労働者名簿
「労働者名簿」は、事業所で雇用する労働者一人ひとりの情報をまとめた帳票で、事業所ごとに調製し、厚生労働省令で定める事項を記入しておかなければなりません。
労働者名簿における労働者には、正社員や無期雇用労働者のみならず、契約社員、有期雇用労働者、パートタイム労働者、アルバイトなど、あらゆる雇用形態の労働者が含まれますが、日雇い労働者は含まれません。
労働者名簿に記入しなければならない事項は、次のようになっています。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇い入れの年月日
- 退職の年月日およびその事由
- 死亡の年月日およびその原因
労働者名簿は、事業所ごとに調製しておけばいいだけなので、行政官庁に提出する必要はありません。ただし、労働者名簿は、賃金台帳、出勤簿に並ぶ「法定三帳票」の1つであり、行政官庁の監査や日常的な人事管理の際に使用しますので、労働者を一人でも使用する場合は必ず作成しておきましょう。また、労働者名簿は、常に最新の情報にしておかなければなりません。
労働者名簿が調製されていない、もしくは記入事項に不備がある場合は、30万円以下の罰金が科されることもあります。
労働者名簿には、絶対にコレでなければならないという様式はありません。事業所ごとに独自の様式を用いても構いません。また、労働者名簿は賃金台帳と合わせて調製することもできます。
労働者名簿の作成手順
それでは、労働者名簿を一緒に作成していきましょう。
今回は、「ベーカリー TOMATO」の従業員だった「水田次郎(すいでんじろう)」さんをモデルに進めていきます。
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労働者の情報A
①性別、②氏名、③生年月日は、いずれもそのまま記入します。婚姻などにより、氏名が変わった場合は速やかに修正しましょう。
労働者の情報B
①従事する業務の種類は、その労働者が主に従事する業務を簡潔に記入します。ただし、労働者の数が30人未満の場合は記入しなくても構いません。水田次郎さんは、パンの生地作りから焼き上げを担当していましたので、ここでは「パンの製造」と記入します。
労働者の数が30人未満の場合は記入しなくてもいい理由は、労働者の数が少ない事業所では、1人の労働者が複数の業務を担うことが多く、業務の種類を特定できないこともあるからです。
②労働者の住所、③雇入れ年月日は、いずれもそのまま記入します。引っ越しなどにより住所が変わった場合は、速やかに修正しましょう。
退職又は死亡
①退職又は死亡は、退職や死亡により、雇用関係が終了した「年月日」と「事由」を記入します。退職の事由が解雇の場合はその理由も記入します。 労働者名簿は、退職または死亡の年月日から3年間保存しておかなければなりません。
履歴
履歴は、①学歴、②入社、③退社の年月日を記入します。学歴は、最終学歴を記入します。入社は、その事業所に入社した日を記入します。中途採用の場合でも、職歴を記入する必要はありません。退社は、その事業所を退社した日を記入します。
以上で、労働者名簿の作成が終わりました。
ここまで労働者名簿の作成手順を説明してきましたが、実際には労働者自身が作成した履歴書などをそのまま代用して、労働者名簿としている事業所も多くあります。