児童使用許可申請書
労働基準法では、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童を使用してはならないと規定していますが、「児童使用許可申請書」を行政官庁に提出し、許可を得た場合には使用することができます。
労働基準法における年齢区分 満15歳に達した日以後最初の3月31日までの者を児童、18歳未満の者を年少者、20歳未満の者を未成年と区分けし、児童と年少者については労働基準法で保護しています。 |
18歳未満の年少者を使用する場合には、年少者の戸籍証明書を事業所に備え付けなければなりません。一方、満15歳に達した日以後最初の3月31日までの児童を使用する場合には、戸籍証明書のみならず、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書と、親権者または後見人の同意書も事業所に備え付けなければなりません。
児童使用許可申請書の作成手順
それでは、児童使用許可申請書を一緒に作成していきましょう。
今回は、「ベーカリー TOMATO」に新たに雇われることになった中学2年生の「丘花子(おかはなこ)」さんをモデルに進めていきます。丘花子さんは事業主の畑太郎さんの姪っ子で、夏休みの期間だけアルバイトとして雇い入れます。
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事業の情報
①事業の種類は、労災保険率適用事業細目表に記されている「事業の種類」の中から、その事業所に該当するものを選んで記載します。ベーカリー TOMATOでは、パンの製造および販売を生業としています。そのため、ここでは「食料品製造業」と記入します。
②事業の名称、③事業の住所地は、いずれもそのまま記入します。
児童の情報
①児童の氏名、②性別、③生年月日、④住所は、いずれもそのまま記入します。
児童の就く業務内容および労働時間
①児童の就く業務内容は、その業務を簡潔に記入します。丘花子さんは、値札ポップの作成や商品の陳列などの店内のレイアウトや飾り付けを担当しますので、ここでは「値札ポップの作成と商品の陳列」と記入します。
労働基準法における定義 労働基準法において、児童が就くことのできる業務を「非工業的業種の事業に係る職業で、児童の種類及び福祉に有害でなく、かつその労働が軽易なもの」と定義しています。 |
商品の製造に関する業務は、「非工業的業種」とみなされない場合がありますので、避けておいた方がいいかもしれません。また、有害物質や重量物を扱う業務は、「有害でなく、かつその労働が軽易なもの」から外れますので認められません。
②労働時間は、児童の1日の労働時間を記入します。「始業時刻から終業時刻」というかたちでを記入します。また、(括弧)書きで児童に就業させる日の平均的な修学時間(休憩時間を除く)を記入します。丘花子さんは、「午前9時から午後1時」まで勤務します。また、夏休みの期間に労働するため、「修学時間は0時間」と記入します。
労働基準法における定義 労働基準法では、児童の法定労働時間を「休憩時間を除き修学時間を通算して1日7時間まで」と定義しています。 |
1週間の労働時間は休憩時間を除き、修学時間を通算して40時間までとなっています。また、児童は午後8時から午前5時までの間は使用できません。
欄外下
①欄外左上の日付を記入するところには、児童使用許可申請書を提出する日を記入します。
②左端の「___労働基準監督署長 殿」には、事業所がある地域を管轄する労働基準監督署(長)の名称を記入します。ベーカリー TOMATOは、神奈川県川崎市溝の口にありますから、ここでは「川﨑北」と記入します。
③使用者の情報は、事業所の名称、事業主の職名、事業主の氏名を記入します。最後に、事業所または事業主の印鑑を押します。
以上で、児童使用許可申請書の作成が終わりました。
ここまで児童使用許可申請書の作成手順について解説してきましたが、最も重要なことは「満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの児童は許可がなければ使用することができない」ということです。夏休みの期間だけ中学生をアルバイトとして雇うといった場合にも、必ず行政官庁の許可を得るようにしてください。
行政官庁の許可を得ずに児童を使用した場合(労働基準法第56条違反)、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という、労働基準法の中でも比較的重い罰を科せられる可能性があります。