこかで報告したいと思います。